菅首相の長男が勤める「東北新社」が繰り返していた総務省幹部への接待。一連の問題が外資規制違反など放送行政に与えた影響を調べる第三者の検証委員会は6月4日、「行政がゆがめられた可能性がある」との報告書を提出しました。

 検証委員会が報告書を提出したことを受け、武田総務相は会見を開きます。会見では、倫理法令違反の会食が延べ78件あったとする調査結果を公表しました。5人を減給に、4人を戒告処分にするほか、自らの大臣給与3カ月分を自主返納すると明らかにしました。ここで気になるのが「大臣給与3カ月分」です。

国会議員歳費の内訳

 日本では、国会議員の歳費を1年間、20%削減する改正歳費法によって、月額歳費129万4000円の20%として、約25万円程度が毎月減らされていますが、ボーナスの期末手当約320万円はそのまま支払われます。お茶を濁した程度の減額です。このような、いかにも「やった感」を演出するパフォーマンスは好ましくありません。

 国会議員には「ノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)」があります。国会議員は国民の代表として高い報酬をもらっているのですから、国民目線に立たなければいけません。

 また、国会議員の議員報酬が引き合いに出されることがありますが、各メディアにおいて、かなりバラつきがあり、正確な報道がなされていません。この機会に整理してみます。

 以前、テレビ東京の某番組「永田町特集」に出演する機会がありました。番組では「永田町界隈で暗躍する政治家・秘書・官僚・政治評論家 ココだけの話大暴露」と題して、政治家や官僚にまつわる暴露話が飛び交いました。出演者は杉村太蔵氏(元国会議員)、岸博幸氏(元官僚)、伊藤惇夫氏(政治評論家)、筆者の4名でした。

 番組内では、杉村氏が「手取りが月70万〜80万円、また、手取りの他に文書通信交通滞在費というものが毎月100万円支給される。毎月の手取りが70万円として、文書通信交通滞在費100万円を合わせると、年間で2040万円の収入を得ることとなる。任期が6年ある参議院議員の場合は、1億2240万円の収入が何もしなくても懐に入ってくる」とコメントをしていました。

 杉村氏のコメントは議員としての肌感覚だと思うのですが、さらに分かりやすく解説してみましょう。

議員報酬はこんなに多い

 現在の議員報酬は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(平成26年6月27日法律第86号)により規定されています。それによれば、各議院の議長は217万円、副議長は158万4000円、議員は129万4000円を受けるとされています。1回生の国会議員でも129万4000円(月額)が歳費として支払われるわけです。

 国会議員は歳費以外に手当が豊富です。文書通信費が毎月100万円、期末手当(賞与)が年額635万円、立法事務費などの必要経費が月額65万円、JR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要な旅費、経費、手当、弔慰金などが支払われます。また、政党交付金の一部も各議員に支給されます。

 では、1人あたり、いくらかかるのか計算してみましょう。改正歳費法が適用される前の基準で算出してみます。

A.基本給=1552万8000円(年額) 月額129万4000円×12カ月
B.期末手当(ボーナス)=635万円
C.文書通信費=1200万円 月額100万円×12カ月
D.立法事務費=780万円 月額65万円×12カ月
E.JR特殊乗車券、国内定期航空券=441万6000円 飛行機は月4往復まで。北海道選出の議員が東京−北海道4往復として4万6000円×往復×4回=36万8000円×12カ月=441万6000円/年間
F.秘書給与=2100万円 政策秘書900万円、第1秘書700万円、第2秘書500万円と仮定
G.政党からの支給 0〜1000万円程度
合計 A+B+C+D+E+F+G=67,094,000〜77,094,000円と予測

 当選したばかりの1回生議員でも、この程度の金額を得ることが可能です。さらに役職に応じて、黒塗りの公用車も支給されます。後援会が強い議員であれば、企業献金や政治資金パーティーによる収入が加算されることになります。

果たしてもらいすぎなの?

 現行法で公設秘書は3名ですが、多くの事務所では3名では足りないので、自費で私設秘書を採用しています。私設秘書の人数を仮に5名と仮定しましょう。経費を1人あたり300万円と試算して、5名と考えても1500万円が固定費としてかかります。交通費や活動費等の経費を考えれば、給与分の2倍(約3000万円)が消えることになります。

 私設秘書の経費は全て、国会議員の自腹ですから大変な出費です。さらに、次の選挙に立候補するための費用もプールしなくてはいけません。人件費、会議費、選挙事務所費、光熱費、通信費、選挙運動用ポスターなどの印刷費や雑費など、ざっと数千万円〜数億円は必要になります。

 国会議員の歳費を減らせ(報酬を減らせ)という意見があります。国会法では「議員は一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない歳費を受ける」と規定されています(国会法第35条)。勝手に下げることができないのです。

 現在の衆議院議員の任期は10月21日に満了します。公職選挙法の規定により、遅くとも11月30日までに選挙が実施されます。今の政治をどのように評価するのか、一人一人が真剣に考えなければいけません。