2歳離れたきょうだいを育てる「2歳差育児」。ネット上では「生活のリズムが近いから世話しやすい」「入学や卒業のタイミングがかぶらない」といったメリットを挙げる声も多いのですが、一方で「下の子の妊娠中に、上の子のイヤイヤ期が重なる」「育児休暇が長くなるため、仕事に影響が出やすくなる」など、2歳差ならではのデメリットに悩んだという声も少なくありません。中には、2歳差特有の大変さに悩み、産後にメンタルの不調に陥る母親もいるようです。

 2歳差育児のメリットや2歳差特有の大変なポイントについて、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

デメリット感じたら「角度を変えて見る」

Q.2歳差育児には、他の年齢差と比べると、どのようなメリットが考えられますか。

佐藤さん「今は少子化社会ということもあり、家庭内では父親や母親が遊び相手になることが多いものです。きょうだいがいると、家の中で子ども同士の遊びができるので、そこからの学びがあることは大きなメリットでしょう。下の子が生まれてからしばらくは、大変だなと感じることが多いかもしれませんが、次第に子ども同士で遊んでくれることも増え、その中で、社会で生きるスキルを身に付けていってくれます。特に、2歳差というのは年齢的にも近いので、長い期間よい遊び相手、話し相手になることが期待できます。

もちろん、しょっちゅう、けんかをしてしまうなど、子どもにとっては大人相手に遊ぶのと比べて、自分の思い通りにならないことも多々あると思いますが、そういう中で折り合いをつけられるようになっていくのは、実は大きなメリットでもあります。社会に出れば、いや応なく競争にさらされたり、人間関係でもまれたりするものです。小さい頃から少しずつ、我慢を覚えることが大切ですが、その我慢はきょうだいがいる方が自然に身に付きやすいと思われます。

そのほか、学校が始まると、2歳差だと卒業のタイミングが重ならないので、例えば、受験のときに1人ずつフォーカスを当てることができるなど、親の負担やプレッシャーを集中させないことにもつながると思います」

Q.一方で、2歳差特有のデメリットもあるのでしょうか。

佐藤さん「2歳差きょうだいは新生児期と2歳のイヤイヤ期が重なるため、親はその時期、体力的にも精神的にも大変だと感じやすいものです。また、少し大きくなると、遊んでいるとすぐけんかになったり、悪ふざけを始めるとエスカレートしてしまったり、母親の取り合いになったりと、互いが競い合って事が大きくなってしまうことも悩みの種になりがちです。

また、お子さんが2人いることで、片方を我慢させてしまうことに責任を感じる母親も多いです。しかし、そういう中で、子どもたちは少しずつ、1人遊びを学んだり、感情を自分で抑えるすべを身に付けたりと、いずれ身に付けるべき“自分力”をつけていくので、デメリットに関しては角度を変えて見ることも大事だと思います」

Q.2歳差育児における「上の子のイヤイヤ期」について、育児する上でのポイントを教えてください。

佐藤さん「よくあるのが、下の子が生まれると下の子にかかりきりになるため、上の子がすねてしまうケースです。俗にいう『赤ちゃん返り』です。先述の通り、2歳差ですと、ちょうど上の子のイヤイヤ期が重なるため、自己主張が強くなり、ひどいかんしゃくを起こすこともよくあります。こういうときの対応として、それぞれの精神面や認知面の発達を踏まえて工夫してみるとうまくいくことがあります。

例えば、『下の子が生まれたばかりで上の子が2歳』のとき、『ママがいい、ママじゃなくちゃ嫌』という思いは上の子の方が強いものです。なぜなら、上の子はしっかりと記憶力が発達していて、母親との2年間の強い絆があるからです。一方、下の子はまだ、母親と同化している感覚を持っていたり、割と誰に抱っこされても満足したりと、上の子ほどのこだわりは芽生えていないことが多い時期です。

母乳育児の関係で『下の子は母親が面倒を見るもの』という認識が強いですが、それぞれの発達を踏まえると『休みの日はママが上の子、パパが下の子の世話をする』『ママ一人のときは上の子の手が空いたときに下の子のお世話をする』…というように逆転できると、折り合いがつけやすくなることもあります」

キーパーソンは「母親の周囲の人」

Q.中には、さまざまな事情で母親のワンオペによる2歳差育児にならざるを得ず、その状況が長期化するケースもあるようです。

佐藤さん「新生児の頃の頻回授乳と睡眠不足は、やった人にしか分からないつらさがあります。横で寝ている夫であれど、そこまで大変だとは理解できていないことも多いものです。『ならば、その大変さを分かってもらおう』とある晩、夫にお願いしたら、赤ちゃんが泣いているのに気付かずに寝ていた…という話も聞いたことがあります。『気付かなければお世話もできない!』と夫に託すことは諦めたそうです。

もちろん、こういうとき、夫婦で協力できるのが理想ではありますが『分担しようとすると嫌な顔をされる』『いちいち言わないとやってくれないから逆に面倒』など、夫に協力を打診すること自体にストレスを感じているケースは案外多いようです。もしそうであれば、夫よりも家電(食器洗浄機、ロボット掃除機など)や家事代行サービスを頼った方がよい場合も多いので、お金はかかりますが、夫婦げんかや育児ストレスを軽減するための投資と思って割り切ることも大事だと思います」

Q.現在、2歳差育児をしている親や2歳差育児のスタートを控えている親に向けて、2歳差育児を上手に乗り切るためのアドバイスをお願いします。

佐藤さん「2歳差育児は最初の数年が本当に大変で『息つく暇もないほど』とよく言われます。こういう時期、周囲にサポートを求めやすい社会になっていないのが日本の問題点です。実際にはファミリーサポートやベビーシッターなどの仕組みはあるものの、母親がそれらを頼みにくい世間からのプレッシャーがあるのです。私はこれまで、いろいろな国に住みましたが、日本ほど、母親が大変な思いをしている国はありません。

このような点から見ると、2歳差育児を上手に乗り切るためのキーパーソンはもはや、母親自身ではないと考えられます。母親たちはこれ以上、工夫しようがないほど頑張っているので、工夫すべきは周囲にあるのです。特に父親の中には、育児をまだまだ、自分のこととして捉えられていない人も多いので、意識改革が切実に望まれます。

そして、母親が辛うじてできるのは“割り切り”でしょう。1人だったときにできたことができなくなる、その中に、その子の自立につながることがきっとあるはずです。『これまでやり過ぎていたな』という部分や先回りしてやってあげていたことなどを省いていき、年齢に見合った自立性を促すことはその子の力にもなり、結果的に母親も楽にしてくれます」