新型コロナワクチン接種後の発熱や頭痛といった副反応に備えるため、ドラッグストアなどで「解熱鎮痛剤」を買う人が増えています。厚生労働省も「必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして、様子をみていただくことになります」と明示しており、副反応が出た際に解熱鎮痛剤を服用するのは問題ないといえます。

 ところで、解熱鎮痛剤を服用しても症状が改善しない場合、すぐに服用をやめるべきなのでしょうか。それとも服用しつつ、様子を見てもよいのでしょうか。薬剤師の川口てるこさんに聞きました。

改善しなければ、別の病気も

Q.まず、解熱鎮痛剤の種類や効能について、教えてください。

川口さん「市販の主な解熱鎮痛剤には、アセトアミノフェン(商品名タイレノールなど)と、非ステロイド性抗炎症薬に分類されるイブプロフェン(同イブなど)やロキソプロフェン(同ロキソニンSなど)があります。薬には、病気を根本から治す『根治療法』のものと、病気に伴う症状を緩和する『対症療法』のものがあります。

解熱鎮痛剤は対症療法に該当し、熱を下げ、痛みを抑える働きがありますが、病気そのものを治す働きはありません。例えば、風邪のときに服用した場合、解熱鎮痛剤は風邪の原因を治療しているのではなく、風邪によって引き起こされる症状(熱や頭痛など)を緩和しているのです。つまり、体が楽になる手助けをするイメージです。

同様に、新型コロナワクチンの接種後、『熱で眠れない』『食欲がなくなった』という症状が出た場合、解熱鎮痛剤で熱を下げることで、よく眠れるようになり、食欲が戻って、体力が回復しやすくなることもあるでしょう。熱や痛みを抑えることで、日常生活や仕事などの社会活動が問題なくできるようになるというメリットもあると思います。

もちろん、熱や痛みがあっても、自分がつらいと感じなければ、服用する必要はありません」

Q.多くの解熱鎮痛剤には「服用は1日2回まで」「(再度服用する場合は)○時間以上空けること」といった、服用に関する注意書きが記載されています。例えば、解熱鎮痛剤を服用しても、発熱や頭痛などの症状が改善しない場合、すぐに服用をやめるべきなのでしょうか。それとも、注意書きを守って服用しつつ、しばらく様子を見てもよいのでしょうか。

川口さん「すぐに症状が治まらなくても、注意書きの量を守れば、2〜3日ほど服用し続けてもよいでしょう。それでも、症状が一向によくならない場合、別の病気の可能性が考えられるので、医療機関を受診するようにしてください」

Q.新型コロナワクチンの副反応が出たとき、解熱鎮痛剤を服用しても効き目が薄い場合、どのような理由が考えられるのでしょうか。対処法も含めて、教えてください。

川口さん「厚生労働省のホームページには、新型コロナワクチン接種後の発熱や痛みに対して、アセトアミノフェンのほか、イブプロフェンやロキソプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬で対応できることが記載されています。しかし、これらの解熱鎮痛剤を2〜3日服用しても症状が改善しない場合、ワクチンの接種前後に、風邪や新型コロナウイルス感染症、インフルエンザなと、別の病気にかかった可能性も考えられます。

これらの病気を見分けるため、発熱以外で、せきや咽頭痛、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状が始まっていないかチェックしてください。ワクチンによる発熱では、このような症状は見られません。ワクチン接種後、2日以上、熱が続く場合や症状が重い場合、また、解熱鎮痛剤を2〜3日服用しても症状が改善せず、ワクチンでは起こりにくい、せきや咽頭痛、鼻水、味覚・嗅覚の消失、息切れなどの症状が見られる場合は、医療機関に事前に相談した上で、医師の診療を受けましょう」

Q.解熱鎮痛剤を1日2回服用した場合、初回よりも2回目の方が服用後の効き目が薄い印象がありますが、こうしたケースは珍しくないのでしょうか。また、解熱鎮痛剤を服用後、薬の効果が最も発揮される時間帯について教えてください。

川口さん「解熱鎮痛剤の服用で『初回時より2回目の方が効果が低い』といった研究報告はありません。非ステロイド性抗炎症薬は体内の『プロスタグランジン』という物質の生成を抑制することで、解熱・鎮痛効果を発揮します。体内で既にプロスタグランジンが大量に生成された状態だと、効果を実感しにくい可能性が考えられます。

解熱鎮痛剤の血中濃度が一番高くなる時間、つまり、服用後、薬の効果が最も出やすい時間帯はアセトアミノフェンとロキソプロフェンが約30分後、イブプロフェンが約2時間後で、その後、4、5時間で血中から排出されていきます。頭痛や関節痛などの痛みは、この薬のピークと痛みのピークのタイミングがうまく合うと、効果を実感しやすいかもしれせん。

また、解熱鎮痛剤の効果はかなり個人差が大きいです。『どの薬の効き目が強いか』を見極めて、自分に合った薬を見つけることも大切です」

Q.解熱鎮痛剤を長期間服用し続けた場合、依存症になる可能性はあるのでしょうか。それとも、用法を守って服用していれば、特に問題はないのでしょうか。

川口さん「薬の種類にもよります。例えば、鎮痛剤の中でも『オピオイド鎮痛薬』と呼ばれる麻薬性鎮痛剤などは依存性があります。これは、がんによる痛みや、通常の解熱鎮痛剤が効かない痛みに対して使われる薬です。これらの薬は医師の管理下で処方される薬で、安易に長期間使われることはない薬です。

ロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤で依存症になる可能性はありませんが、症状があったとき、決められた用量で服用するようにしてください。市販薬でも副作用がまったくないわけではありませんし、長期的に服用することで副作用が起こる可能性が高まります。非ステロイド性抗炎症薬では、主に胃もたれや消化性潰瘍、腎障害といった副作用が、アセトアミノフェンでは、肝機能障害などの副作用がそれぞれ起きる可能性があります」

Q.解熱鎮痛剤の服用時の注意点について、教えてください。

川口さん「持病がある人や別の薬を服用している人、妊娠・授乳中の人などは服用する前に、医師や歯科医師、薬剤師に相談するようにしてください」