「気が付くと、ぶつけた覚えのない所に“あざ”ができていた」。こうした経験がある人も多いのではないでしょうか。転んだり、ぶつけたりしていないにもかかわらず、身に覚えのないあざを見つけたことがある人からは「知らないうちに、脚にあざができていて驚いた」「痛みがないと気付かないよね」「原因が分からないと不安になる」など、疑問の声も上がっています。

 いつの間にかできている、身に覚えのない「あざ」の正体について、内科医の市原由美江さんに聞きました。

大病が隠れている可能性も

Q.そもそも、あざとはどのようなものでしょうか。

市原さん「あざとは、皮膚の一部が周囲の色と異なる状態になっているもので、その色によって、赤あざ、茶あざ、青あざ、黒あざなどと呼ばれます。赤あざは皮膚の血管が異常に増殖してできる血管腫。茶あざは表皮に存在するメラニン色素が多いために、周りの皮膚より茶色く見えるもので、『カフェオレ斑』『扁平母斑(へんぺいぼはん)』『ベッカー母斑』などがあります。

青あざは赤ちゃんのお尻から背中にかけてみられることのある『蒙古斑(もうこはん)』、黒あざは色素性母斑(俗にいう“ほくろ”)で、広がったほくろのことを呼びます。身に覚えがないにもかかわらず、あざができ、自然に消失するものは『出血斑』といい、いわゆる、打ち身です。内出血により皮膚が赤、青、茶、黒色に変色しますが、時間経過で消失します」

Q.ぶつけたり、転んだりした覚えがないにもかかわらず、体にあざができることがあるのはなぜですか。何らかの病気の可能性もあるのでしょうか。

市原さん「実際にぶつけていても身に覚えがないとき、例えば、就寝中などであれば、打ち身であるあざは『知らないうちに自然にできた』ように感じるでしょう。高齢者は皮膚の組織がもろくなっているので、打ったり、ぶつけたりしていなくても、軽く触れたり、かいたりしただけで打ち身ができてしまうことがあります。これを『老人性紫斑(しはん)』と呼びます。

一般的には、膝から足首までの部分にできやすい複数のあざを『紫斑』と呼びますが、血小板の減少や血液の凝固因子の異常などが原因となっていることがあり、具体的には特発性血小板減少症や白血病、血友病、アレルギーによる紫斑病、肝硬変などさまざまな病気が考えられます。なお、紫斑自体に痛みはありません。身に覚えがないあざは高齢者の他、血液がサラサラになる薬を内服している人もできやすいです」

Q.身に覚えのないあざを見つけた際、病院を受診する目安となるサインはありますか。

市原さん「時間の経過で色が薄くなっているようなら緊急性はないですが、1週間程度たっても改善がみられないようであれば、打ち身ではなく、別の原因によるあざの可能性があります。また、先述のように紫斑の場合、大きな病気が隠れていることもあります。不安なあざを見つけた場合はまず、皮膚科を受診しましょう。

さらに検査が必要であれば、内科の受診を指示されます。皮膚科では、見た目と問診での診断になることが多いです。内科では、血液検査で血小板が減っていないかなどを調べます」

Q.身に覚えのないあざを見つけて、驚いた経験のある人は少なくないようです。あざを見つけたとき、まず、自分でできることとは。

市原さん「時間の経過で、あざの状態が改善しているかどうかを確認してください。鼻血が出たり、歯茎からも出血していたりするようであれば、血液疾患の可能性が高いです。貧血を伴っていれば、目まいやふらつき、倦怠(けんたい)感を自覚することもあります。あざだけではなく、他にもどこか異常がないか確認しましょう」