思春期を迎えた子どもに訪れる「反抗期」。その期間や始まりと終わりの時期、反抗的態度の程度には個人差がありますが、多くの親がいつかは経験するわが子の反抗期について、ネット上では「上の息子が反抗期真っただ中で、接し方に毎日悩んでいる」「反抗期って何のためにあるんだろう」「反抗期が来ない子どももいる?」など、さまざまな疑問の声があるようです。

 子どもの反抗期にまつわるさまざまな疑問や、親に望まれる接し方について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

早い子で小学校高学年から

Q.反抗期は一般的に、いつごろの時期に始まるものですか。

佐藤さん「思春期に訪れる反抗期は『第2次反抗期』と呼ばれるものです。個人差はありますが、12〜15歳の頃に見られることが多いです。早い子は小学校の高学年から、平均的には子どもが中学生の頃に接し方に悩むことが増えます。なお、第2次ということは第1次もあるわけですが、それが、よく知られている2歳くらいのときの『イヤイヤ期』です」

Q.反抗期を迎えた子どもは、どのような態度・様子になることがあるのでしょうか。

佐藤さん「この時期の子どもは大人からの干渉を好みません。よって、自分のエリア(精神的、物理的両方)に入り込んできたと感じると、それに対して反抗することが増えます。同じ反抗するのでも、2歳の子と13歳の子ではやはりレベルが違うので、『2歳のときの第1次反抗期なんて、まだまだかわいいものだった』とおっしゃる親御さんも多いです。

第2次反抗期の頃は、男の子は既に体も大きく、力も強くなっているので、もし、反抗のあまり親の体を強く押すようなことがあれば、母親はよろけてしまいかねません。『心だけでなく体も痛い』とおっしゃるお母さんもいます。一方で女の子の場合、力の行使はあまりありませんが、言葉で攻撃したり、無視したりする形で出ることもあります」

Q.反抗期は何のために来るものなのですか。

佐藤さん「精神的な自立のためです。心理学者のホリングワースはこの時期のことを『心理的離乳』という言葉を使って表しています。親から、心理的にも“乳離れ”しようと試みるのです。実際の離乳は赤ちゃん期に卒業していますが、子どもたちはそれ以降も、多くの面で親に依存して生活してきています。そんな子どもが『一人前の人間として対等に扱われたい』と欲するようになるのがこの時期です。

しかし、その自立はすんなりとはいきません。まだまだ精神的にも未熟な面が多々あるため、『離れたい、でもまだ依存もしている…』といった状態が心の不安や怒りなどを処理しきれない葛藤を生み、それが親への反抗として現れます」

Q.反抗期を迎えた子ども自身、「自分は今、反抗期だ」と自覚できるものなのでしょうか。

佐藤さん「『これが第2次反抗期というものだ』というほどの明確な認識がある子はまずいないでしょうが、『何か超むかつく』『親の顔を見るとイラつく』のような形で、負の感情を持つことが多いという自覚はあるはずです。

また、この時期は『大人よりも同年代の仲間が一番』という価値観なので、友達同士で集まれば、『うちの親、超ウザい』のような会話をすることもあるでしょう。そういう対話に触れることでも、自分の状況はつかめていると思います。ただ、それが『(親に反抗して)申し訳ないな』というような反省にはつながりませんが…」

Q.反抗期が来ない子どももいるのでしょうか。

佐藤さん「目立った反抗がない子はいます。ただ、2歳のときの反抗期でも同じことがいえるのですが、反抗期というのは外から見て『反抗』という行動がそこにあるから、『あ、反抗期だ』と認識するものです。つまり、外側から見た呼び名なのです。そのため、『あればOK、ないとだめ』と判断するものではありません。この時期の本来の目的は『心理的な自立』なので、そこがしっかり促されているかが大事になります。

目立った反抗がない子でも、順調に離乳していく子はたくさんいます。親との距離が離れる時期ではありますが、それまでの年月でバランスのよい親子関係があり、『いざというときに頼れる』という信頼があること、また、親が手を出し過ぎずに子どもが自分で取り組む習慣が既にあること。これらの要素は、この時期の自立を促す助けになるので、反抗の現れ方にも影響が出てくると感じています。

一方で、育児相談などを通して感じているのは、それまで、親が子どものお世話をし過ぎていたり、逆にあまり構わずに来ていたりすると、反抗が強くなる傾向があるということです。自分でさまざまなことをできる力が育っていないことや、自制するのが苦手であることが要因と思われます。また、親が子どものことを管理し過ぎている場合(受験で過度の勉強を課すなど)も、この時期に爆発が起こることがあります」

Q.反抗期の子どもに対する、親の「よい接し方」「NGの接し方」とは。

佐藤さん「子どもが反抗してくることで親も気持ちを逆なでされるものですが、子どもの感情に親も感情で返してしまうと、事をややこしくしてしまいます。怒りをコントロールするのはとても難しいのですが、その瞬間に辛うじてできる策を準備しておくことは一助になるでしょう。

例えば、取りあえずその場を去る、『私は大人、私は大人…』と呪文を唱える、同じ境遇のママ友に連絡するなど、とにかく、気持ちを外にそらす工夫です。言い合いになってしまうと、反抗期の子どもが折れることはありませんので、お互いが傷つく回数を減らすためにも、気持ちをそらす方法を2〜3個準備しておけるとよいと思います。その場で見つけるのは至難の業なので、あらかじめ決めておくのがおすすめです。

また、この年頃は親の干渉を好まない時期なので、あれこれ聞いても回答が得られることは少ないものです。親は心配なあまり、いろいろと聞きたくなりますが、それよりは『好きなおやつを買ってきて一緒に食べてみる』ような時間を持つことの方が大事です。『どうせ聞いても、大して返ってこない。ならば、何かあれば話せる空間を子どもに伝えていこう』とシフトする方が賢明です」

「自我確立期」だと考える

Q.反抗期の子どもに当たられたり、暴言を吐かれたりして振り回され、ストレスを感じている親やコミュニケーションの取り方に悩む親もいるようです。

佐藤さん「反抗期は人間の成長における一過程なので、いずれ通り過ぎていきます。10代後半になって、子ども本人は不思議なくらい、ケロッとしているというのもよく聞く話です。この時期は親との関係性を新しく構築し直す時期であり、子どもたちは親との間に最適な心理的距離を見いだしていきます。同年代の似たような境遇にいる友達の影響を受けつつ、『自分はどういう人間なんだろう』という自問を続けながら、親からは独立した自分らしさを確立していくのです。

子どもに反抗されると、その反抗をどうやってなくしていけばいいのかという対処法を模索したくなりますが、本当に必要なのは『自立が促せているか』という視点です。そのため、『うちの子の反抗を何とか消したい』よりは『うちの子の自立をどう促していくべきか』と問い、そこから接し方を見いだしていくのが望ましいです。

『反抗期』というネーミングが、その本来の目的を見えにくくしてしまっているので、『自我確立期』と言い換えた方が適切な対策を見つけやすいかもしれません。反抗期を過ぎると、新たな距離感での親子関係が始まります。そのときを想定し、自分の時間の使い方を探したり、興味を持っていたことに少しずつ着手したりするのも前向きな気晴らしになると思います」