環境や体によい材料を使っているものを―、ごみを増やさずリサイクルできるものを―。日々の生活の中で、商品を購入するとき、これらのことを重視して選ぶ消費者が増えているようだ。気候変動、資源枯渇、海洋プラスチックごみ問題などがメディア等で取り上げられることも多く、消費者ニーズも変わってきている。そんな中、花王は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点を重視した「ESG経営」に本腰を入れている。

 同社が具体的に取り組んでいるのは、3つのイノベーション。プラスチック循環社会に向けた「リデュースイノベーションと「リサイクルイノベーション」、QOL(Quality of Life、生活の質)の向上などに寄与する「ソーシャルイノベーション」だ。

 まず、「リデュースイノベーション」。シャンプー・コンディショナーやボディーソープなどを買うときに、詰め替え可能製品を選ぶ一方、詰め替え作業に面倒を感じている人も少なくないのでは? その手間を省くために、同社は、詰め替え用フィルム容器をセットするだけで詰め替えずに繰り返し使える「スマートホルダー」を開発し、フックと吐出部の装着による吊り下げ使用を提案。フィルム容器の外側に空気を入れて膨らませて自立させ、本体容器のように使用できるボトル「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」など、新容器も提案していく。

 次に、「リサイクルイノベーション」。使い終えたものを再び資源に戻す「リサイクル」だけではなく、使い終えたものに、技術やさまざまな人の知恵・アイデアを加え、新たな価値を生み出す「リサイクリエーション」(リサイクル+クリエーション)を進めている。例えば、回収した洗剤やシャンプーなどの使用済みの詰め替えパックを、パートナー企業と協力して再生樹脂に加工し、その再生樹脂から、組み立てや再利用がしやすい「ブロック」を作る実証実験なども行ってきている。

 そして、「ソーシャルイノベーション」としては、「Fine Fiber(ファインファイバー)技術」と「RNA Monitoring(RNAモニタリング)」を開発している。前者はさまざまな化粧品用製剤をしっかり均一に、高い保湿力をもって肌面に保つスキンケアの技術。後者は、AI(人工知能)を応用し、皮膚の将来の変化を予測する技術として研究を」を進めていく。

 同社は、消費者が求める“持続可能な暮らし”を「Kirei Lifestyle」とネーミング。商品設計の最初の段階からESG視点を念頭に置いてものづくりをしていく「Kirei Lifestyle Plan」を、ことし4月に発表した。このプランは、「快適な暮らしを自分らしく送るために」「思いやりのある選択を社会のために」「よりすこやかな地球のために」を3つの柱とし、いずれも2030年までに、「花王のユニバーサルガイドラインに適合する新規製品、改良製品の比率を100%とする」「ライフスタイルに大きく、ポジティブなインパクトを与える製品を10件以上提案する」「革新的なフィルム包装容器を年間3億個普及させる」などの目標を掲げている。2020年春には、Kirei Lifestyleを体現するブランドを欧米から発売予定。ESG経営を加速させていく予定。