『ザ・トゥルー・コスト 〜ファストファッション真の代償〜』

『もったいないキッチン』

『プラスチックの海』

『グリーン・ライ〜エコの嘘〜』

『バベルの学校』

『幸せの経済学』

『ミッドナイト・トラベラー』(公開中)

 これらは、映画事業を手がける「ユナイテッドピープル」(福岡県糸島市)の配給リスト(一部)。映画のタイトルを見て気付いた人もいるかもしれないが、同社が目指すのは戦争・貧困・環境破壊などの社会課題の解決。例えば、紛争地に直接行ってもすぐに争いを止めることはできないが、映画を通して人々の心を動かし問題意識を持ってもらうことができれば、紛争が起きる社会や経済の構造を変えることができる――。このような目標の下、同社はそれまでの募金サイトの運営から一転、映画事業を開始する。そして今月下旬、新たな事業として「ユナイテッドピープルワイン」をスタートさせる。

 「映画とワインにどのようなつながりが?」と疑問に思った人もいるだろう。今回は、社会起業家でユナイテッドピープルの代表を務める関根健次(せきね・けんじ)さんにお話を伺った。

 ユナイテッドピープルが最初に扱った映画は、バングラデシュでストリートチルドレンの支援活動を行うNGO「エクマットラ」が製作した『アリ地獄のような街』。それまで関根さんは映画事業の経験はなかった。それにもかかわらず、映画を見る前(!)に配給を決断したのは、映画のチカラでストリートチルドレンの問題を解決したいというその趣旨に共感したからだ。2002年に会社を創業して以来、さまざまなNGOや環境保護団体などを募金という形で支援してきたが、関根さんは寄付活動の限界も感じていた。いくらお金があっても、一発の爆弾で病院・学校・発電所などが破壊されてしまう。大学時代に訪れたことがあるパレスチナ自治区ガザ地区は関根さんが平和について考える原点となっている場所だが、ガザ地区への攻撃が繰り返されるたびに、紛争が起こる構造を変えないといくらお金があっても足りないと痛感していた。そのような時期に出会ったのが、映画『アリ地獄のような街』だった。

 ゼロから映画館探しやチラシ作りなどを行って試写会とトークイベントを開いてみると、すぐに手ごたえがあった。映画を見た大学生たちが、次々とバングラデシュでボランティア活動を始めた。さらに、バングラデシュから帰国すると報告会を開催する大学生もいて、映画を見ていない人にもストリートチルドレンの問題が伝わっていった。“映画で世界は変えられる”。関根さんが自信を持って発信している言葉だ。

 紆余曲折を経て起業した関根さんだが、大学生のころはワインの輸入商社を作って、いつかはワイナリーを始めることが夢だった。しばらくこのワインの夢のことは諦めていたが、ある時、知り合いからプレゼントされた一本のワインが再びその夢に火を付ける。「ユナイテッドピープルワイン」についてはpart2でお伝えする。