新型コロナ禍の困窮学生に無料で食事を提供する西海みずき信用組合(長崎県佐世保市)の取り組みである「佐世保まちの学食」や、助け合いの視点から金沢市民の台所「近江町市場」の歴史発掘に努める金沢中央信用組合(金沢市)の参与石田順一氏の活動がこのほど、優れた“相互扶助”の事例を顕彰する「第1回しんくみブランド表彰」の大賞に輝いた。表彰式は10月15日午後、都内で開かれる全国信用組合大会で行う。

 しんくみブランド表彰は、相互扶助を基本理念とする信用組合の存在意義を広くPRするため、全国信用組合中央協会(全信中協、東京)が今年創設。全国の信組や信組役職員らが取り組む多彩な相互扶助事例の中から、継続性や革新性、課題解決力などに優れた大賞2件、優秀賞4件を、外部有識者を含めた選考会の審査を経た上で、全信中協理事会が選んだ。

 西海みずき信組の「佐世保まちの学食」は2020年6月5日から実施。地元企業や地域の人から寄付金を募り、その寄付金を市内の協力飲食店10店(21年7月時点)で使える700円分の「デジタル食事券」にして、大学生や専門学校生らにアプリで無料配布した。

 コロナ禍で困窮する学生の支援と客の減った飲食店を同時に支援する仕組みが高く評価された。学生が食事の“恩返し”として、地域のボランティア活動に参加するなど助け合いの好循環も生まれている、という。

 寄付金は305万4,370円(21年3月末時点)が集まり、21年6月21日までに2,806食を学生に提供した。
 金沢中央信組の石田氏は、近江町市場開場300年記念の「金沢市民の台所 近江町市場三百年史」を編さんする編集委員長を務め、明治から令和時代の執筆を担当。近江町市場を発祥の地とする金沢中央信組は、創設者の野村喜一郎初代組合長が市場の魚騒動「近江町争議」を解決に導くなど、市場との関係は深い、という。

 石田氏は、自らの足で各所を丹念に回る〝しんくみ流〟の地道な調査・資料収集活動で、人々が互いに助け合ってきた近江町市場の歴史を掘り下げ、地域のコミュニティー再認識の機会をつくった点が評価された。発掘した歴史資料は、姿を消した市場の入口にあった「魚市場」の標柱の写真や、戦後ヤミ市と化した市場の正常化のため正規店に与えられた鑑札、幻の市場CMソングの音源など多岐にわたる。

 このほか、優秀賞は、北郡信用組合(山形県村山市)・横浜幸銀信用組合(横浜市)・塩沢信用組合(新潟県南魚沼市)・のぞみ信用組合(大阪市)の4信組の事例が選ばれた。

 北郡信組は借りた本を記帳する読書通帳3千冊を地元図書館経由で地域の小学生に配布し読書活動を促進。横浜幸銀信組は子どもの貧困解消のための寄付型自動販売機を設置するなど子どもや子育て世代を応援する活動を展開した。

 塩沢信組は地元の宿泊業者を集めて、コロナ禍の感染防止策や宿泊客を確保する方策などを話し合う「安心衛生サミット」を開き、地元事業者を支援。のぞみ信組は、盲導犬育成事業を応援する定期預金・定期積金を販売し、毎年一定額を社会福祉法人日本ライトハウスに寄付したことが評価された。