海洋汚染の原因となり生態系への悪影響も指摘される微小なプラスチックごみは、日本周辺から北太平洋にかけての海域では1953(昭和28)年から存在し、70年代から急増したとする研究結果を、東京大などのチームがまとめた。稚魚調査のため同海域で1949年から2016年にかけて採取、保管されていた海水サンプル7,000本を分析し判明した。研究チームの東大大気海洋研究所の道田豊教授は「海洋プラごみによる汚染が約70年間続いている証拠」と述べ、国際ルールづくりなど早急な対策を求めている。日本財団と東京大が2019年に開始した共同プロジェクトの成果として4月19日、発表した。

 海洋に流出するプラスチックは世界で年間約800万トン以上、日本からは年間2万〜6万トンとされる。紫外線などによって5ミリ以下のマイクロプラスチックや、より小さいナノサイズ(ナノは10億分の1)となり、長期間にわたり海中を漂ったり海底にたい積したりする。

 研究チームは、国立研究開発法人水産研究・教育機構が保管している約70年分の海水サンプルを分析、微小プラスチックの有無や大きさ、量などを調べた。その結果、最も古いものでは1953年採取のサンプルから微小プラスチックを検出。微小プラは70年代から急増し、80、90年代にはやや減少か横ばいになったが、2000年代に再び増えた。サイズ別では小さいプラごみの比率が年々増えていた。検出されたプラスチックの材質などは分析中という。

このほか、沖縄県内の離島のオカヤドカリについて、微小プラスチックやプラスチック製造時に添加される難燃剤などの体内蓄積を調べたところ、プラ汚染が進んだ海岸では蓄積が進み、難燃剤が毒性の高い物質に変化していた。ムラサキイガイにプラスチック粒子を吸入させる実験では、小さい粒子は初期の排出は早いが体内に長くとどまり、大きい粒子は初期排出は緩やかだが全て排出されることも分かった。

ヒトの培養細胞を使った研究では、数十ナノメートルの粒子は血流、それより大きい数百ナノメートルの粒子はリンパ系に入り、異物と認識した免疫細胞が活性化した。継続して長期的に取り込まれた場合に炎症を引き起こす可能性については、今後の研究が必要という。

発表会で日本財団の笹川陽平会長と東大の藤井輝夫学長は、共同プロジェクトの第2期として2025年3月までの3年間で、海洋プラごみの人体への影響などの研究を進めるほか、瀬戸内海など3カ所をモデルフィールドとして「ごみゼロ」事業を実施、科学的根拠に基づく政策の提言や条例制定を目指すことを明らかにした。