近年、世界は、記録的な暑さ、熱波、巨大台風、洪水などの異常気象に見舞われている。気候変動の影響は未来のことではなく、もはや顕在化している今日的問題である。もちろん、地球環境の変化から日本も免れることはできない。われわれ一人一人にとっての危機でもあるのだ。

 エジプトで11月6日に開幕した国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の前に、世界気象機関(WMO)が発表したところによると、2022年の世界の平均気温は産業革命前を1.15度上回り、観測史上5、6番目の高さになるとの見通しを示した。

 この10年間(2013〜2022)の世界の平均気温は産業革命前(1850〜1900)を推定で1.14度上回っている。ちなみに、2011年から2020年までの10年間はプラス1.09度だった。

 2021年に英グラスゴーで開かれたCOP26では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「1.5度に抑える」ことを世界共通目標にすることで合意している。

 ヨーロッパ・アルプスの氷河が溶けている。グリーンランドの氷河は26年連続で減少した。スイスの氷河の体積は、2021年から2022年の間に約6%減ったという。2001年から2022年の間にスイスの氷河の体積は77キロ立方メートルから49キロ立方メートルへと3分の1が失われた。

 長期にわたる厳しい熱波、冬の終わりにピークを迎えるはずの降雪が少なかったこと、サハラ砂漠から飛んできた砂ぼこりが影響したという。

 北極海の氷は今年2月25日の時点で192万立方キロメートルにまで減った模様。これは記録的な低水準で、これまでの長期平均から100万立方キロメートル少ない。

 そして、海面水位も上昇し続けている。2020年1月からの上昇は約1センチだった。過去2年半の海面水位上昇は、約30年前に観測が始まって以来の上昇の10%に上る。

 「海水面の上昇は沿岸部の住民や低地にある国々にとって長期的で大きな脅威になっている」とWMOのターラス事務局長は記者会見で述べた。

 人間が生み出す温暖化ガスによる熱のおよそ90%を蓄積しているとされる海。その表面2,000メートルの海水温は上昇を続けており、昨年には記録的な高水準となった。とりわけ過去20年の上昇率が極めて高い。この上昇傾向は続くとみられている。

 ターラスWMO事務局長は「気候変動に最も責任が少ない人々が最もひどい影響を受けています。例えば、パキスタンの洪水や、アフリカの角(アフリカ大陸東端のソマリア全域とエチオピアの一部などを占める半島)で長期間続いている干ばつなどです」という。

 今年7、8月の記録破りの豪雨によってパキスタンでは大規模な洪水が発生した。少なくとも,1700人が亡くなり、3,300万人が影響を受け、790万人が避難を余儀なくされた。
 一方、東アフリカでは乾季の平均降雨量が四期連続で平均を下回っている。これはこの40年間で最も少ないという。干ばつなどによって、推定で1,840〜1,930万人が「食料危機」に直面している。これが続けば、農作物が不作となり、ケニア、ソマリア、エチオピアでは食料不安がさらに悪化すると警告されている。

 南アフリカ地域は今年初めから2カ月間、相次ぐ台風に見舞われた。最も影響を受けたのはマダガスカルで、豪雨によって激しい洪水に襲われた。また台風によってキューバや米フロリダ南西部も被害を受け、多くの人命が失われる結果となった。

 ヨーロッパの多くの地域で熱波が報告された。英国では今年7月19日に気温が初めて40度を超える記録的暑さとなった。干ばつや森林火災も続いている。ライン河、ロアール河、ドナウ河といったヨーロッパの川は危険なほどの水位の低下をみている。

 ここ日本も気候変動の影響を免れない。これまで40度以上を観測したのは、1875年の統計開始以来、32地点で計67回。そのうち2018年以降で、計40回観測している。これまでの国内最高気温は、埼玉県熊谷市(2018年)と静岡県浜松市(2021年)の41.1度。

 一方で、一日の最低気温が30度以上の日は、北陸地方を中心とした11地点で計15回となっており、新潟県糸魚川市で2019年8月15日に観測された31.3度が最高記録。

 気象庁は、最高気温35度以上の日を「猛暑日」、夜間の最低気温が25度以上は「熱帯夜」としている。しかし、この数年の「熱さ」が異常なレベルになっていることを受けて、一般財団法人「日本気象協会」(東京)は、所属する気象予報士130名にアンケートを行い、40度以上の日を「酷暑日(こくしょび)」、夜間の最低気温が30度以上の夜を「超熱帯夜(ちょうねったいや)」と呼ぶことにしたと、今年8月に発表した。