信金中央金庫(柴田弘之理事長)がSDGs(持続可能な開発目標)と地域振興に取り組む全国の地方自治体を支援する「SCBふるさと応援団」事業の寄付金総額が、2020年度から22年度までに合計24億3500万円に達した。寄付先は全都道府県の計232地方自治体、246事業に上る。 寄付は、信用金庫の中央金融機関である信金中金が創立70周年を迎えた20年度から3カ年にわたり実施。企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)制度などを活用し、協 同組織の地域金融機関である各地の信用金庫の推薦を受け、寄付先の自治体と事業を選定してきた。寄付金額は1事業に対し1千万円が上限。実施の目的について「寄付を通じて、地元の信金と自治体、民間事業者が協力しSDGsの目標に沿った事業を展開するきっかけをつくりたい」(信金中金)としている。信金が事業を継続的にサポートしていくため、一過性の寄付に終わらない、地域への定着を目指した取り組みになっている。 寄付先をSDGsの17目標別(複数選定)に分類すると、延べ事業数では「働きがいも経済成長も」が178で最も多く、「住み続けられるまちづくりを」(162)、「パートナーシップで目標を達成しよう」(129)などが続くが、全国各地で、以下の事例のように、地域ごとに異なる課題や事情に応じ、多種多様な事業が展開されている。

 ▽地域商社(山口県下関市/西中国信金)

地元の産官学金が連携し疑似的な貿易商社「下関地域商社」を設立。海外ニーズに応じた商品開発、プロモーション、テスト販売などを一貫して支援し、市内中小企業の海外販路拡大を目指す。

 ▽創業・起業(大分県別府市/大分みらい信金)

市内の立命館アジア太平洋大学などの学生を対象に、地元事業者との交流やビジネスプランコンテストなどを通じ、起業前の準備段階から市内で事業化するまで、産学官が連携して支援。新規事業の創出や観光産業の活性化を目指す。

 ▽担い手育成(石川県能登町/興能信金)

都市部を離れ「能登の暮らしを体験しながら仕事をする」ワーケーションなどを通じ、町のコアなファンを増やし、移住・副業支援を実施。

 ▽文化・教育(滋賀県彦根市/滋賀中央信金)

市内の図書館に、子どもたちが読んだ本を通帳に記録する「読書通帳機」を設置し、その利用特典として滋賀中央信金や地域の工場などの職場見学ツアーを開催。子どもたちの「自ら学び、考え、判断する力」を養う。

 ▽エネルギー(新潟県柏崎市/柏崎信金)

東京電力の柏崎刈羽原子力発電所がある地域で、風力、太陽光などの低炭素電力を活用したエネルギーの地産地消を目指す。地域エネルギー会社を設立し、関東圏への電力供給を視野に、市内の公共施設や事業者から販売を始める。

 ▽販路拡大(東京都品川区/城南信金)

区内のものづくり企業やIT産業の販路拡大、ネットワークの構築を促すため、商談会の開催や展示ブースの設置などを行う。 SCBふるさと応援団事業について、信金中金は「SDGsの『誰一人取り残さない』という原則は、相互扶助(=助け合い)を理念とし、地域に根差し、地域と共に発展する信用金庫にとって、非常に親和性が高い。信用金庫はSDGsの概念が生まれる前から常に 持続可能な地域づくりに取り組んできたが、これを一層推進していく」(IR広報室)と話している。こうした一連の活動が評価され、22年には金融機関としては唯一、「令和3年度地方創生応援税制に係る大臣表彰」も受賞した。