中小企業の人手不足が深刻化する中で、「労働生産性のさらなる向上」が課題となっている。課題解決に向けた手段の⼀つとして注目されているのが「従業員のリスキリング」。「リスキリング」は、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務上必要とされる新しい知識やスキルを学ぶことで、業務効率化や採用コストの抑制などさまざまな効果が期待されている。

 そのような中、大同生命保険(大阪市)は、全国の中小企業経営者を対象に2015年10月から毎月実施しているアンケート調査「大同生命サーベイ」で、2023年10月度調査の主要テーマに「従業員のリスキリング」をすえ、認知度や推進状況などを探った。調査は、全国の7314社の中小企業経営者を対象とし、9月1日〜28日に訪問またはZoom面談により行った。

 まず全体にリスキリングの認知度を尋ねたところ、「言葉の意味や内容を知っていた」は24%にとどまった。「言葉は聞いたことがある(内容は知らなかった)」が32%、「言葉を聞いたことがなかった」が44%だった。従業員規模が小さい企業ほど、認知度も低い傾向が見られた。

 リスキリングの必要性については、「大いに必要だと思う」(15%)と「必要だと思う」(56%)を合わせて、全体の71%が「必要だと思う」と答えた。一方で、実際にリスキリングを「推進している」と回答した企業は全体の19%にとどまり、「推進予定(検討中)」が38%、「推進してない」が43%だった。「リスキリングは必要」と回答した企業でも、実際に推進している企業は25%にとどまった。

 リスキリングを「推進している」と回答した経営者に内容を尋ねたところ(複数回答)、「社外研修の受講勧奨」(58%)が最も多く、以下、「社内研修の開催」(44%)、「学習教材の購入・提供」(26%)、「オンライン講座・eラーニングシステムの導入」(25%)と続いた。

 リスキリングにより従業員に身につけてほしい知識・スキルを全体に尋ねたとところ(複数回答)、「営業・販売」が41%で最多。以下、「IT・デジタル」(29%)、「生産管理」(25%)、「財務・会計・経理」(17%)、「マーケティング」(16%)と続いた。

 リスキリングを「推進している」「推進予定(検討中)」と回答した経営者に「期待する効果」を尋ねたところ(複数回答)、「業績の向上」(54%)や「生産性の向上」(53%)が多かった。また、約3割(27%)の経営者が、リスキリングを通じて「人手不足の解消」を期待していた。

 回答した経営者たちからは、「リスキリングの必要性は理解しているが、目の前の仕事をこなすので精いっぱい。今はそこまで考える余力がない。また、社外研修を受講させるとその日の業務に支障が出る(建設業/北関東)、「私(経営者)だけでなく、従業員も必要性を理解して取り組まないと意味がない」(建設業/四国)、「積極的に取り組みたいが、費用負担が難しい。政府や自治体に補助金などの支援を検討してほしい」(その他サービス業/北海道)など、取り組む上での課題を訴える声が上がった。

 一方で、「従業員によって作業効率に差がある。リスキリングを通じたスキルアップにより、品質を安定させたい」(製造業/北陸・甲信越)、「リスキリングによる成功事例を教えてほしい。その中で自社に合ったものを見つけたい」(運輸業/東海)、「商工会議所のリスキリング支援により、さまざまなメニューを従業員自身が選んで受講している。従業員が興味も持って積極的に取り組むことが大事」(教育・学習支援業/南関東)など、取り組みに前向きな声も寄せられた。