NHK大河ドラマは、主人公ゆかりの地がある地方都市にとって、観光誘客の起爆剤になると期待されている。2024年は「源氏物語」の作者で知られる紫式部をモデルとした「光る君へ」で、関係地は「大河ドラマ館」を開館するなど盛り上げ策に取り組んでいる。

 これまでに、「源氏物語」の構想を練ったという石山寺がある大津市、「源氏物語」の舞台になったとされる京都府宇治市、父(藤原為時)の赴任に伴い、紫式部が一緒に訪れたと伝わる福井県越前市が「大河ドラマ館」を相次いでオープンした(宇治市は3月11日から「ドラマ展」として公開)。中でも越前市は「紫式部が唯一、都を離れて暮らした地」をアピール。3月16日に北陸新幹線の金沢〜福井・敦賀延伸で新駅「越前たけふ駅」が誕生することもあり、市を挙げて紫式部効果に期待を寄せている。

▽「式部が暮らした街」

 JR武生駅前にある越前市役所は「紫式部が暮らした越前市」の大きな横断幕を掲げる。「光る君へ 越前 大河ドラマ館」は、武生中央公園内の屋内催事場に設置。名称を「しきぶきぶんミュージアム」として、越前市などでつくる官民組織「紫式部プロジェクト協議会」が2月23日から12月30日まで運営する。

 ドラマ館は、父・為時が越前守(えちぜんのかみ)として赴任した越前国府をイメージして制作。為時邸の居室を再現し、主人公まひろ(紫式部)役の吉高由里子さんがドラマで着用した衣装の展示もある。

 このほか、吉高さん、為時役の岸谷五朗さん、藤原道長役の柄本佑さん3人の等身大パネルと記念撮影できるほか、ドラマの舞台裏を解説したパネルも展示。テレビだけでは味わえない大河ドラマについて知ることができる。

 同ミュージアムには、ドラマ館に加え、地元デザイナーによる人工知能(AI)技術を使った空間芸術「紫式部 想創庵(そうそうあん)」も設置し、最新技術で越前市の歴史を感じることができるコーナーもある。

▽黄金の式部像

 越前市には1986年に完成した寝殿造り庭園に黄金の紫式部像や歌碑などがある紫式部公園があり、隣接する資料館「紫ゆかりの館」でも紫式部と越前国府について知ることができる。

 市中心部にある歴史建築・武生公会堂記念館では、紫式部が都から越前までの道をたどった企画展を実施(3月24日まで)するなど、市内は紫式部一色になっている。

▽3市連携ホームページも

 大河ドラマ館は、23年に放映された「どうする家康」では、徳川家康に関係する愛知県岡崎市、静岡市、浜松市に開館。浜松市では期間中、目標の50万人を超える約64万人が来館し「周辺の観光地もにぎわった」という。

 今回、越前市、宇治市、大津市の3市は、ゆかりの街をアピールしようと連携ホームページ「かいまみる紫式部」を立ち上げ、観光地案内などを掲載している。越前市は大河ドラマ効果で、ドラマ館と周辺の関連施設に25万人の来場を目標にする。大河ドラマ館運営本部の西川哲司館長は「能登半島地震で福井県内の被害は、さほど大きくなかったが、旅館などは影響を受けた。ドラマが盛り上がって『大河ドラマ館に行ってみたい』と思ってもらえるよう運営したい」と期待は大きい。

▽シャトルバスも運行

 地元関係者は「新幹線でどのくらい観光客が増えるか」と、3月16日からの北陸新幹線開業に大きな関心を寄せる。越前市は開業に合わせ、新幹線「越前たけふ駅」からJR武生駅を経由し、大河ドラマ館までのシャトルバスを運行する。「新幹線と大河ドラマ」で経済効果がどの程度表れるか、ドラマの視聴率も気になりそうだ。