東京タワー内にある、日本最大規模のeスポーツパークとして人気の「RED° TOKYO TOWER」に、エキサイティングなアトラクションが導入された。最先端のセンシング技術を搭載し、美しいデータビジュアルと多彩なサウンドで圧倒的なエンターテイメント体験を演出する『CYBER BOCCIA S(サイバーボッチャ エス)』だ。ゲームのルールは到ってシンプルだが、高い戦略性とゲーム性をあわせ持っているため、やればやるほどハマってしまう魅力があるという。そこで今回は、新たなプレースポットをお探し中の読者の方たちに向け、『CYBER BOCCIA S』の楽しみ方を体験レポートしていきたい。

目指すは、東京のど真ん中!アクセスも便利な東京タワー内のテーマパーク


東京タワーのエントランス正面に見えるエレベーター乗り場。右の3機は展望台直通なので、「RED° TOKYO TOWER」に行くには左の2機を利用する

『CYBER BOCCIA S』が導入されたeスポーツパーク「RED° TOKYO TOWER」は、その名の通り、東京タワーの中にある。「フットタウン」と呼ばれるテナント施設の1階と3〜5階、およそ5600㎡におよぶ広大な空間に新感覚のゲームテーマパークが広がっている。

「インスパイアゾーン」と名付けられた3階のフロアは、eスポーツの魅力を凝縮させた「RED° TOKYO TOWER」の世界に触れるスタート地点。エントランスを抜けると、プロジェクションマッピングを使ったクールな映像演出がお出迎えをしてくれ、フロアの中に入るとVRゲームやレトロゲームなどの体験コンテンツが用意されている。


(左)近未来感を感じさせるRED°のロゴが浮かび上がるプロジェクションマッピング。コンセプトカラーであるレッドは東京タワーのイメージともマッチ。(右)VR 空間を自分の足で360 度自由に移動することができ、まるでSF映画の世界に飛び込んでいるかのような体験ができる「KATWALK(キャットウォーク)」

一方、5階は2つの次世代アリーナを備え、eモータースポーツやポーカーなどのマインドスポーツを楽しめる「アルティメットゾーン」。リアルタイムで3DCG映像を合成できるXR技術を搭載した日本初のハイブリッド型スタジアムでは、eスポーツの大会やアーティストによる音楽ライブが日々開催されている。


(左)リアル×バーチャルの圧倒的な迫力を体験できる次世代スタジアム「RED゜TOKYO TOWER SKY STADIUM」。(右)レーシングドライバーの織戸学さんが開発したシミュレーター。本物さながらのレーシングコクピットに乗り込み、圧倒的な臨場感とスピード感が味わえる

そして4階が、『CYBER BOCCIA S』が導入された「アトラクションゾーン」。多彩なフィジカルeスポーツを楽しめるフロアになっており、ドローン競技や謎解きアトラクションといった体験型コンテンツも充実している。なかでも、スポーツとテクノロジー、文化と融合させることでアップデートした「超人スポーツ」のアトラクションは高い人気。『CYBER BOCCIA S』もこの「超人スポーツ」の競技のひとつに数えられている。


(左)手から繰り出される波動を武器に仮想空間で戦う話題のARスポーツ「HADO(ハドー)」
(右)エアートラックとARが融合したフィットネス感覚のフィジカルゲーム「VALO JUMP(バロジャンプ)」

知的好奇心と五感を刺激!やればやるほど奥深いサイバーボッチャの魅力


『CYBER BOCCIA S』のコートの大きさは、実際の競技で使われるコートの1/6ほど。ボッチャのルールはそのままに、実際の競技では体験できない光や音の演出がプラスされている

人気のeスポーツゲームが楽しめる「アトラクションゾーン」の中でも、ひときわ目を引く存在なのが今回紹介するメインコンテンツ『CYBER BOCCIA S』だ。昨年の東京2020パラリンピックでも日本代表の杉村英孝選手が金メダルをとったことで話題となったボッチャを、エンターテインメント性の高いゲーム空間で楽しむことができる。

ルールは至ってシンプルで、「ジャックボール」と呼ばれる白い目標球に向かって、それぞれのプレーヤーが6個のボールを投げ合い、どれだけジャックボールに近づけられるかを競い合う。投球の正確さと戦略性が勝敗を分けることから、「地上のカーリング」とも言われている。


カーリングと違う点は、目標球の位置が変わること。ボールをぶつけて、目標球の位置を変えるのも自由だ。そのため、一発逆転も起こりやすく、先の展開が読めないドキドキ感がある

もともとは脳性まひなどにより四肢に障がいのある人のために考案されたパラスポーツ。実際の競技では、障がいに応じて選手ごとに異なるスタイルで投球を行い、足で蹴る選手や、滑り台のようなランプと呼ばれる器具を使ってプレーする選手もいる。

それぞれのプレーヤーが投げるスペースは決められており、その中央に白いジャックボールが1つと、赤と青のボールが各6つ用意される。プレーヤーは赤チームと青チームに分かれて、それぞれの色のボールを投げ合っていく。


ゲームで使用されるボールは、競技で使われるものと同じボールを採用

また『CYBER BOCCIA S』には、初めてボッチャをプレーする人たちに向け、モニター上でルールの説明やゲームの遊び方を教えてくれる嬉しい機能も搭載されている。場所柄、外国人観光客の方たちの来場も多いため、日本語のほか、英語と中国語でのナビゲーションが対応可能だ。


ゲームの説明からルールの解説まで、4つのステップに分けてレッスンしてくれる

それでは、いざプレーと参りましょう! この記事の執筆を担当したライターの高柳に加え、株式会社ワントゥーテンで『CYBER BOCCIA S』の開発を手掛けたプロデューサーの住本宜子(すみもとのぶこ)さんにも参加いただき、『CYBER BOCCIA S』を楽しみました。まずは先攻となる赤チームの住本さんがジャックボールをコートに向かって投球。以降、このボールを「的(まと)」にお互いが投げ合っていくことに。


先攻はジャックボールをコート内の好きな場所に投げることができる。そのため、自分がボールを寄せやすい位置に投げておけば、ゲームを有利に展開することも可能だ

続けて先攻の住本さんがジャックボールをめがけて赤いボールを転がすと、お見事、ジャックボールのすぐ近くでストップ。すると、上に取り付けられているセンサーがジャックボールとの距離をミリ単位の精度で自動計測し、前面のモニターに表示してくれた。競技のように審判に計測してもらう手間がかからないのも、『CYBER BOCCIA S』ならではの特徴。


ジャックボールとの距離はわずか13.29cm。さすが開発者の住本さん!

次は後攻の高柳が青いボールをストローク。ボッチャ初体験となる高柳だが、ビギナーズラックが起きたのか、住本さんの赤いボールを押し退けてさらに近くへとアプローチ。


目視では、ほぼ同じくらいの位置にあるように見えたが、僅差で高柳がリード

ボッチャでは、ジャックボールから遠い方のチームがボールを投げ続けていくルールになっているため、次は赤チームの住本さんの投球に。この要領で6球ずつを投げ、最終的にジャックボールに最も近いボールを投げた方に得点が入り、勝者となる(実際の競技ではこれを4〜6回繰り返し、得点の多い方が勝利する)。得点は、ジャックボールに最も近い敵側のボールとジャックボールの間に残った勝者側のボールの数で計算する。


頭ではわかっていても、目標球に近づけるように投げるのは意外と難しい

ボールの色や高さ、距離をリアルタイムに自動計測してくれるセンシング機能に加え、ボッチャの戦略性やゲーム性を美しくビジュアライズ化している点も『CYBER BOCCIA S』ならではの魅力だ。次に投球するチームをスクリーン上に表示してくれたり、投球中のチームのカラーをLEDで照らすことでゲームの盛り上がりも演出してくれる。また、ゲームのクライマックスに向けて、音楽も徐々に盛り上がっていく仕組みも面白い。


次の投球者が青チームだと教えてくれるモニター
スローイングラインに付けられたLEDライトが、投球中のプレイヤーのカラーを浮かび上がらせる

初めて挑戦した感想は、ビリヤードやダーツのような知的好奇心を刺激するゲーム性がありながらも非常に親しみやすく、何度でもやりたくなる中毒性があるということ。ボールを弾ませてジャックボールに近づける「ジャンプ」や、密集したボールの上にボールを乗せる「ライジング」といった独自のテクニックもあるなど、知れば知るほど奥深い魅力がある。とはいえ、感覚的に楽しめるゲームなので、友だちや家族で対戦すれば、思わず熱中してのめり込んでしまうのは間違いないだろう。

効かせたのは、「面白いと思って調べたら、実はパラスポーツだった」というギミック


ワントゥーテンが設計およびデザインを担当したパラサポのオフィス。「 i enjoy ! (楽しむ人は、強い)」というキーメッセージを掲げ、パラスポーツの魅力や世界で活躍するアスリートをアピールする場所として機能した

そんな新感覚なアトラクション『CYBER BOCCIA S』を開発したのは、日本財団パラスポーツサポートセンターのオフィスデザインやプロモーションも手掛けたクリエイティブスタジオ、ワントゥーテンだ。デジタル技術を駆使した新サービスの開発やプロジェクションマッピングを活用したデジタル演出など、クリエイティブとテクノロジーを融合させた独自のコンテンツやソリューションを展開している。

『CYBER BOCCIA S』は、同社が2017年から始動したパラスポーツとデジタル技術を融合させたプロジェクト「CYBER SPORTS(サイバースポーツ)」の一環として生み出されている。先述の住本さんは、その開発理由について次のように語ってくれた。


ワントゥーテンのプロデューサーとして、「CYBER SPORTS」プロジェクトを統括し、『CYBER BOCCIA S』の開発にも携わった住本宜子さん

「東京2020パラリンピックの開催に向け、一般の方たちにもパラスポーツに興味を持ってもらいたいと考えたのがきっかけです。これまでに触れ合ったり、観戦する機会もなかったパラスポーツを自分ゴトとして捉えてもらうには、パラスポーツの面白さやパラアスリートたちのすごさをゲーム化し、エンタメ体験として味わってもらうのが一番だと思ったんです。

そのなかでボッチャを題材にしたのは、実際にプレーしてみると、戦略性もゲーム性も高い競技でありながら、老若男女、障がいの有無を問わず楽しめるスポーツだから。誰でも気軽に楽しめることをコンセプトに、ビリヤードやダーツといったバーで遊べるクールなナイトスポーツをイメージして開発しました。最初からパラスポーツであることを全面に押し出すのではなく、やっているうちに『このゲームは面白いな! なんていうスポーツなんだろう?』と調べてみると、実はパラスポーツだったという展開の方が気づきもあるし、印象に残ると思ったんです」(住本さん)

『CYBER BOCCIA S』の魅力は、どちらが勝っているのか戦局が読み取りづらい、審判がその都度メジャーやコンパスを使って計測しないとゲームが進行しないといった、ボッチャがいまひとつ盛り上がらなかった問題点をテクノロジーの力で解決し、ビジュアルやサウンドの演出でよりエンターテインメント性の高いゲームに仕上げたところにある。それは障がいのある人と健常者の間にある見えない壁を取り払い、みんなで楽しめるスポーツを開発したいと願う住本さんや開発スタッフの志があったからこそ得られた進展に違いない。

こうしたパラスポーツを身近にする取り組みの一つひとつが、障がいへの偏見をなくし、社会にダイバーシティ&インクルージョンを根付かせる足がかりとなってくれる。これまでパラスポーツに挑戦したいと思っていてもなかなかやる機会を持てなかったという人は、ぜひ『CYBER BOCCIA S』で楽しみながら挑戦してみてはいかがだろうか。

text by Jun Takayanagi(Parasapo Lab)
photo by Yoshio Yoshida, 1→10