パナソニックは、「サスティナビリティ経営の考え方と取り組み」として、グループCEOの楠見雄規氏による説明会を開催した。

同社の進むべき方向性について楠見氏は、1932年に開催された同社第一回創業記念式での「物と心がともに豊かな理想の社会の実現に向けて邁進する」という創業者松下幸之助氏の言葉に立ち返り、「その実践こそ当社が目指すこと。すなわち競争力の徹底強化で、その具現化のため社員の行動規範を示したものが経営基本方針である」と強調する。

あらためてサステナビリティの視点でこれが説明された。「松下幸之助氏は、物と心がともに豊かな理想の社会の実現を250年かけて実現するとした。10世代をかけての遠大な取り組みであり、しかも次の世代のために自分達が犠牲になるのでなく、自ら人生の幸福を味わい全うし、なお次代をよくすること。まさに心身ともに幸せなウェルビーイング、サステナブルの考え方がパナソニックの使命の根源である」と語った。

経営基本方針の要旨は「まさにESG。環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に沿ったもの」だとコメント。理想の社会実現に向け、「立派な仕事をするのは、環境と社会の視点、すなわち地球環境問題の解決や心身の健康と幸福にお役立ちを果たし、得られた利益を社会に還元し、さらなるお役立ちに向けた投資にまわすこと。環境社会へのお役立ちを持続するガバナンス視点での自主経営、社員一人ひとりの稼業の実践、人を生かし衆知を集めた経営、公明正大の精神をうたっている」とした。

サステナビリティ経営の実現に向けた取り組みについては次のように説明した。環境テーマに対しては、喫緊の課題を地球環境問題と認識し、グループ全事業で取り組むべきとあらためて強調。「2030年までに全事業会社のCo2排出を実質ゼロに、2050年までに自社バリューチェーン全体のCo2排出規模を上回る削減貢献をする」とのコミットに対して、「CESにてPanasonic GREEN IMPACTとして発信した」と報告した。

社会テーマに対しては、「心身ともに健康で幸せな状態=ウェルビーイングをくらしでもしごとでも実現したい」とし、「当社の従業員ひとりひとりがウェルビーイングであって初めてお客様へのお役立ちを果たせる」と認識する。

環境の取り組みとしてさらに説明する。「パナソニックの全事業会社が排出するCo2のスコープ1、スコープ2は2030年までに実質0にするが、加えてスコープ3は、バリューチェーン全体で約1.1億トンにのぼり、世界の電力消費の約1%にあたる。世界で10億人以上のお客様にパナソニック商品を愛用いただき、年間電力消費が8600万トン。そのうち80%となる照明・空調・換気機器のエネルギー削減を加速すれば、スコープ3の領域を減らせる」。

また2050年に向けて重点的に、「B to BやB to Gのお客様にエネルギー削減とクリーンエネルギー創出・利活用の提案を通して、社会のエネルギー変革に貢献する」とした。これをPanasonic GREEN IMPACTとし、グループ全体で拡大にコミットするという。「グループの多様な事業を通じ、くらし、街、モビリティ、サプライチェーンの領域でCO2の削減貢献を加速する。生産で使用するエネルギーを削減、無駄のない使い方をし、化石原料から電気へシフトし、供給エネルギーを再生可能エネルギーへ置き換える。さまざまな産業での需要サイドのアクションが供給サイドの再エネ化を加速させることが社会のエネルギー変革を生むインパクトになる」。

エネルギー削減の事例として、照明で快適性をそこなわず最大30%省エネを実現する、機器の革新、機器の連携などで2030年までに40%のエネルギー削減を目指す、といったことが挙げられた。そして、社会のエネルギー変革への貢献取り組みとして、電化を進める必要があるとし、ヒートポンプ式温水暖房機、IH調理器などの例が挙げられた。また、エネルギーの有効活用による排出量削減とりくみとして、低い環境負荷の吸収式冷凍機によるコージェネの排熱利用などが挙げられた。

また、社会のエネルギー変革への貢献として、環境車向け車載電池の戦略を紹介。円筒型で主流となる4680セルは、生産性を向上させコスト力を高めるという。現在主力の2170セルの需要拡大に対応し、北米で生産ラインを増設した。これにより環境車普及拡大の貢献を目指す。水素を活用したRE100ソリューションの実証も、滋賀県草津の燃料電池工場で今年春より開始されるという。

循環型社会への貢献として、再生樹脂の用途拡大へ、独自技術で3種類の樹脂を同時に選別できる取り組みなどが紹介された。2014年から2022年までに約17万トンの再生樹脂を製品に活用したという。

くらしのウエルビーイングでは、昨年9月に米国でスタートしたYohanaサービスが挙げられた。共働き家族に対して、専属アシスタントがAIを活用し、暮らしに沿った提案や支援を行うパーソナルアシスタントサービスで、地域のエキスパートとも連携しているという。また高齢化が進む中国でのまちづくりの取り組みも挙げられた。住空間の事業制御と、コンシェルジュによる対面サービス、身体や認知機能低下を予知するサービスなどを提供するという。

しごとのウェルビーイングでは、ブルーヨンダー社のデータ分析から、パナソニックの現場のエッジデバイスを組み合わせ、現場の改善とIT化を進める。働く人々がよりクリエイティブな活動に取り組め、人手不足、後継者不足などの解決、食品廃棄ロス削減にも貢献する。

またパナソニック汐留オフィスでのワークスラボも挙げられた。人起点での空間を最適化し、快適にはたらけるウェルネス環境を提供する。ここでソリューション磨いてお客様にも提案するという。

お客様へのウェルビーイングの実現は、従業員のウェルビーイングでも競争力をもたなくてはならない。グローバル24万人の社員に対して、ワークライフバランス実現は責務だと考えているとした。具体は事業会社で検討し、労働組合と協議するが、選択的週休3日制導入や、ホームオフィス導入などを目指す。評価制度や役職選考制度を見直す。役職者の女性比率が低い現状を早急に変えていくという。

最後にサスティナビリティ経営を支えるガバナンスについて説明された。来年度より新中期戦略に移行するが、事業会社では10年先の社会・環境課題の解決を起点とし、来年度をまたずに着手できるものは実行するという。現場の無駄と滞留を撲滅しオペレーション力を高める。拡大された権限と責任のもとで、独立した会社として自主責任経営をさらに推進する。持ち株会社では、事業会社の競争力を高めるための競争力KPIを見届け、事業会社と徹底討議する。

「当社はESGという言葉で経営の説明をあまりしてこなかった。当社の伝統的な考え方がESG経営そのものであることが理解いただけたかと思う。物と心の豊かな理想の社会を実現しながら経営自体をサステナブルにするということにほかならない。お客様の理想のくらし、理想のしごと、地球環境に貢献するよう邁進し、利益を生み出し、企業価値向上につなげる」と説明をしめくくった。