「音質」「装着」「音量」の3点を追求した製品ポイントを解説

■ドライバー、デジタル信号処理、ANCアルゴリズムも自社開発

音質面では、独自開発の10mmダイナミック型ドライバー「f-CORE for 8K SOUND」と、一から自社開発を行ったデジタル信号処理技術を搭載。どちらか一方ではなく、両方が組み合わさることで、始めてZE8000の音質が実現できたという。

f-CORE for 8K SOUNDは、従来モデル「ZE3000」で採用した6mmドライバー「f-CORE for Wireless」をさらに発展させたもので、振動板本体と周辺のエッジ部を分割して製造。さらに、ボイスコイルを振動板と接着しない空中配線方式とすることで軽量化。非常に高精度かつ低歪を実現した。また、アンプもAB級を搭載し、大型の薄膜高分子コンデンサーを採用するなど、ドライバー以外も音質を優先した設計となっている。

アクティブノイズキャンセリング機能(ANC)、および外音取り込み機能も搭載。一般的なANC機能は、効き目を追求すると低音が滲むなどの音質劣化を引き起こしたり、耳に圧迫感や違和感を与えることがある。そこでZE8000では、外部の技術者の協力を得て独自にアルゴリズムを開発。音質におよぼす悪影響や、耳に受ける圧迫感/違和感を抑えつつ、効き目を確保したという。

ANC/外音取り込みはイヤホン本体のタッチ操作により使い分けることが可能。加えて、後述する専用アプリ「final CONNECT」より、ウインドカットモード/ながら聴きモード/ボイススルーモードの3通りのモードを切り替えることもできる。ウインドカットモードはマイクに風があたることで発生するノイズを抑え、ながら聴きモードは再生中の音楽の音量はそのまま外音を取り込み、ボイススルーモードは再生中音楽の音量を下げて外音をより聞き取りやすく取り込む。

■フィット感を高める構造で「カスタムイヤピ」にも対応予定

装着面においては、ドライバー部と基板/バッテリー部を分割した構造とすることで、耳に収まる部分を小型化し、フィット感を向上。イヤーピースはドライバー部まですっぽりと覆う本モデル専用設計で、5サイズが付属する。適切なサイズのイヤーピースを選び、耳にいれて角度を調節すれば、イヤーピースの傘部分が耳の入口を軽くふさぐようにフィットするという。

細尾氏によれば、この構造を活かし、ユーザーひとりひとりの耳型を元に作るカスタムイヤーピースも提供する予定とのこと。2023年の春頃から、ソフトタイプ/ハードタイプの2種類の展開を検討しているそうだ。また、将来的にはドライバー/バッテリー分割構造を発展させ、バッテリー交換可能な完全ワイヤレスイヤホンを実現したい、との展望も語られた。

連続再生時間はイヤホン単体で最長5時間、ケース込みで15時間。Bluetoothはバージョン5.2、コーデックはaptX Adaptive/aptX/AAC/SBCをサポート。クアルコムの「Snapdragon Sound」プラットフォームもサポートし、対応端末と接続することでより高音質かつ低遅延のリスニングが可能だとしている。

ほか、イヤホン本体はIPX4の生活防水に対応。バー状の部位には、上下に2基のマイクを内蔵。口元を集中的に集音するビームフォーミング技術を搭載する。ケースは片手であけられるスライド蓋仕様で、前述のカスタムイヤーピースの装着を前提に広めの収納スペースが取られている。

■専用アプリで“リミッター解除”、「8K SOUND+モード」も搭載

本モデル専用のAndroid/iOSアプリ「final CONNECT」も用意される。外音取り込みモードの動作切り替えや、「PROイコライザー」によるプロのエンジニアが行うような細かな音質調整が可能だとする。ユーザーがよく使う音量において、音量の調整幅(ステップ)を細かくできる「ボリュームステップ最適化」機能も搭載した。

さらに、今後のアップデートにより「8K SOUND+モード」を搭載予定。これはZE8000のデジタル信号処理の演算能力を限界まで引き出し、音質をさらに高める機能となる。ただし音質と引き換えに消費電力も増大し、再生時間が30分〜1時間程度短くなるとのことだ。

発表会にて、この「8K SOUND+モード」をオンにしたZE8000を試聴することができた。耳に着けてANCを起動した時点で、耳に圧がかからない、ゆったりとした装着感を印象付けられた。ANCの効き目は、話し声やPCのキーボードを叩く音など何もかも消し去るほど強力ではないが、屋外で車が走る音のような、音楽の邪魔となるものはほどんど気にならない。

Google「Pixel 6」とaptXで接続し、Mats/Morgan Bandの「ETAGE A41」を聴いてみた。キーボードやドラム、ギターなどあらゆる楽器が、ひたすら複雑で激しいフレーズを演奏し続けるプログレッシブ・ロックだが、各パートが広く耳を取り囲むように分散し、それぞれの演奏に意識を向ければ、どれも明瞭に追うことができる。

まさに発表会で語られたとおり「どこに意識を向けても圧倒的な情報量が感じられる」体験ができる。それでいて、情報量の多さで耳が疲れるような予兆はなく、ゆったりとバッテリー切れまで聴き続けていられそう。より長く、様々なジャンルの楽曲を聴き込み、ポテンシャルを探りたくなるサウンドで、「8K SOUND+モード」をオフにした通常モードもぜひ試してみたいところだ。