太陽系から25光年という、ほど近い場所にある恒星「フォーマルハウト」が、予想外に巨大な小惑星帯をもつことがジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使った観測によりわかったと、アリゾナ大学の研究チームが報告した。研究者らは、それ以外に少なくとも3つの惑星が存在するという証拠もみつけている。

フォーマルハウトは、2008年にハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で、惑星の存在らしきものを発見。可視光によって直接発見された初めての太陽系外惑星ではないかと議論された。しかし、後の赤外線による検証では惑星の姿を捉えることができず、小惑星や彗星の衝突で飛散した塵の雲だった可能性が指摘されたりもした。

しかしハッブルに加えてJWSTを用いた今回の観測で、研究者らはフォーマルハウトの周りに新しい小惑星帯を発見。さらにこの星系には、他の天体の軌道に対して23度ほど傾いて形成された奇妙な塵のリング、そして外側には太陽系のカイパーベルトのようなリングが形成されていることを確認した。

これらのなかで最も内側の小惑星帯は、恒星から約7天文単位から約80天文単位先まで伸びている。これは予想の10倍も広範囲にわたっているという。太陽系にある小惑星帯のリングは、だいたい1.5天文単位(1天文単位:地球と太陽の距離)ほどだといえば、その大きさがわかるだろう。

そして、傾きを持った中間的な小惑星帯は、以前に惑星ではないかと考えられていた、天体の衝突による残骸、塵の雲である可能性が高いと考えられている。研究者はこの小惑星帯がフォーマルハウトからの恒星風に吹かれた塵と同じような軌跡を描いており、次第に「消えつつあり、大きさも拡大している」と述べている。

そして、デブリでできた最も外側のリングのなかには、中間の塵雲の10倍もの大きさをもつ、2つめの塵雲と思われるものが見つかっている。研究者は、これをGreat Dust Cloudと名付け、中間のものとは別の原始惑星に由来するものだと推測している。ただし、これに関してはフォーマルハウトの星系に属する天体でなく、その背景にある別の銀河の光である可能性も残されているという。

また、3つある円盤と円盤の間には空隙があることから、そこにはまだ発見されていない、天王星や海王星クラスの惑星が存在する可能性があるという。研究者たちは今後もこの恒星系を詳しく観察し、特にJWSTの観測の分析に取り組むとしている。

また今回のJWSTの画像は、フォーマルハウトに関するいくつかの疑問に答えつつ、いくつかの新たな疑問を投げかけていると研究者は言う。「フォーマルハウトのたった1回の観測で、われわれが理解し、解き明かすべきシステムの多くの側面が明らかになった」と述べ、「われわれは小惑星帯を構成する要素を空間的に解決しようとしたが、どうやらもっと大きなサプライズボックスを開けてしまった」とした。

Source: Nature Astronomynature astronomy, New Scientist

via: Space.com, NASA, Science News