米アマゾンは手のひらをスキャンするだけで決済できる技術Amazon Oneに、年齢認証サービスを追加することを発表した。たとえばスポーツ観戦時のビールのような、成年のみが購入できる買い物で使えるようになる。

この機能が最初に使えるのは、米MLBチーム「コロラド・ロッキーズ」の本拠地であるクアーズ・フィールド(球場)となる予定だ。さらに今後数カ月で、他の会場にも展開される予定だという。

2020年にリリースされたAmazon Oneは、手のひらとクレジットカードをひも付けて、かざすだけで買い物ができる非接触型の決済サービスだ。顧客ごとに手のひらの線や隆起、静脈パターンを組み合わせて、固有の掌紋を作成・登録するというもの。また顧客がAmazonアカウントを持つ場合は、Amazon Oneのプロフィール情報にも関連付けられる。

これら手のひらのデータは暗号化された上に、Amazon Oneデバイス内には保存されず、暗号化、データ分離、制限付き制御を備えたAWSクラウド上の複数のセキュリティ層により保護され、従業員のアクセスは制限されるという。

Amazon Oneに関しては、アマゾンが顧客の生体情報とAmazonアカウントを組み合わせることで、その気になれば高度なターゲティング広告やおすすめ商品を届けることにならないか、との疑いの声もある。しかし、アマゾンは公式FAQで「広告、マーケティング、その他の理由で顧客情報を使ったり販売することはない」と主張している。

まだ日本では馴染みが薄いAmazon Oneだが、米国では無人デジタル店舗Amazon Goや傘下のWhole Foodsに導入された後、様々なスポーツスタジアムやエンタメ施設、コンビニ等にも拡大している。もっとも、手のひらでの年齢認証を利用するには、Amazon Oneサイトで米政府発行のID写真を自撮り写真と合わせてアップロードし、本人確認する必要がある。

非常に便利なシステムではあり、お店にとっても客の注文を素早くさばき売上や収益が増える可能性もあり、歓迎されるかもしれない。とはいえ、アマゾンは生体認証の収集において信用されている企業とは言えず、生体認証のプライバシーに関する法律に違反したとして複数の州で訴訟を起こされている。

そうした疑いは完全には晴れないにせよ、カードやスマホさえ取り出す必要なく、年齢確認のタッチパネルをタップする一手間が省けることは魅力ではある。日本にもAmazon Goの店舗は展開されているが、そちらに導入されるかどうかも気になるところだ。

Source: TechCrunch