10万円以上の超高額ケーブルが持つ表現力

【Brise Audio】YATONO-USB 125,000円/1.0m(税込)

“カッティング・エッジ”という言葉が真っ先に浮かんだ。ヒスノイズまで露わにするハイレゾリューション・サウンドには、敢えて“解像感”ではなく“解像度”という表現を使いたくなるほど。レンジの広さは標準的ながら、音像は筋肉質でタイト。とにかく音が速くて、よく視える。一瞬ソニーのスタジオヘッドホンMDR-CD900STで聴いているような感覚にとらわれた。ヘッドホン、イヤホン環境がメインのリスナーには“どストライク”な1本になりそうだ。

【SILTECH】CLASSIC-LEGEND 380USB 132,000円/1.0m(税込)

これまでのケーブルとは明らかに住む世界が違うようだ。天井(天上)から美音のシャワーが降り注ぐこの感覚は、数千万円クラスの超ハイエンドシステムのみぞ知る世界だと思っていた。それが132,000円のUSBケーブル1本で疑似体験できてしまうのだから、むしろ神コスパなのか?ボーカルは高い場所から溢れんばかりのニュアンスで歌い、微粒子化された音の消え際を最後の最後まで余すところなく伝える。そして訪れる無音の“存在感”。凄い。

【TCHERNOV CABLE】ULTIMATE USB 330,000円/1.0m(税込)

サラウンドのような広大な音場の中に、ボーカルが大きく浮かび上がるさまは、海外の富裕層の再生環境を強く意識した音作りであることは間違いないが、それ以上に圧倒されるのが、超ハイエンド・マシマシ系と名付けたくなるような強烈なマッシブ・サウンドだ。正直、今回の試聴環境では有り余るパワーを持て余しているのがわかる。プラグ部分が非常に重いため、ケーブルインシュレーター等で支えることを推奨したい。

【Shunyata Research】SIGMA USB  431,200円/1.5m(税込)

月並みな表現だが、藤井が、テイラーが、眼前に立っているのが見える。そして大河の流れのように達観した表情で滾々と歌うのだ。サウンドステージはどこまでも深い。静かなケーブルだと思われそうだが、時折見せる鮮やかな色彩に耳を奪われることも。さらに不思議なのはバックの演奏で、タメのような時間差を生み出し、それが“後ノリ”のうねりとなる。変幻自在というより千変万化。全てはTAPと呼ばれる巨大な筒の中に秘密があるのだろうか。

【JORMA DESIGN】USB REFERENCE 517,000円/1.0m(税込)

ここまで、シルテック以降のケーブルにはワイドオープンで溢れるような音の出方が共通していたが、今回の最高額である本ケーブルは真逆な世界観を持っている。誤解を恐れずに言うならば、“オーディオライク”な音との決別である。そのため採点項目がことごとくマッチしない。音楽から抽出したエッセンスをギュッと濃縮したコク深い味わいは、例えるならば、19杯のコーヒーのテイスティングをした最後にエスプレッソが出てきた感じである。

製品photo/田代法生

価格はすべて2022年11月3日現在の価格となります