2020年11月3日に予定されるアメリカ大統領選挙。結果の如何では、経済への影響はもちろん、日本や中国との関係性にも大きな変化がもたらされる。果たして、トランプ氏、バイデン氏どちらが勝利するのか。そしてそのあとの外交戦略はどう変わるのか。

2016年の大統領選挙では、トランプ当選を言い当てた人気経済評論家・渡邉哲也氏が、テスラの強さと課題、アメリカ大統領選挙の行方と、その後の影響について解説する。

※本稿は、渡邉哲也氏の新著『世界と日本経済大予測2021』(PHP研究所)の内容を編集したものです。


トランプ優位は揺るがない

2020年11月3日に投票を迎えるアメリカ大統領選。本来なら、日本時間で4日の午後4時前後には結果が判明するだろうが、郵便投票があるため最後まで予断を許さない展開が予想される

もっとも、現時点ではトランプがかなり優位な立場にいるのは違いない。それは、メディアが報じる「支持者の声」からも明らかだ。

ブルームバーグは2020年8月29日、興味深い報道をした。大統領選挙に関し、共和党支持者は電話調査に対して本心を明かさない人が11.7%に及ぶというのである。民主党支持者は5.4%だったため、じつに2倍以上の差だ。

本心を明かさない理由に「リベラルな観点から外れる意見を表明するのは危険」という声があったと伝えられた。

アメリカではポリティカル・コレクトネスが日本より厳しい。共和党支持者(トランプ支持者)と公言すると、"意識高い系"の人たちから冷たい目で見られかねない。

それを避けるための方策なのだろうが、そう考えると事前の電話調査、世論調査はある程度、補正をかけないと実態がつかめない。

大統領選の終盤はいつも、スキャンダル暴露合戦になる。前回の大統領選ではトランプなど保守系候補に対するメディアの偏向報道もひどかった。

CNNなどはほぼ24時間、トランプに対する批判と暴言を流し、それを英国BBCが引用し、日本でもNHKがそのまま報じる。日本の場合、FOXニュースなど保守系メディアと提携するメディアが存在しないため、一方的な報道ばかりで事実が正しく伝えられることがない。

安倍晋三前首相も同じで、毎日24時間あることないこと悪口を言われ続けていた。世界で最も悪口を言われている人がトランプ大統領で、2番目が安倍前首相と言っていいほどだ。

サンドバッグを思い切り叩いたところで効き目がないように、どれだけバッシングを受けたところでトランプ大統領の評価は落ちない。仮にトランプ大統領に女性問題が出たとしても「だって、トランプだから」で片付いてしまう。そういう立ち位置はある意味、気楽ではある。

安倍前首相も、辞任直前はスキャンダルがまったく響いていなかった。逆に追及する野党のほうに「この大事なときに何をくだらないことを言ってるのか」という批判が出るほど。野党はやりにくかったことだろう。

一方、対立候補のバイデン氏は孫の数を間違えるなど認知症の症状が見えてきているうえ、女性アシスタントへの性的暴行疑惑が攻撃材料とされており、それらが致命傷になりかねない。

さらに今回、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したものの、わずか数日で退院。"無敵のヒーローぶり"を印象づけ、逆にメディアを巧みに利用する形となった。そう考えると、トランプ大統領が圧倒的に有利、バイデン候補の苦戦という構図は、容易に予想できる。