「気の利いたお礼状が書けない」「プレゼン資料作りが苦痛」……。仕事上の文書作成がネックになっている、という人も少なくないだろう。そんな文章が苦手な人々に"メンタリズム"の観点で文章術を指南するのが、メンタリストDaiGo氏だ。

5年前に発売された著書『人を操る禁断の文章術』は、発売当初よりも年々売り上げが伸びているという不思議な一冊だが、メールやSNSなどが普及した現代において文章術のニーズがますます高まっている証拠かもしれない。

そこで今回は、DaiGo氏に、仕事でもプライベートでも活用できる、相手の心理を先回りし、相手に行動を促す書き方のテクニックを教えてもらった。

※本稿はメンタリストDaiGo著『人を操る禁断の文章術』(かんき出版)より、一部を抜粋編集したものです。


文章で相手を自分の望み通りに動かす

文章のたった1つの目的、それは「今すぐ人に行動してもらうこと」です。
一生懸命に書いた文章を相手が読んでくれたとしても、読んで終わりでは意味がありません。

・頼みづらいことを快く引き受けてもらう
・手に届きそうにないムリ目な異性をデートに誘う
・なんとしても通したい企画を確実に通す

このように文章には、相手を自分の望み通りに動かす力があるのです。

私の文章の基本となる仕組みは、「読む→言葉に反応する→想像する」です。
文章はただ書くのではなく、読んだ相手の心を動かし、想像力を使ってもらうために書くのです。

例えば、自動車のトップセールスマンはセールスレターでクルマの性能や品質を語る前に、必ず、お客様の想像力を刺激する言葉を挟んでいます。
難しい言い回しやテクニックを駆使しているわけではありません。

「どこへ行きたいですか?」
「誰を乗せたいですか?」

といった言葉で、お客様に「自分がクルマに乗っている場面」を想像させるのです。

彼女とのデートかもしれません。毎日のお子さんの送り迎えや週末のゴルフ、はたまた大声で歌いながらの真夜中のドライブかもしません。
久しぶりに会った友人に、「いい車買ったな!」と言われ照れている自分をイメージするかもしれません。

新しい"相棒"と一緒にいるお客様自身を想像させることができれば、準備OKです。

そこで、「週末に試乗会があります」と続けると、何人かは「行ってみようかな」と行動を起こしてくれる。

クルマのことなど考えてもいなかった人に、「新車が出ました」「週末に試乗会がありますよ」という案内をしても、まず何も起こりません。

でも、「自分が乗るならこんな場面かな」と想像した人に、「週末に試乗会があります」と伝えれば、こちらが望む結果を出せる可能性がグンと高まります。 

つまり、読む→言葉に反応する→想像する、には続きがあるわけです。
それは、読む→言葉に反応する→想像する→行動を起こす、です。


読み手の感情に響くキーワードを入れる

前述のトップセールスマンの例でもわかるのが、「人は"論理"ではなく"感情"で動く」という心理法則です。

人は論理で納得しても行動には移りません。

真実は、逆です。感情によって行動したあと、その行動を正当化しているのです。理屈をつけて、「正しい行動をした」と自分で自分を納得させているのです。

では、どのような文章なら、感情を動かすことができるのでしょうか?
たとえば、親しくなった取引先の人へのメール。どちらがより親近感を覚えますか?

ヒントは、「話しかけるように書くこと」にあります。3つほど例を上げてみます。

【✕】「先日、オススメしてくださったお店でハンバーグを食べてきました。噂に違わず、おいしかったです」
【○】「この間、教えていただいたお店、行ってきました。ナイフを入れた瞬間、肉汁がジュワっと溢れるハンバーグ、びっくりするおいしさでした」

あるいは、ひょっこり舞い込んできたセールスメール。思わずクリックして、開いてしまいそうなのはどちらでしょう?

【✕】 「成功しているコンサルタントの仕事術、お教えします」
【○】「気になりませんか? 年間報酬3000万円が10年続くコンサルタントだけが知っている仕事の習慣」

レンタルビデオ店でついつい借りてしまいそうなのは、どちらのコピーでしょう?

【✕】「恋に迷っているときに観たい映画」
【○】「『ねぇ私のこと本当に好き?』とカレに聞く前に、この映画を観て下さい」

あなたは前者と後者、どちらに惹かれましたか?

きっと後者だったのではないでしょうか。例文なのではっきりとメリハリをつけました。

後者の文章にはそれぞれ、「肉汁がジュワっと」「気になりませんか?」「ねぇ私のこと本当に好き?」といった読み手の感情に響くキーワードが入っています。

きれいな文章では使われない言い回しだからこそ、読み手の一人ひとりの感情に伝わっていく。そこに人の「顔」が見えるということが重要なのです。

逆に例文の前者側は、いずれも表面的。書いてあることに理解と納得はできますが、それだけです。
これは伝わりやすい文章を書こうとすると、ついつい陥りがちなワナ。大切なのは、きれいにまとめることではありません。