どう書けば上手く伝わるのか…LINEやTwitterなどのSNS、仕事ではメールやチャットなど、文章を書く機会は多いがルールを意識して書いているだろうか。長年、電子書籍出版や校正・校閲に携わってきた文章のプロ・水島なぎ氏が「四則演算の文章術」を伝授する。

本稿では「四則演算の文章術」の中から、長文化を避けるための文章を「割るテクニック」について紹介する。

※本稿は、水島なぎ著『四則演算の文章術』(インプレス)より一部抜粋・編集したものです。


文章の構造はたった3種類

文章の構造には、「単文」「重文」「複文」の3つの種類があります。

1. 単文
単文とは、主語と述語がひとつずつのシンプルな文章です。「かける」の章の冒頭で解説した「私は走った」という文章も、単文です。ここに目的語や修飾語がくっついても、基本的な構造としては単文のままです。

・私は走った。
・私は広い公園を走った。

このように、基本となる主語と述語がねじれることなく1対1できちんと対応している「単文」が、もっとも理想的な文章です。

2. 重文
重文とは、これは単文が並列的につながっている文章です。目的語や修飾語がくっついても、基本的な重文の構造は見抜きやすいはず。

・私は走ったが、彼女は走らなかった。
・私は広い公園を走ったが、彼女は私を見ているだけで走らなかった。

先ほどご紹介した「〜だが、」「〜ので、」で割ることができる文章は、「重文」にあたります。接続助詞を目印にして文章を割ると、単文と単文になります。

・私は広い公園を走った。しかし、彼女は私を見ているだけで走らなかった。

3. 複文
厄介なのは「複文」です。複文とは、基本となる主語と述語のほかに、修飾部の中にも主語+述語の文節が含まれている文章のこと。主語と述語が複数組み合わさっているため、入れ子のような複雑な構造になってしまうのです。

・誰もいない家に帰りたくない私は、夕焼けが赤く染める広い公園を力いっぱい走った。

この複文には、「私は+走った」というベースとなる主語+述語に加えて、「家」にかかる連体修飾部「誰も+いない」や、「公園」にかかる連体修飾部「夕焼けが(+赤く)+染める」が含まれています。

特に、「私は」と「走った」の間に「夕焼けが+染める」が入っています。このような入れ子構造になってしまうと、どの主語がどの述語に対応しているのかわかりづらく、文章がねじれたり、誤読が生じたりする原因になります。


複文を解消する方法は3つ

複雑な構造になってしまった複文を解消する方法は、主に3つあります。

1. 語順を入れ替える
2. カギカッコ「」を使って入れ子の内側を強調する
3. 単文と単文の間で文章を割る

3つの方法について、会社案内を想定した例文をもとに、順番に解説します。

×:弊社は、多くの人が出版業界は斜陽だと考えている今こそ、電子書籍出版に挑戦します。

〇:出版業界は斜陽だと多くの人が考えている今こそ、弊社は電子書籍出版に挑戦します。

もとの例文は文章自体が短いので、あまり複雑には感じないかもしれません。でも、実はこの文章には3組の主語+述語が含まれています。

・弊社は+挑戦します
・人が+考えている
・出版業界は+斜陽だ

主語と述語の組み合わせを把握したら、マトリョーシカを分解するように、入れ子構造になっている主語と述語を取り出して並べます。

上記の改善案では、3組の主語+述語が順番に並びました。3つの単文が並列した重文といえます。これも悪くはありませんが、カギカッコ「」を使った次のような改善案も考えられます。

×:弊社は、多くの人が出版業界は斜陽だと考えている今こそ、電子書籍出版に挑戦します。

〇:多くの人が「出版業界は斜陽だ」と考えている今こそ、弊社は電子書籍出版に挑戦します。

後半は語順を入れ替えています。前半は複文構造のままですが、「出版業界は+斜陽だ」という単文を区切ることで、文章の構造がわかりやすくなりました。語順を入れ替え、カギカッコで区切ったことにより、単文と単文の切れ目が明確になっています。