読書を習慣にしているのに、読めども読めども内容が頭に残らない…という悩みを持つ人もいるだろう。それは、「アウトプット」が足りていないからかもしれない。

YouTubeを中心に古今の名著を徹底解説する「書評動画」で人気を博すアバタロー氏は、読んだ内容を血肉化するためにはアウトプットが重要だと強調する。氏の語る「アウトプット読書術」とはどんな読書術なのだろうか。詳しい話をうかがった。(取材・構成=辻由美子)

※本稿は、『THE21』2021年10月号より内容を一部抜粋・編集したものです。


読書の習慣があれば孤独も怖くない!

私は外資系企業に勤めるかたわら、YouTubeで難解な名著の内容を解説する配信を行なっています。なぜ読書をテーマにしたかと言えば、読書には人生を劇的に好転させる力があるということをたくさんの方に知って頂きたいからです。しかし、そのポテンシャルを十分に発揮させるには、本の読み方、選び方に工夫が必要です。

初めに、読書の効用について具体的にお話しします。一番の効用は、自分のパフォーマンスを上げ、人生のリスクを最小化できることです。 

現代社会は複雑化、多様化しています。自分一人の頭脳ではとても太刀打ちできません。パフォーマンスを上げ、起こり得るリスクを避けるには、自分以外の専門家の力を頼るのが得策でしょう。

その点、本はその道の専門家が生涯をかけて追究した英知が詰まっていますから、そのためにはうってつけのアイテムです。しかも、それがわずか1000円や2000円程度で丸ごと手に入るのですから、利用しない手はありません。

私が考える読書のもう一つの効用は、長期化する人生への備えになるという点です。

人生100年時代と言われるように、私たちには長い老後が待っています。老境を迎え家にいる時間が増えれば、誰もがいやでも向き合うことになるのが孤独です。孤独はQOLを著しく下げる原因であり、生活習慣病や認知症を引き起こすともいわれます。

しかし、読書を趣味にしていたらどうでしょうか。例えば映画や音楽、哲学など幅広いジャンルの本を読んで知識を蓄えていれば、そうした芸術に触れたとき、より深い楽しみや感動が得られます。そうなれば、将来アクティブに動けなくなったときでも、孤独を友にできるのです。

本は、長期化する人生を豊かにできる最強のツール。人生の早い段階で読書を趣味としておくことは、豊かで後悔しない人生を送る秘訣でもあります。


目的なき読書は時間を浪費するだけ

とはいえ、本を読む意欲はあるのに、いざ読んでも内容をすぐ忘れてしまう、という人は少なくありません。

それは、知識をきちんと血肉化できる効率的な読み方をしていないことが主な原因です。本はただ漠然と読めばいいというものではありません。書かれた内容を自分のものにするために、絶対必要な二つの心構えがあります。

一つは、本を読む目的を明確にすること。もう一つは、アウトプットを前提として読むということです。

まず本を読む目的について。何のために読書をするのか、目的が明確でなければ、どんな本を選んでいいかわからないし、吸収すべきポイントも定まらないですよね。

読書は筋トレと同じようなものです。漠然と運動しても、思い通りの筋肉はつきません。鍛える筋肉を意識して、ピンポイントに筋トレを行なうから、欲しいところに筋肉がつくのです。

例えば、話すのが苦手なのが課題だったら、話し方の本に絞って読めばいい。「話題のベストセラーも」とか「幅広い教養が必要だ」などと無理に範囲を広げる必要はありません。

無目的な濫読は、むやみに時間を消費するだけ。何のために読むか、目的がはっきりしていないと、自分にとって本当に必要な知識が十分に吸収されない可能性があるのです。