「自前でオンラインセミナーを行なったが、配信がスムーズにいかなかった」「画面に面白みがなく、視聴者が飽きてしまう」「頑張って集客したものの、ビジネスの成果には結びつかなかった」──。

コロナ禍以降、セミナーをオンラインに移行した企業の多くが、このような悩みに直面している。しかし、ちょっとしたコツで、オンライン配信のマネタイズとクオリティアップを可能にする方法がわかってきた。意識するだけでワンランク上の配信ができる秘訣を平田幸一氏が紹介する。

※本稿は、『THE21』2022年8月号特別企画「ワンランク上のオンライン配信・セミナー術」より、内容を一部抜粋・編集したものです。


オンラインセミナーで活きるマルチアングルな進行

私は現在、奈良に住みながら、人材育成講師を生業としています。以前は、地方都市を拠点とするビジネスにハンデを感じていましたが、コロナ禍によりテレワークが普及したのを機に、オンライン講義をいち早く導入したところ、今では月20本近くの企業内オンラインセミナーを受託しています。その回数はコロナ禍前より増えています。

オンラインセミナーには、リアルで人を集めるセミナーにはない効果があります。

例えば、20人ほどのセミナーを行なう場合でも、リアルでは後ろの席の人の様子はあまりわかりませんが、Zoomでのオンラインセミナーなら、参加者の画面をオンにして、ギャラリービューを選べば、全員の顔を見て、反応がわかります。

また、集合・対面方式では声の大きな人が場を支配しがちですが、オンラインでは、全員が均等の大きさに映るため、発言の機会も均等になりやすいのです。

全員の様子を見たいときはギャラリービュー、発表者を大きく映したいときにはスピーカービュー、この2つのモードを使ってマルチアングルで進行できるのも、オンラインセミナーのメリットです。


情報発信側にとってベストな画面の映り方とは⁉

すでに企業の担当者が、顧客など外部向けにオンラインセミナーを実施する機会も増えてきています。その際に注意してほしい点をお伝えします。

まず、基本的なことですが、画面上での自分の見え方です。一番良くないのは、ノートパソコンを使う場合に、自分の目線よりも低い位置にカメラがあること。相手からはまるでマウンティングを取っているかのように、覆い被さって見えてしまいます。顔にも光が当たらず、暗く映ることにもつながります。

情報発信する側が心がけたいのは、開いた印象を相手に与えることです。そのためには、上半身は肩が見える状態にすることが大事。時々、首から上しか見えない人がいますが、生首のように見えて、見栄えがいいとは言えません。

胸を張り、骨盤を立てるように椅子に座ることで、首が見えている状態にします。いわゆる「お行儀のいい姿勢」がオンラインでも好感度を上げます。

バーチャル背景は、部屋の映り込みを気にせず配信できて便利ですが、手の動きや、手に持って見せたいものが背景に溶け込んで消えてしまうのが難点。できればシンプルな壁をバックに配信するのがベターです。

さらに、自分が映る位置を真ん中から少しずらし、それによって生まれた空間を使ってモノを見せたり、指を立てて数を示したりすると、受講者の注意を引きつけやすくなります。


画面に注目しないと情報が完結しない状態を作ろう

次に気をつけたいのは、動画のはずのオンライン配信が「静止画になっていないか」ということです。つまり、講師がずっと同じ姿勢で話しているだけでは、受講者からは静止画のように見えてしまうのです。

動きが止まった状態になると、受講者の注意が散漫になります。オンラインでは、画面の向こうの相手が何をしているかまではわかりませんから、受講者が実は別の作業をしていることもあり得ます。

画面に注目してもらうためには、いかに画面を動かすか、画面をアクティブにするかを考える必要があります。手振りを加えたり、モノを見せたり、パワーポイント資料に切り替えたりするだけでも効果的です。

パワーポイント資料の見せ方一つ取っても、受講者の注意を引く見せ方と、そうでない見せ方があります。

初めからそのページの情報を全部見せてしまうと、受講者の目が画面から離れたり、話に集中しなくなったりします。欲しい情報を視覚で先取りしてしまったら、別のところに意識が向くのも自然なことです。

画面を見続けてもらうには、情報を少しずつ出していくのがいいでしょう。

例えばパワーポイント資料なら、何も書かれていない白紙の状態から始めて、アニメーション機能を使いながら図解や図形を小出しにしていきます。

画面に動きがあれば、受講者は画面に注目してくれますし、図解や図形がグラフィックレコーディングのようにその場で生成されていくのを追いながら、学習が深まる効果も期待できます。

ポイントは、画面を見ないと情報が完結しない状態を作ること。資料など目から入る情報と、講師の話を聞くという耳からの情報。これらをうまくシンクロさせて、どちらにも注意を向けてもらうための工夫が必要なのです。