ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」。

こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイス。

今回、紹介するのは『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成』(安宅和人(著)、NewsPicksパブリッシング)。AIやデータサイエンスに出遅れた日本の「残すに値する未来のつくり方」を説く。

この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。


AI×データの時代に出遅れた日本にもできる繁栄の道すじ

『シン・ニホン』ほど、長い構想を経て一冊にまとめられた本はめずらしいでしょう。2月には、読者が選ぶビジネス書グランプリ2021の総合グランプリを受賞。

その授賞式では著者の安宅さんが周りの方から後押しされて、6〜7年の雑誌等への論稿や政府に対する提言を本の形で改めて出すことにしたと、話されていました。

本書を際立たせているのは、長期的な経済の活性化方針をボトムアップではなく、トップダウンで枠組みから構想している点です。小手先の対処策ではなく、シンプルでありながら本質的なかじ取りになっているところも、驚くべきところです。

経済が長期にわたって低迷する国家を発展に導く提言として、輪郭がこれだけはっきりしたものは他にないと感じます。

既に多くの読者に高く評価されています。国家を導く志の高さを感じられる本書の内容に触れていきたいと思います。


日本に漂う虚無感。なぜここまで時代に遅れたのか

『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と言われ、経済の競争力が世界一位だった時代は遠くかすみ、今ではG7で初めて引退した国とまで言われています。

失われた30年を経て、気付けば日本は世界からずいぶん遅れました。AIとデータサイエンスという世界のトレンドを見過ごして、国家の教育方針はゆらぎ、理数教育は過去の延長から大きくは変わっていません。

国家機関という組織に希望を失い、人々はニヒリズムとも言える虚無感や無力感を抱き、抜本的な対処をすることなく、衰退のトレンドを止められていないように見えます。

本書によると、1人当たりGDPは約20年ほぼ横ばいに推移し、世界トップ30カ国で見ると、最下位層にまで落ち込みます。世界の有力国家と比べると産業別生産性もほとんどの領域で劣位にあります。

理工系大学の卒業生数は直近20年でドイツに逆転され、既に倍近くの差があります。人口が半分以下の韓国にも遠く及ばない状況です。

絶望的にすら感じられますが、著者にはその根っこにある要因と対策が見えていたようです。分析の切り口は鋭く、それ故に本質的な対応策が導き出されます。