20代で買ったジュースが70代で4800円に変わる!?

――パトリックさんは現在53歳ですが、老後に向けてどのような資産運用を考えていますか?

【パトリック】僕は幸い健康なのでまだ働くつもりですが、あと10年くらいしたら、株と債券の割合を5分5分に持っていって、より安全な投資にシフトしていくかもしれませんね。基本的に、老後は元本に手をつけず、配当や利息、不動産収入で暮らしていけるようにしたいと思っています。

――理想的ですね。そうなるために今からでも40代・50代の読者ができることは何かありますか?

【パトリック】僕は「老後計算機」を常に頭の中に持ち歩くことをお勧めしています。

――「老後計算機」?

【パトリック】今目の前のその消費を投資に回したら、老後いくらになるかをパパっと計算できる計算機です。例えば、今20歳の人が150円のペットボトルのジュースを買ったとします。この150円を利回り7%で運用したら、70歳のとき、いくらになっていると思いますか?

――すぐには計算できませんね。いくらでしょう?

【パトリック】7%の利回りなら、10年ごとに倍々になっていくと覚えておいてください。つまり30歳には300円、40歳で600円、50歳で1200円、60歳で2400円、70歳では4800円です。

――おお!

【パトリック】だから僕は若い人がジュースを買っているのを見ると、すぐ注意したくなる。「その150円は、70歳のあなたから4800円を奪っているのと同じだよ」と(笑)。

――なるほど。ただ、今40代・50代だともう遅くはないですか...。

【パトリック】そんなことはありません。今50歳の人が150円のジュースの代わりに水道水を飲んだら、60歳でジュースが2本、70歳でジュースが4本飲めますよ。

それに子や孫の代まで資産を残すと考えたらどうでしょう? 50歳で150円のジュースを節約したら、50年後には4800円になっている。それだけのお金を子孫に残せるんです。


ゲーム感覚で楽しみながら節約生活をしてみよう

――最後にミドル世代に向けて、安心な老後を送るためのアドバイスをお願いします。

【パトリック】僕は子どもの頃、貧しかったので、お金のことを考えるとお腹が痛くなりました。そんな生活から解放されたくて、仕事、節約や投資を始めました。節約して、自分の収入よりはるかに低いお金で生活できるのが僕の強みです。

ですから皆さんも一度、家計を見直して節約生活を経験してみたらどうでしょう。

――実験的に節約生活を経験してみると思いがけない出費に気づくかもしれませんね。

【パトリック】1カ月でも2週間でも構いません。ゲーム感覚で実際の生活費よりうんと低い金額で生活してみる。それができると「これだけあれば暮らせるんだ」と自信になりますよ。それとお金と向き合うのは朝イチなど、できるだけ気力があるときがいいですね。

お金は幸福の源にすべきで、不幸の源にしてはいけません。「あ〜大丈夫だ」とおおらかな気持ちになれるまで、節約と投資に励みたいですね。


【パトリック・ハーラン】1970年、アメリカ・コロラド州生まれ。ハーバード大学比較宗教学部卒業。93年、来日。97年、吉田眞氏(マックン)とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK『実践!英語でしゃべらナイト』をはじめ、多くのテレビ番組に出演。「パックン」の愛称で、お茶の間から支持を集める。2012年より、東京工業大学非常勤講師として「国際社会とコミュニケーション」を担当。その後、俳優やコメンテーターとしても活躍している。著書に『ツカむ!話術』(角川oneテーマ21)、『逆境力』(SB新書)などがある。

(『THE21』2022年9月号特集「普通のサラリーマンが60歳までに『お金の自由』を手に入れる方法」より)