ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。

こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのは『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』(アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン 著、池村千秋 訳、東洋経済新報社)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。


”人生100年時代”に起きている変化

『LIFE SHIFT2』というタイトルが付けられている通り、本書は2016年に出版されてロングセラーとなっている『LIFE SHIFT』の続編になります。前作を理解するとよりこの作品を楽しめるので、まず簡単に振り返ります。

人生100年時代という言葉を生んだ『LIFE SHIFT』では、一般的に用いられている「ピリオド平均寿命」ではなく、医療やヘルスケアの進歩を考慮して算出した「コーホート平均寿命」が紹介されています。コーホート平均寿命によれば、2007年生まれの日本の子供の半数が107歳をむかえられるといいます。

80年の人生を前提に生きるなら、学習→勤労→引退という3ステージの人生が一般的でしたが、100年の期間を想定すると人生がどう変わるか、ということが主題でした。

100年時代に大切となる資産は、スキルや知識のように仕事の生産性を高める「生産性資産」、健康や友人のような肉体的・精神的健康と心理的幸福感につながる「活力資産」、そして変化への意思と能力を表す「変身資産」の3つとなります。

そして今までの3ステージの他に、自分が何をしたいのかを探索する「エクスプローラー」、大規模な起業ではなく自らの職を生み出す「インディペンデント・プロデューサー」、そして複数の職を持ち生計と生きがいを両立する「ポートフォリオ・ワーカー」というステージが表れるといいます。

続編となる本書『LIFE SHIFT2』のテーマも引き続き「長寿化」と言えるでしょう。100年生きなければいけないと聞くと、人生のプランが大幅に変わりますし、不安にもなります。タイトルに行動戦略という言葉が入っている通り、本書ではキャリアや学びや人間関係の変化についてより具体的に語られています。


80歳までのキャリア設計

人生が100年間になったときに、ゆとりを持った暮らしをするためには、個人の貯蓄と国家の年金財政の2点から、80歳前後まで働かなくてはいけないといいます。必然的に、80歳まで1つのキャリアでまっとうできる可能性は低くなります。

テクノロジーが進化して、仕事がなくなってしまうという説もよく目にします。ただ、職(ジョブ)と業務(タスク)を分けて考えると景色が変わります。現在の職業で90〜100%の業務が自動化可能な職は、すべての職の5%程度にとどまると言われています。

つまり、AI等のテクノロジーへの置き換えが発生するのは業務の全てではなく、部分的な業務になる職がほとんどだということです。だとすると、今までの変化と同様に、人がよりクリエイティブな仕事をするための時間が増えて、よりキャリアの可能性が広がることになりそうです。

仕事に加えて、余暇の時間も変化します。3ステージの人生では、余暇時間は主に人生の終盤にとっておかれました。

ただ、80歳まで働き続けると考えると、約60年のキャリアの間にまとまった休暇がないのでは気が遠くなりそうです。人生の中盤で適切に休みリフレッシュする時間を取るように変わっていきます。

週休3日制も当たり前になるかもしれませんし、1日に8時間働かなくてもよくなるかもしれません。年単位で、仕事を休むこともありえます。結果として余裕ができた時間を上手に楽しむことも、大切になってくるでしょう。


中年期以降も学びが大切

30代から50代の中年期は、仕事と育児と介護に忙殺され、幸福度が下がる時期だとも言われています。

そのような「中年の危機」という言葉が使われるようになったのは、心理学者のエリオット・ジャックがはじめて言及した1965年以降です。寿命が伸びてきてやっと認識されるようになった危機とも言えます。

本書には中年期のキャリアの可能性を示すデータとして、スタートアップ企業の創業者の年齢別の比較が紹介されています。

一般的に若い創業者のスタートアップが急成長をしていると誤解されがちですが、実際は30代から50代の創業者の方が高成長のスタートアップを率いている確率が高いのだそうです。長くなった人生の中盤から後半で、新しいチャレンジをすることを後押しする統計です。

長期にわたるキャリアを歩むためには、誰もが何らかの方法で学び続ける必要があります。現代の変化の中では常に新しい環境が広がっていて、誰もが初心者です。年下からも新しい環境そのものからも真摯に学ぶ姿勢が求められそうです。