不動産投資と言うと、「お金持ちでないとできない」「投資初心者にはハードルが高い」などと思っている人もいるだろう。しかし、本当に良い不動産会社だけを紹介するサイト「不動産投資の教科書」を運営する山本尚宏氏は、「いずれも誤解です」と断言する。そこで、会社員が実は有利な理由と、これから始める人が必ず押さえておくべきポイントを教えてもらった。(取材・構成:坂田博史)

※本稿は、『THE21』2022年9月号特集「普通のサラリーマンが60歳までに『お金の自由』を手に入れる方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2022年8月時点の情報に基づき、投資に対する著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。


なぜ不動産投資が、会社員にお勧めなのか?

不動産投資と言うと、スルガ銀行の不正融資問題を思い出す人もいるでしょう。その影響もあり、「不動産投資=危険なもの」というイメージを持っている人が少なくありません。

確かに悪質な業者や営業マンは存在します。一方で、真っ当な業者はたくさんありますし、誠実な営業マンも多くいます(その見分け方は後述)。

また、「お金持ちでないとできない。普通の会社員には無理」というのもよくある誤解です。実際、「不動産投資家の約半数が会社員」というデータ(野村不動産アーバンネット「2018年度不動産投資に関する意識調査」)もあります。

私たちは、不動産投資に関する公正で中立な情報をわかりやすく提供するサイト「不動産投資の教科書」を運営しています。その目的の1つは、こうした誤解を解くことです。

投資には、株式やFXなど様々な方法がありますが、私は会社員に最も適しているのは、不動産投資だと考えています。

その1番のメリットは、「金融機関からの融資を活用して投資を始められる」こと。株やFXといった他の投資は、「投資をしたいのでお金を貸してください」と言ってもまず断られます。

そのため、ある程度まとまった自己資金がないとボリュームメリットが得られませんが、数千万円もの資金を用意できる会社員は稀でしょう。

一方、不動産投資なら、資産価値を評価してくれて、それを担保に融資を受けられます。つまり、自己資金が豊富になくても、「他人の資本」で始めることができ、資産形成に要する時間を短縮できるのです。

ここで会社員が非常に有利なのは、定期的な収入があるため、金融機関からの信用が高く、いい条件(金利が安いなど)で融資を受けやすいこと。年収が1000万円を超える会社経営者よりも、年収数百万円の会社員のほうが融資の面では有利なのです。

つまり、会社員というだけで、銀行から好条件でお金が借りられる特権があるということです。

勤務先の信用度や勤続年数などによって条件に違いはありますが、それでもほとんど貸してもらえない自営業者からすれば、うらやましい限り。中でも上場企業の会社員は最も好条件で融資を受けることができますから、この超特権を活かさない手はないと私は思います。

【不動産投資に対するよくある誤解】

(1)お金持ちでないとできないもの
「数千万円〜数億円の資金がある人でないと」というのは誤解。会社員で「年収500万円以上」の人であれば、たいてい始められる。不動産投資の半数は会社員というデータも。

(2)ハイリスクで危険なもの
真っ当な業者や誠実な営業マンはたくさん存在する。パートナー選びを慎重に行ない、失敗しないやり方をすれば、ハイリスクでも危険でもない。

(3)安く買い高く売って儲けるもの
転売による売却益(キャピタルゲイン)ではなく、中長期の家賃収入(インカムゲイン)で堅実に利益を出していくのが不動産投資の本道。


安定的に稼ぎ続けてくれる「不労所得」こそ魅力

不動産投資の収益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2つがあります。

キャピタルゲインとは、簡単に言えば、物件を売却することにより得られる利益。一方、インカムゲインはいわゆる「家賃収入」のことで、自分がオーナーになった物件を、他人に賃貸することで得られる収入です。

不動産投資と言うと、「安く買って高く売るもの」というイメージをお持ちの方がいますが、中長期の家賃収入で堅実に利益を出していくのが本道です。 

インカムゲインは、不労所得とも言われます。「不労」とある通り、物件の管理を管理会社に任せれば、自分ではほぼ何もしなくても毎月安定的に収入を得ることが可能です。この点も本業が忙しい会社員に向いている理由です。

もっとも、「家賃収入=手元に残るお金」ではありません。ローン返済や管理会社に払う手数料等の諸経費を差し引いた金額が、手取りの収入となります。

分譲マンション一戸から得られる月々の手取り収入は正直そんなに多くありません。ローンや家賃の金額などによりますが、数万円が一般的で、数千円ということも。物足りなく感じる人もいるかもしれません。

でも、物件購入時の借入金は毎月の家賃収入から返済していくので、お金を返してくれるのは実質的には物件の入居者です。つまり、他人(金融機関)のお金で投資をして、他人(入居者)が返済をしてくれ、資産は自分のものになる──これこそ不動産投資の醍醐味です。

しかも、ローン返済が終われば手取りは当然増えますし、入居者が途切れなければその後も家賃収入が入り続けます。

何より嬉しいのは、自分では稼げない年齢になっても、物件が稼ぎ続けてくれること。人生100年時代において、これほど心強いことはないでしょう。


初心者にお勧めなのはどういう物件か?

もちろん、不人気な物件だと家賃を下げざるを得なくなったり、不動産価値が下がってキャピタルゲインが減るなどのリスクはあります。

しかし、失敗しないためのポイントを押さえたうえで物件を購入すれば、成功確率を上げることができます。

不動産投資は、大きく分けると、8つの形があります。「一棟」とは、マンションやアパートなど一棟丸ごとへの投資。「区分マンション」は、分譲マンション一戸、もしくは数戸への投資です。

それぞれ「新築」と「中古」があり、さらに、それぞれに「都心」と「地方・郊外」があり、8つに分けられます。

それでは、不動産投資の初心者にお勧めなのは、どのような物件なのでしょうか。一棟と区分マンションについては、一棟のほうがオーナーの自由度が高く、収入も多くなります。

しかし、購入価格は当然高額ですし、管理を管理会社に任せるにしても、一棟のほうが手間暇がかかります。会社員の方はやはり最初は手堅く、区分マンションを選ぶのが現実的ではないでしょうか。

新築と中古は、中古のほうが安いため、リスクを考えれば中古を選ぶほうが堅実でしょう。

都心と地方郊外に関しては、不動産投資の最大のリスクはやはり「空室リスク」です。その点では、賃貸需要が旺盛な都心のほうが安定しています。東京都心は高額で手が出ないという人は、大阪や福岡などの都市で探すのも1つの手です。

下記の7つのポイントは、都心で中古の区分マンションを買う場合の「物件選びのポイント」をまとめたものです。すべてがそろう物件はなかなか出てきませんが、物件選びの際はぜひ参考にしてみてください。

【「堅実な物件選び」7つのポイント】

(1) 立地:20年後、30年後でも、人が住み続ける立地。
(2)駅距離:誰もが名前を知っている駅から徒歩7分以内が理想。
(3)専有面積:独身者のニーズが高い25㎡前後。20㎡以下の狭い物件は避ける。
(4)マンションの総戸数:40戸以上。戸数が少ないと毎月の修繕積立金が割高になりやすい。
(5)築年数:家賃の下落率が低いのは、築10〜20年。1981年の「新耐震基準」以前の物件は避ける。
(6)設備:一般的なマンションに備えられている設備がそろっている。
(7)間取り:部屋の間取りがシンプルなもの。好みが分かれる間取りは、空室リスクが高い。