《緊急事態宣言が発令され、2カ月に及ぶ自粛生活は私たちの生活に多大な影響を与えた。自粛により、家にいる時間が増え、「コロナ太り」を経験している方も数多くいらっしゃるはず。

そんななかアメリカの医師であるマーク・ハイマン氏の著書『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』が刊行される。同書にてハイマン医師は、驚きの新説を展開している。コロナ太りに苦しむ日本人にとって、出口戦略となるのか? 本稿では同書の一節を紹介する。》

※本稿はマーク・ハイマン著、金森重樹監訳『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』(SBクリエイティブ刊)から一部抜粋・編集したものです。

「脂質は肥満の原因」という幻想

あなたの健康と長寿のために一番良いことは何だろうか。

それは、もっと脂質を摂ることだ! そう、もっと脂質を摂って体重を減らし、内臓脂肪を落とし、元気になり、長生きしよう。 なぜそんなことが言えるのだろうか。

すべての健康管理や栄養の専門家、主要な医師会や政府は、脂質が肥満と心疾患をもたらすとして、脂質の摂取を減らすことを提唱してきたのではないのか。人々はこの50年間、こうしたアドバイスに忠実に従ってきたが、肥満や病気に悩む人がますます増えている。

確かに、体についた脂肪は病気の原因となり、早死ににつながる。しかし、私たちが摂取する脂質が体の脂肪になって動脈を詰まらせるという、一見まともな論理の飛躍は間違っている。

これは無理もない間違いだ。脂肪を食べれば、それが体脂肪に変わるという考えはわかりやすい。

どちらもfat という同じ語で、外観と感触も同じだ。栄養学者は、脂質には炭水化物やタンパク質(1グラム当たり4カロリー)の2倍のカロリー(1グラム当たり9カロリー)が含まれると警告しており、脂肪の摂取を減らすと体重が落ちて体調が良くなるに違いない。これは常識のように思える。たった1つのこと以外は……。

私たちはこの考えをすっかり受け入れてしまったが、これは科学的には間違っている。実のところ、科学的な研究結果はまったく反対の事実を示しているのだ。データを詳細に調べると、「脂肪を摂るとお腹が凹む」。実際は、脂質を食べれば食べるほど体脂肪が落ち、身体機能が改善するのである。

「脂質への誤解」が解けたきっかけは脂質に関する二つの大きな説が誤りだとわかったことだった。

1番目の説はすべてのカロリーが体内で同じように作用するというものだった。脂肪1グラム当たりのカロリーは炭水化物やタンパク質の2倍以上あるため、当然、脂質の摂取を減らせば体重が減るということになる。つまり、あなたが摂る脂肪が内臓脂肪や皮下脂肪といった体脂肪に変わるというわけだ。

2番目の説は脂肪であるコレステロールの沈着が心臓病を引き起こし、脂質の摂取が心臓病の原因になるというものだった。筋が通っているように思えるが、体は複雑でこんな単純すぎる結論ではとても説明できない。すべての科学者と関連業界は間違った仮定にもとづく誤った考えにのめり込んできた。

現在、脂質が体重増加と心臓病の根本原因であることを示すエビデンスはなくなり、本当の原因である炭水化物と糖質に批判的な光を当てるエビデンスが増えつつある。

一生肥満にならない食べ方 

では、「脂質は肥満の原因」という幻想を覆すために具体的に日々、何をどう食べればよいのか、動物性食物を摂取しないいわゆる「ヴィーガンダイエット」の研究で、その食事法は減量、糖尿病の改善、コレステロールの低下に役立つことがわかっている。

また、穀物や肉類を中心とした原始人食の接種を勧める「パレオダイエット」にも同じ効果があるように見える。そうすると、あなたは動物性食物を避けて、豆類、穀類、野菜を食べるべきか、それとも、罪悪感なしに肉や脂肪を食べて、穀物や豆類をすべてやめるべきなのか?

ヴィーガンダイエットとパレオダイエット、双方の考え方にはどちらも優れた面があるが、どちらも、それだけでは完全ではない。

こうした研究でよく見かけるのは、質の高いパレオあるいはヴィーガンダイエットを、ポテトチップ、コーラ、菓子パン、パスタなどの加工食品、糖質、精製炭水化物、低品質の工業畜産物、精製油を多く含むの普通の食事と比較するやり方だ。

平均的な家庭のキッチンは、食品産業にハイジャックされた恐ろしい場所だ。不幸なことに、ほとんどの人はもはやフード(本当の食べ物)を食べていない。口にするのは、工場で工業的に生産された食べ物に似た物質(フランケンフード)だ。

それには、病気の原因となるトランス脂肪酸、異性化糖、MSG(グルタミン酸ナトリウム)、人工甘味料、着色料、添加物、保存料、殺虫剤、抗生物質、遺伝子工学と遺伝子育種に由来する新しい食品タンパク質およびアレルゲンがたっぷり含まれている。

自然食品の食事法ならどんなものでも―ヴィーガンでもパレオでも―ひどい工業的加工食品と比べれば、はるかに良い結果が出るだろう。また同様に、肥育場飼育の肉、ボロニアソーセージとわずかな新鮮野菜を食べるパレオダイエットを、自然食品、低GIのヴィーガンダイエットと比べても役に立たない。

しかし、理想的で健康に良いパレオダイエットと、理想的で健康に良い高脂質のヴィーガンダイエットを比較した人はこれまで誰もいない。私の推論では、どちらも健康に良くて、脂肪の多い動物性食品の食事が良い人もいれば、植物中心で脂質の多い食事のほうが良い人もいると思う。

人類には驚くような適応性がある。しかし、一番大事な質問はただひとつ、あなたに適した食事法は何か、というものだ。

食べ物と生活習慣は、あなたの体の反応にもとづいて選択すべきだ。自分の体の声に耳を傾けよう。何が好きかは体が話してくれる。その理解には時間がかかるし、観察が必要だが、あなたの体は身近にいる最高のドクターなのだ。