高齢化が進むなか、親の介護のために会社を辞めざるをえないという人も増えている。現在、介護離職は年間10万人にものぼると言われているほどだ。

しかし、いったん会社を辞めてしまうと、正社員としての復帰は難しい。そんな時に使いたいのが、「介護休暇」と「介護休業」。どちらも、家族の介護が必要になった時に取得できる休みで、積極的に活用したい。

だが、両者の違いをきちんと説明できるだろうか? 本稿では、経済評論家の荻原博子氏が、休暇を有効活用して介護を乗り切る方法を解説する。

※本稿は、『保険ぎらい』(PHP新書)の内容を一部抜粋、編集を加えたものです。


「介護休暇」は、パートでも取得可能

家族の介護が必要になった時に取得できる「介護休暇」と「介護休業」は、名前が似ているので同じようなものと思われがちですが、この2つの制度は、介護で休める日数が違います。

「介護休暇」を利用して取れる休みは、介護が必要な家族1人につき1年で5日。介護する家族が2人以上の場合には、最大10日まで取得可能です。

半日単位で取ることができるので、半日ずつだと年間20日取れます(業務や働き方によっては難しいケースもあります)。

「介護休暇」は、条件次第では、正社員だけでなく半年以上雇用されているパートでも取得可能です。

介護休暇期間中の賃金の給付については、法的に定められているわけではなく、会社の裁量となります。


「介護休業」は長期間休めるが、給料は支払われない

では、「介護休業」はどうでしょう。

「介護休暇」は短期でしか取れませんが、「介護休業」なら、長期で休みが取れます。介護期間が長期になる人は、「介護休業」の取得をオススメします。

「介護休業」は、対象家族1人当たり93日まで。分散して取得することも可能で、3回まで分けて取得することができます。

同じ事業所で1年以上働いていて、ある程度は継続的に働く見込みのある人が対象です。もし、「介護休業を取りたい」という申し出があれば、事業主は、その申し出を断ることはできません。

休業中の給料は、労働基準法に規定がないので、会社が賃金を支払う義務はありません。そのため、会社によっては無給というところもあり、そうなると収入が極端に減って生活していけない可能性が出てきます。

もし、会社からお金が出なかったり、著しく賃金が低下する場合は、申請すれば、雇用保険から「介護休業給付金」が、最長93日間給料の約3分の2が支給されます(申請は原則事業主を経由して行いますが、本人が、事業主を管轄するハローワークに申請することもできます)。

要介護状態の家族を介護している人なら、請求すれば、深夜帯(午後10時から午前5時)の仕事をしなくてもいい「深夜業免除の制度」もあります。

ただし、これによって事業が正常に運営できなくなる場合などには使えません。