大富豪が多いと言われるアメリカでは、早い段階から子どもへ「お金の知識」を教えている。欧米各国では、学校の授業の中=カリキュラムの中で「お金」について学ぶ機会が用意されているが、日本ではそうした「マネーリテラシー」を身につけるための授業を受ける機会は少ない。

本稿では、アンドリュー・O・スミス著書で、全米の多くの学生が学んできた大ロングセラーの邦訳版である『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』から一部抜粋して紹介する。

※本稿はアンドリュー・O・スミス著『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ刊)より一部抜粋・編集したものです。


貯め方より使い方が重要?

貯金とは、単純に言えば「お金を使わないこと」だ。そして、今日お金を使わないということは、明日お金を使う能力が手に入るということを意味する(この場合、「明日」は「来月」でもいいし、「来年」でも「10年後」でもいい)。

つまり貯金とは、支出を先延ばしするということでもある。今使わずにいれば、将来お金が必要になったときに使えるということだ。

先のことは誰にもわからない。もしかしたら、今の収入ではとても追いつかないようなお金が必要になるかもしれない。または収入が大きく下がって、貯金がなければ生活できなくなるかもしれない。つまり、貯金をする第一の理由は、将来の支出に備えることだ。

そして貯金をする第二の理由は、人生の大きな目標を達成するためだ。高校生や大学生、社会人になりたての若い人であれば、大学、車、家、結婚と子育て、起業といったあたりが大きな目標になるだろう。そのすべてにお金が必要だということを考えれば、貯金の大切さがよくわかるはずだ。

そして、貯金をする第三の理由は、まさかのときに備えることだ。ノートパソコンが壊れたら、新しいものを買うのにお金が必要だ。車の故障でも修理にお金が必要だ。

遠くに住む友達がつらい出来事で落ち込んでいたら、すぐに駆けつけて力になってあげたいが、それにもお金が必要だ。

空き巣にあい、十分な保険にも入っていなかったら、盗まれたものを買いそろえるお金が必要だ。事故で入院したときもお金がかかる。どんなに立派な人であっても、いつ不運に見舞われるかわからない。そんなとき手元にまとまったお金があれば、ダメージを最小限に抑えることができる。

そして貯金をする最後の理由は、人生における自立を実現することだ。貯金はひとつの習慣であり、貯金ができるということは人格の一部になる。人生をきちんと考え、計画を実行する粘り強さと自制心がある証拠だ。

貯金ができる人は、目の前に欲しいものがあっても、将来の大きな目標を達成するためにぐっとがまんする。

今日に「ノー」と言い、未来に「イエス」と言う力を備えている。計画的にお金を使い、貯金を続ける習慣を身につけることができたら、人生のどんな場面でも正しい自制心を発揮することができるだろう。


20%を強制的に切り離してしまう

多くの人が自分なりの貯金のコツを確立している。なかなかユニークなものもあるが、基本的な考え方はみな同じだ。お金が入ったら、貯金する分だけすぐに切り離し、どこか別の場所に置いてすぐに使えないようにする――これが、貯金の方法だ。

貯金に回す金額については特に決まりはないが、年金で天引きされる分と合わせて、収入の20%ぐらいが目安になるだろう。

貯金の第一のルールは、お金が入ったらすぐに貯金分を別にすること。天引きや自動積み立てなどのシステムを活用し、最初から入ってこないようにするのが望ましい。年金や社会保険料が最初から引かれているのも、それがもっとも確実にお金を貯める方法だからだ。

貯金の第二のルールは「切り離し」だ。会社に給料天引き貯蓄のプランがあるのなら、ぜひそれを活用する。もしないのなら、銀行が提供している同じようなプランを活用する。

ここで大切なのは、生活費のための口座と、貯蓄のための口座を切り離すことだ。難しいことは考えずに、貯めるお金は貯蓄用の口座に入れてしまえばいい。すべて自動化できるならそれにこしたことはない。

貯金の第三のルールは、お金を使うのを難しくすることだ。豚の貯金箱が昔から愛用されているのは、割らなければお金を出せないからだ。お金を使うのを難しくするというシステムが備えられている。

銀行にすぐには引き出せない貯蓄用の口座があるなら、それを活用しよう。年金が勝手に引き出せないようになっているのもそのためだ。人間というものは、お金があったら使いたくなるようにできている。

だから、貯金は目に見えないようにしておくのがいちばんいい。ただし目には見えなくても、頭の中にはとどめておこう。