もしも、一家の大黒柱として働いていた夫が、ある日突然「早期退職したい」と言い出したら……?どこの家庭にもありうるこの状況。

もしも、あなたのご家庭で起こったならどうしますか?

ファイナンシャル・プランナー(1級FP技能士)。K&K FPオフィス代表。「ココロとフトコロを元気にできるFP」として活動中の神田理絵氏が、自らの経験を例に、夫婦で力を合わせて家庭を共同経営するための極意を伝授します。

※本稿は、『PHPくらしラク〜る♪』2021年8月号(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。


妻も当事者意識をもつ!

一家の大黒柱として働いていた夫が、ある日突然「会社を早期退職したい」と言う。

このようなことは、どこの家庭にもありうることだと思います。もしも、あなたのご家庭で起こったならどうしますか?

早期退職しないように夫を説得しますか?

実は、私の夫も過去に早期退職したことがあるのです。

当時の私は専業主婦で、「一体どうするつもりなの?」と夫にイライラし、ケンカになったことも。でも、そんなケンカのなかで気がついたのです。自分ばかりが被害者だと思っていることに。私は夫の失業を、どこか他人事のように考えていたのです。

そこで、この状況を打破するべく家計を見直しました。私の場合は「自分が働く」ことを念頭に、まずは経理の仕事をパートタイムで始めました。

その小さな一歩がきっかけで、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格をとり、現在は「ココロとフトコロを元気にできるFP」として活動しています。

私が働くにあたり、家事や育児はその都度分担を見直しました。私が働くことで家計の負担が軽くなったので、夫も協力してくれました。ふりかえってみれば、夫の早期退職は、私のキャリアにとっていいきっかけになったのです。

もしも、不安で一杯だった過去の自分にアドバイスをするとすれば、「むやみに悪い方向に考えないで。食べていければなんとかなる!」と声をかけたいです。そのうえで、下記の「妻の3カ条」を掲げます。

理由もなしに早期退職をする人はいません。妻として、まずは夫が退職する理由を理解し、収入が断たれるという家族のピンチを共に乗り越えねばなりません。

夫婦は家庭を共同経営するパートナー。早期退職後の夫が退職前より輝き、あなた自身も輝けるかどうかは、あなたの行動にかかっているのです。

「退職サレ妻の3カ条」
(1)妻が当事者意識をもつ
(2)家計を見直し、収支を把握する
(3)夫婦で家事と育児を分担する


夫が会社を辞める前に、やるべきことがある!

【実例:29歳専業主婦 神田家の場合】

これは20年ほど前、夫が「早期退職したい」と言い出したわが家の事例です。

当時の私は専業主婦で、生まれたばかりの娘の世話で精一杯でした。しかも社宅に住んでいたので、まず「住む場所がなくなるかもしれない」という不安におそわれました。

引っ越すとしても、手間とコストがかかります。結局、そこは退職する前に夫から会社に相談してもらい、家賃を払う契約をして住み続けることができました。

しかしながら、それまでは会社からの補助があったので毎月2万円だった住居費+駐車場代が、全額負担で8万円。そこで、私は家計と真剣に向き合うようになったのです。

わが家の場合、当面の生活費は雇用保険の基本手当でまかなうことにしました。夫の場合、会社が早期退職者を優遇する会社都合退職だったので、早めに給付金を受け取ることができたのはよかったです。給付金額は1カ月約20万円でした。

お米や野菜は、時々、夫の実家から送ってもらえたので、食費はそれほどかからず、夫婦のお小遣いもなくして、実につつましく暮らしていました。医療費など臨時の支払いは夫の退職金から補てんしました。

このように、月にいくらあれば暮らせるのか、支出を明確にして赤字にならないように設計しておけば、安心できます。また、もし引っ越しを余儀なくされるなら、夫が会社を辞める前に、家計の見直しを必ずやっておきましょう。

夫が無職になってしまうと、住宅ローンも組めなくなりますし、住宅ローンの借り換えもできなくなります。このように、夫が会社員であるという信用があるうちにやっておきたいことが複数あります。住宅ローンのほか生命保険、車の買い替えなどです。

このほか、当時は今ほど通信費がかかる時代ではなかったのですが、今なら格安スマホに乗り換えるなど通信費の見直しは必須です。電力会社の見直しも検討しましょう。

さらに、わが家の場合は娘がまだ幼かったので学費などの心配がなかったのですが、教育費はお子さんの成長とともに大きく変動します。教育費についても事前に夫婦で話し合っておきたいところです。