大富豪が多いと言われるアメリカでは、早い段階から子どもへ「お金の知識」を教えている。アメリカ出身の有名な投資家の多くが、初めて株を持った年齢がほぼ10から11歳であると言われている。

欧米各国では、学校の授業の中=カリキュラムの中で「お金」について学ぶ機会が用意されているが、日本ではそうした「マネーリテラシー」を身につけるための授業を受ける機会は少ない。

本稿では、アンドリュー・O・スミス著書で、全米の多くの学生が学んできた大ロングセラーの邦訳版である『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』から一部抜粋して紹介する。

※本稿はアンドリュー・O・スミス著『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ刊)より一部抜粋・編集したものです。


お金とは何か、借金とは何か、保険とは何か

お金の計画とは、人生の中でお金に関する要素をピックアップし、具体的な戦略を立てることだ。

お金の計画は、できれば紙に書いたほうがいいだろう。目に見える形にすることで、自分にとって本当に必要なものがはっきりするからだ。

そして最後に、お金の計画とは一度決めれば終わりというものではなく、ずっと続くプロセスだ。お金について考え、お金をやりくりしていく過程で、あなたに合った計画ができあがってくる。

詳しい計画を立てるにしても、ざっくりした計画でも、たいてい次のような要素がお金の計画には含まれている。

支出今のライフスタイルを維持するのに、どれくらいのお金がかかるだろうか? この先、必要なお金は増えるだろうか? それとも減るだろうか?

多くの人は毎月の予算を決め、自分が何にいくら使ったのか把握している。

収入まだ実家で暮らしている学生であっても、何らかの収入はあるはずだ。それは親からもらうお小遣いかもしれないし、アルバイトで稼いだお金かもしれない。それに加えて、何らかの所有物(自転車など)も、売れ
ばお金になるので収入の一部と考えることもできる。

仕事をするのも、キャリアを築くのも、その主な目的は「収入を得ること」だ。貯金収入の一部を貯金に回すのは大切なことだ。貯金をしなければならない理由はたくさんあり、そして貯金をする方法もたくさんある。

どれくらい貯金があるか、貯金の習慣ができているかどうかということは、お金の計画を立てるうえで大きな要素になる。

借金クレジットカード、住宅ローン、奨学金……。それぞれ形は違うが、すべて借金だ。何のために借金をするのか、いくら借りるのか、どんな条件で借りるのかといったことも、すべてお金の計画の要素になる。

安心万が一に備えて保険に入る。医療保険、火災保険、地震保険、生命保険などに入っていれば、もしものときも安心だ。年配の人であれば、遺言、信託、その他の法的文書などで万が一に備えることも多い。


自分の資産状況はどうすればわかるのか

自分の資産状況はどうやって把握すればいいのだろうか。その方法のひとつは、「個人のバランスシート」を作ることだ。 いちばん簡単なバランスシートの作り方を紹介しよう。図1・1を見てほしい。

まず紙を1枚用意して、真ん中に縦に線を引く。左側に自分が所有するものをすべて書き、それぞれの価格も書いて、合計する。

そして右側には借りているものをすべて書き、ここでもそれぞれの価格を書いて合計する。そして紙のいちばん下に、資産の合計から負債の合計を引いた額を書く。これがあなたの「純資産」だ。

あなたがまだ10代なら、バランスシートの内容もシンプルだろう。持っているものも、借りているものもまだ少ないからだ。資産の欄に入
るのは携帯電話と洋服ぐらいで、あとは銀行預金を持っている人もいるかもしれない。資産の合計はだいたい1000ドルぐらいだ。

そして兄への借金が25ドルなら、純資産は975ドルということになる。

しかし、大人になるにつれて資産状況はもっと複雑になり、持っているものも借りているものも多くなる。

図は、大学を出て5年たった架空の27歳のバランスシートだ。

この人物が仕事を続け、奨学金の返済と貯金を進めれば、それにつれて純資産も増えていく。

定期的に自分の純資産を計算することは、自分の資産状況を把握するひとつの方法になる。

しかし、言うまでもないことだが、純資産があなたの価値のすべてではない。人としての価値は、数字で表すことはできない。

お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にして追い求めるのは間違っている。経済基盤がしっかりしていれば、いい人生を送る足がかりになるだろう。しかし、お金はあくまで手段であって目的ではないということは、絶対に忘れないでほしい。