栄養ブームの中で、「これを食べてはいけない」「あれを食べるべき」といった情報が玉石混淆。毎食ていねいな食事を用意するのは大変だし、いったい何をどれだけ食べたらいいのか…。地域在宅医療・介護の現場で、「高齢者の栄養管理」の最前線に立つ塩野﨑氏が、手間をかけずに栄養バランスの整った食事をとるコツを伝える。

※本稿は、塩野﨑淳子・著(若林秀隆・監修)『70歳からは超シンプル調理で「栄養がとれる」食事に変える!』(すばる舎)より、内容を一部抜粋・編集したものです。


インスタントラーメンを健康的に食べるには...

よく「インスタントラーメンや冷凍食品なんて体に悪いわよね?」と聞かれることがあります。

毎日毎食インスタントラーメンを食べるのは、さすがに塩分のとりすぎで体に悪いですが、スーパーに売っているような一般的な食品で、「これを食べたらダメ」というものはありません。

こんなことを言うと驚かれるのですが、私もインスタントラーメンが大好きです。

「管理栄養士なのに?」と言われますが、お湯を注ぐだけで空腹を満たせるなんて、素晴らしい食品です。ただ、食べ方に少し工夫をするのがポイントです。

たとえば、お気に入りの「サッポロ一番塩ラーメン」を食べるとき、ちくわ2本と冷凍ほうれん草をひとつかみ、麺を茹でる鍋に足します。

そうすると、主食だけでなく、野菜とたんぱく質もちゃんとそろうのです。ちくわの代わりに、仙台名物の笹かまぼこや市販のチャーシューにすることも。

これで、インスタントラーメンが、栄養バランスの整った「健康的な」1食になりました。

気になるのは、塩分量です。

付属のスープを加える際には、注ぐお湯を規定量より少し多めにするか、加えるスープの粉を少し減らして薄味にします。なるべく汁は飲みすぎないようにして、残りのスープは捨てます。

そして、インスタントラーメンを食べた翌日は、塩分の比較的少ないサンドイッチやパスタにするなど、塩分量の多い食品が続かないように意識するのが、減塩のポイントです。

ほとんどの加工食品には、パッケージに塩分量が記載されています。ある超メジャーインスタントカップ麺には、「食塩相当量 めん・かやく 2.4g スープ 2.5g」とあります。

スープまで全部食べたら、1食で塩分を5g近くとってしまいます。

日本人の食事摂取基準2020版では、塩分摂取の目標量が男性は一日7.5g、女性は6.5gとされています。とくに血圧の高い方などの場合は、疾病の悪化予防のためにも一日6g未満と推奨されています。

そのことを意識しながら、インスタント麺の食品成分表示を読むと、なんとなく飲み干しにくくなりませんか?

食品成分表示を読むくせをつけると、意外な食品に多くの塩分が含まれていることに気がつきます。同じインスタント麺でも、比較的塩分量が少ないものを売り場で探してみるのも、おもしろいですよ。


脂質異常症の原因が大さじ3杯のごま?

連日テレビでは「健康に良い食品」の特集が組まれ、放送後にはスーパーからその食品が姿を消すのは日常茶飯事ですね。

和食に使われる伝統的な食材の頭文字をとった「ま・ご・わ・や・さ・し・い」という言葉はよく聞かれます。

「ま」は豆、「ご」はごま、「わ」はわかめ(海藻類)、「や」は野菜、「さ」は魚、「し」はシイタケ(キノコ類)、「い」は芋です。

どれも健康に良いとされる食材ではありますが、私は「これを食べるといい」と特定の食べ物をすすめるときには、なるべく具体的な「摂取量」もあわせて提案するようにしています。

以前、「ごま」が体に良いと聞き、一日に大さじ3杯も「いりごま」を摂取していた方がいました。健診で脂質異常症と指摘されましたが、心当たりがないため、とても驚いていました。

必ずしもごまのせいとは言い切れませんが、食生活の中身を見ても、極端に肉類や乳製品をとっていなかったので、ごまの影響は少なからずあると思いました。

大さじ3杯は明らかに食べすぎです。

1食分のごま和えに使用する、すりごまは小さじ1〜2杯ほどですから、どうしても毎日摂取したいのであれば、その程度の量にとどめていただくのが無難です。

どんなに健康に良いとされる食品でも、食べすぎて病気になってしまっては本末転倒です。「健康のため」と無理にとる必要はありません。