老年精神医学の専門家である和田秀樹氏によれば、人間は、"前頭葉"から老化が始まり、それを放っておくと体も見た目も老けてしまうそう。本稿では、脳の若さを保つための、日常的な行動や習慣を紹介します。

※本稿は『医者が教える50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。


「おしゃれを楽しむ」と老化防止になる

中高年になって20代、30代のときのような引き締まった体を維持できなくなるにつれて、「おしゃれ」への関心が薄れていくのは、男女共通にみられる傾向です。

ファッショナブルな服装は「どうせ似合わない」「服が浮きそう」と敬遠し、判を押したように毎日同じような服装でスタイリングなど何も考えずに「そこにあるものを着る」。

さすがに「シャツにステテコ」姿は見られなくなりましたが、スウェットやジャージ姿で犬の散歩、というお父さん。自分の背丈を超えて成長した娘さんの「おさがり」とおぼしきTシャツとジーンズにエプロンをかけたまま買い物をしている、お母さん。

でも、そんなお父さん、お母さんにもかつては、自分なりのファッションへのこだわりがあったはずです。

「明日のデートには、どんな服を着ていこう?」「今日はちょっとおしゃれをしてショッピングを楽しもう」と、ワクワク、ドキドキしながら鏡の前で、服をとっかえひっかえしていた時代もあったのではないでしょうか。

「もう、おしゃれをする歳でもない」─そう思ったときこそ、そんな時代のときめきを思い出してみてください。そのときめきを思い出せるかどうか。そこにも、これから老化の一途をたどるのか老化防止への扉が開けるのかの、カギがあります。


「体育会系の運動」より「好きなことのために動き回る」

いつまでも心身若くありたいと、スポーツジムに通ったり、ジョギングや水泳をしたりと、スポーツやトレーニングに励んでいる方も少なくないでしょう。しかし、体を鍛えたからといって「脳の若さ」を維持できるかというと、そうでもありません。

往年のスポーツ選手にも認知症やボケになってしまう人がいます。また一方で、昔から運動嫌い、運動音痴でスポーツには無縁という人で、80、90代になってもかくしゃくとしている人は、私の周りにもいくらでもいます。

確かに体にいいことは脳にもいいことですし、筋肉の刺激は脊髄から脳幹を通って大脳辺縁系に伝わり、それが新皮質に刺激を与えて脳が元気になる─という理屈もありますが、これは筋肉が鍛えられるから脳が鍛えられるということではありません。

「動くこと」そのものが脳に刺激となって伝わり、脳を活性化するということです。

そうであれば何もスポーツでなくてもいいわけで、買い物に行く、人と食事をするために出かける、コンサートに行く、趣味のサークルに参加する...などなど「好きなことをするために」動き回っていれば、それだけでも脳には快適な刺激となります。やりたくもない運動を嫌々続けているより、脳はよほどいきいきとしてきます。