更年期障害というと中高年の女性に現れる症状をイメージする方が多いと思いますが、男性にも更年期障害があるのをご存知でしょうか? 男性の更年期障害は女性と異なり、症状がゆっくり現れるため、症状が出てもそれを更年期障害と認識しづらい特徴があるそうです。

2023年10月、東京・秋葉原に開業した日本初の男性更年期障害専門クリニック「オトコノクリニック」。その院長を務める産業医の中村有吾さんが、男性更年期障害の症状と特徴について解説します。


少し動いただけで疲れやすくなった

「疲れやすい」という症状は、男性の更年期障害の典型的なサインの1つとされています。この背景には、男性ホルモンであるテストステロンの減少が影響しているとされています。テストステロンは筋肉の質やエネルギー代謝に関与しているため、その量が減少すると筋肉の疲労が早まり、体力の低下を感じやすくなります。

また、この疲労感は単なる身体的なものだけではなく、精神的な疲労とも関連しています。テストステロンの減少は、気分の低下やうつ症状の原因となることが知られており、これがさらに疲れを感じる要因として働くことがあるのです。

さらに、男性の更年期では生活習慣の乱れやストレス、睡眠不足なども疲労感の増大を引き起こします。特に現代の忙しい生活の中で、これらの要因が重なると、以前よりも少しの動きで疲れを感じることが増えてきます。


イライラしやすくなった、鬱っぽくなった

男性の更年期障害に関する症状の中で、特に注意を要するのがこの心理的な変化です。テストステロンの減少は、単に身体的な影響だけでなく、心の健康にも影響を及ぼします。このホルモンの低下が、気分の不安定さや抑うつ症状を引き起こすことが知られています。

イライラや焦燥感、過度な怒りや不安感は、日常生活の中での対人関係や仕事への取り組みに支障をきたすことがあります。また、これらの感情的な変化は、自己評価の低下や自己否定感をもたらすことがあり、深刻な鬱症へと繋がる可能性も考えられます。

また、中高年期には、仕事や家庭での責任や役割が増大し、それに伴うストレスやプレッシャーが高まることが一因として考えられます。このような生活環境の変化と、ホルモンバランスの乱れが合わさることで、心理的な症状が顕著に現れることがあります。


性的な元気が無くなった

男性の性的な活力や興奮を支えるテストステロンの減少は、更年期障害の顕著な症状として挙げられます。このホルモンが低下すると、性的欲求の減退や勃起の困難さなど、性的な機能に関わるさまざまな問題が生じる可能性があります。


眠れなくなったり、途中で起きたりしてしまうようになった

睡眠の質や継続性の低下は、男性の更年期障害の68%の患者さんが悩んでいるというデータもあるくらい、更年期における一般的な症状の1つとして知られています。夜間に何度も目覚める、夜更かしをしてしまう、寝つきが悪いなど、これらの症状は日常生活に大きな影響をもたらすことがあります。

テストステロンの減少が直接的に睡眠障害を引き起こすわけではありませんが、このホルモンの低下は、気分の不安定さやストレスレベルの上昇につながることが多く、これが結果的に睡眠の質を低下させる要因となることが考えられます。

また、男性の更年期障害は中高年期に現れることが多いため、加齢に伴う身体の変化や生活リズムの変動も、睡眠の質やリズムを乱す要因となり得ます。


筋力が落ちて太りやすくなった

男性の更年期においては、筋肉量の減少や脂肪の増加が一般的に見られる現象となっています。この背景には、テストステロンの低下が大きく関与しています。テストステロンは、筋肉の合成や維持に関わるホルモンとして知られており、このホルモンの量が低下すると筋肉の萎縮や筋力の低下が起こりやすくなります。

また、テストステロンの減少は基礎代謝の低下にもつながることが知られています。基礎代謝が低下すると、消費カロリーが減少し、食事の摂取量が同じであっても脂肪が蓄積しやすくなります。これが、太りやすくなる原因の1つとなります。特に、お腹周りに脂肪がつきやすいことが分かってきています。

さらに、年齢と共に運動量が減少することも、筋力低下や体重増加の原因となる要因です。日常の活動量の低下や運動習慣の喪失は、筋肉の量や筋力を維持するための刺激が少なくなり、筋肉の衰えを招きやすくなります。


ほてりを感じたり、過剰に汗をかきやすくなった

更年期障害といえば、女性のほてりや発汗を思い浮かべる方も多いでしょうが、実は男性もこれらの症状を経験することがあります。男性の場合、テストステロンの低下とともに体の内外の温度調節が乱れることが考えられ、その結果、ほてりや過剰な発汗を引き起こすことがあるのです。

ほてりは、体温の急激な上昇と感じる熱さを伴い、顔や首、胸などの部位が一時的に赤くなることがあります。これに続いて大量の汗をかくことがあり、日常生活や社交場での不快感や困難を感じることがあるでしょう。

このような症状は、テストステロンの低下以外にも、自律神経の乱れやストレス、飲酒やカフェインの摂取、過度な運動など、さまざまな要因が関与していると考えられます。