手順2 使っている物だけを身近な場所にしまいなおす

続いて、使われている場所である生活エリアです。物を同じように分けますが、収納するときには使用頻度を考えて、収納場所を決めていきます。

整理されていないお宅は、使いやすい収納が使われない物で埋まり、床に物が出ていたり、よく使う物なのに、使う場所から離れたところにあったり、生活が不自由になっています。不自由さに慣れてしまっているので、体に無理がかかっていることなど気づかないケースがほとんどです。

そうなる原因は、後から入ってきた物ほどよく使うのに、前から家にあった使われていない物を入れ替えるという発想がないことにあります。これは、居住年数が長ければ長いほど起こっている問題です。このような理由で、いったん収納場所のリセットが必要になります。

やり方としては、収納から出す→分ける→選んでもらう、そして改めて収納します。収納場所を変えると、慣れないことに不自由さを感じる場合もあるため、立ち会ってもらうことは大切ですが、必要な物だけに絞ると圧倒的に物が減るので、「見ればわかる」という状態を実現できます。

捨てられることを親から不安に思われたら、それまでに片づけた、使っていない物の収納を見せて安心させてあげましょう。そして、生活エリアから使わない物が出てきたら、手順1で分けて整えた収納場所へしまっていきます。

生活エリアを片づける場合、物の量が比較的少なく、毎日使う場所として、洗面所から取り組むことをオススメしています。ここで便利さを実感してもらえたら、ひと部屋ごとに生前整理を続けていくことができるはずです。

また、洗面所を優先させたい別の理由として、この場所を寒い空間のまま使っているご高齢の夫婦が多く、温度差によるお風呂や洗面所での死亡例が増えているということもあります。片づかないから狭くて暖房が置けない、危ないから置けないというお宅はとくに、片づくことで安全な暮らしが叶えられます。


手順3 両親の希望を聞いておく

これまでの2つの手順が成功していると、両親の希望を聞くことは比較的簡単にできるでしょう。なぜなら、物の量が明確になっているからです。物の量が見てとれないのに、話だけしても伝わるものではありません。

亡くなられてからとくに皆さんが困るのが、着物や宝石、アルバムの扱いです。その物の価値や、物への想いを聞いておくことで、迷いや後悔のない形見分け、処分ができます。ぜひ希望を聞いておいてください。

こうして片づけていくことで、親自身もどこに何がどれだけあるかがわかっているので、急な入院やトラブルという事態にもスムーズに対応できるはずです。

とはいえ生前整理は、個人の考え方や暮らしぶり、親子関係など、すべての要素が絡み合ってなかなか進まないのが現実です。困難な事態に見舞われたときには、専門家に相談することも手段のひとつでしょう。

よりよく生きるための片づけであり、生活を“今”に合わせてリニューアルする――これが親の家の片づけであることには変わりありません。親が元気なうちに取り組むことにこそ、意味があるのです。