人と人の接触が避けられない「接客・サービス業」の多くでは、きわめて厳しい経営環境が続いている。

そんな中、接客・サービス業の現場リーダーを数多く支援してきたホスピタリティ・コンサルタントの船坂光弘氏は、「コロナ後の日本を元気にできるのは接客・サービス業しかない」とエールを送る。

※本稿は、船坂光弘著『接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと』(PHP研究所)の一部を抜粋・再編集したものです。


「世の中に自分の仕事は必要ないのではないか?」

コロナ禍の今、接客・サービス業の皆さんは本当に大変な状況の中で、日々悪戦苦闘されていると思います。

特に、その最前線に立つ現場リーダーの皆さんのご苦労は、想像を絶するものがあります。コロナ前には現場でイキイキと立ち回りながらメンバーを鼓舞していたような人でも、今は笑顔が消え、眉間にシワを寄せながら、日々仕事をされていることも珍しくありません。

中には、最近の状況から「世の中に自分の仕事は必要ないのではないか?」と疑念を持たれている方もいるのではないでしょうか。

でも安心してください。接客・サービス業は、絶対に必要な仕事です。必要どころか、コロナ後の日本を明るくする最大の原動力になる、いわば「日本の宝」です。そのことを知ってもらいたくて、この文章を書いています。

この記事を通じて、「自分の仕事は人々の喜びやしあわせに貢献する仕事なんだ」「世の中の笑顔を増やす仕事なんだ」という原点に戻って、「自分の仕事に誇りを持ってがんばろう」と思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。


支配人に抜擢されるも、一人で空回りするばかり

最初に自己紹介をさせてください。

私は大学を卒業して「人と関わる仕事をしたい」という想いから、新卒で長野県松本市にあるホテルに就職しました。それからフロント、ベルマン、ハウスキーピング、宴会、レストラン、ウェディングと様々な部署を経験しました。

そして33歳のとき、マーケットの競争激化により420組あった婚礼組数が287組まで落ち込んでしまったウェディング部門(15名)の支配人に抜擢されます。

 しかし、当時の私は部下15名を従えるほどの器量も、マネジメントスキルもまったくありませんでしたし、そんなことを教わったこともありません。見様見真似でマネジメントをしてみましたが、結局自分一人で頑張っても空回りするだけで、業績は回復するどころかさらに下がる一方でした。

ただ私はラッキーなことに、尊敬する方からのある言葉によって、独りよがりで自分勝手だったことに気づくことができました (その言葉は、拙著『接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと』で紹介しています)。

以来、私は部下に対して、ウェディングという仕事の素晴らしさを伝え、メンバーの想いや考えていることに耳を傾け、メンバー一人ひとりが持っている力をどうしたら引き出せるのかを考え、部下がやりたいことができるようにサポートする役に徹しました。