「半主権国家」としての日本

2016年から2019年までに行われた一連の発言から明らかなように、プーチン大統領は返還後の北方領土に米軍基地が設置される可能性に対して度々懸念を表明している。ロシアのパトルシェフ国家安全保障会議書記も、2016年11月に訪露した日本の谷内国家安全保障局長に対して、米軍基地設置の可能性に関する質問を行ったという報道がある。

これに米国のMD計画に対する不信感や海軍の太平洋に対するアクセスが制約される可能性への危惧が加わったのが、ロシア側の提起する主要な懸念ということになろう。

加えて興味深いのは、ロシアの唱える「安全保障上の懸念」と一体の問題として、日本の主権に関する疑念が度々表明されていることである。

プーチン大統領は、北方領土における米軍基地設置を日本が拒否できるのかを繰り返し疑問視し、2018年12月のマスコミ代表者との記者会見では「日本にどこまで主権があるのかわからない」とまで述べている。

ロシアの秩序観からすれば、安全保障を日米同盟に依存する日本は完全な主権を有さない「半主権国家」であるという結論が導かれるが、これを敷衍するならば、日本が日米同盟の下にある限りロシアの不信は払拭されないことになる。

「半主権国家」である日本がロシアと何を約束しようと、米国に強く言われれば北方領土に米軍基地や戦闘部隊が展開する可能性は排除できないというのがロシアの日本観であるからだ。