◆最高の“にぃに”〜子どもの成長におどろいた話

側で見ていてとても羨ましいこと。それは、1年生の息子と、2歳違いの5歳の娘の関係です。
私には年子の妹がいるのですが、小さい頃、私のやること、選ぶ物をいつも真似する妹の存在を疎ましく思っていて、妹と仲良く遊んでいた記憶があまりありません。
小学生の頃には私が友だちと遊びに行こうとすると、母から「妹も一緒に連れて行ってあげて」と言われ、なんで自分の友人関係に妹を入れなければいけないのか、理解できませんでした。
私が「えー……」と文句を言うと、母は「いいじゃない、妹なんだから。お母さんだって、5人きょうだいの末っ子だったから、小さい頃はよくお兄さんが遊びに連れて行ってくれていたよ」と母の例を出しては説得されました。
そのたびに、私も優しいお兄ちゃんがほしかったのに!と思っていました。お兄ちゃんがいたら、きっと仲良くできていたのに、と。母からは、口ぐせのように「もっと妹に思いやりをもちなさい」と言われ続け、その度に私は悪くないのに、と悲しい気持ちになっていました。

そんな私が母親になり、2人の子どもを産み、側で子どもたちの成長を見守る中で“お兄ちゃんと妹”の関係が築き上げられていく過程も見てきました。息子は2歳頃まではすぐにグズっては抱っこの繰り返しで、私は何度も精神的にくじけそうになりました。でも、娘が産まれてからは徐々に確実に“お兄ちゃん”になっていきました。
息子のことをすごく手がかかると感じていたのに、あるときからそんなことをまったく感じなくなり、むしろ穏やかな性格の息子の笑顔に救われることが多くなりました。
娘の前では、息子のことを親しみやすい“にぃに”と呼ぶようにしていました。大きくなっても、にぃにと呼べる仲良し兄妹になってほしいという想いからです。その想いは通じて、娘は「にぃに、にぃに〜」と呼んでいます。
息子は妹想いの本当に優しいにぃにで、まさに私が子どもの頃に思い描いていた、理想のお兄ちゃんです。妹もそんなにぃにが大好きで、一番好きな人はママでもパパでもなく、にぃにだそうです。それは私にとって何よりも嬉しいことです。
先日も、息子が学校の宿題の音読をしていると、「キツネさんのおはなしがよかった〜。キツネさんのおはなしがききたいよう」と、前回まで音読をしていたお話がいいと娘が言い出しました。すると、「じゃあ、このお話が終わったら読んであげるね」と言って、その後、妹のためにキツネさんのお話を読んであげていました。ケンカもするけれど、いつも優しいにぃにを、娘は絶対的に信頼しているように思います。

息子には、ただただ感心します。私にできなかった、妹への思いやり、優しさ。妹に優しくするように教えたつもりはないのに自然とそれができていることに。
2人を見ていると、その陽だまりのような温かい関係が本当に羨ましいです。にぃにが優しいから娘もいつだってにぃにのことをちゃんと立てています。
「私は悪くない」といつも不貞腐れていたあの頃の私に言ってあげたい。特別なことはしなくていいから、少しだけ優しい気持ちで接してみて、と。わが子から大切なことを学びました。


(東京都・35歳・会社員)

「PHPのびのび子育て」5月号より