放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は稲垣吾郎について。

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 ファン垂涎の主演舞台『君の輝く夜に〜FREE TIME,SHOW TIME〜』東京公演(日本青年館)を来月に控えるのが稲垣吾郎。

 7月23日からの「チケットぴあ」「EVENTIFY」「イープラス」による一般販売を前にメディア取材に追われる日々である。

 同演目は、稲垣がPARCO劇場において3度演じた『恋と音楽』シリーズのクリエイター陣が再び集結。稲垣とタッグを組んだ、大人のためのオシャレで贅沢なオリジナルミュージカル。

 昨年8月の京都公演(京都劇場)に続き、今回の東京公演(日本青年館)と相成った。
 
 気心の知れたクリエイター陣の筆頭は、それ以前から稲垣とタッグを組んできた作家の鈴木聡氏。氏による、いわゆる“あて書き”は、「吾郎ちゃんのプライベートって、もしかしたら、こんな風なのかもしれない」とファンをワクワクさせる台詞や設定が散りばめられている。

◇軽やかなメロディーとスタイリッシュな稲垣がピタリとハマる

 そして音楽監督・ピアニストには、これまた稲垣に合わせて佐山雅弘氏が担当してきた。佐山氏をはじめ、音楽をこよなく愛するベテランミュージシャンらは、ファンが「エンジェル・ボイス」と呼び、酔いしれる稲垣の歌声や声量、音域を熟知。軽やかなメロディーと、スタイリッシュな稲垣はピタリとハマっていて、だから「ファン垂涎の主演舞台」なのである。

 実は佐山さんは昨年11月に急逝。今作では、稲垣ファンも佐山さんへの追悼の想いと感謝をこめながら観劇するに違いない。

 今作で稲垣の周りを囲むのは、安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙という、美しくてカッコよくてチャーミングな女優陣。昨年8月の京都公演で稲垣は自らを「はべらしゴロー」と称しており、心から楽しんでいる様子だった。

 それにしても、「新しい地図」をスタートしてからの稲垣は、草彅剛、香取慎吾と共に、すこぶる順調といっていいだろう。

 市井の人を演じた主演映画『半世界』は、「第31回東京国際映画祭」で「観客賞」を受賞。海外のマスコミからも高い評価を得た。

 また、ベートーヴェンが稲垣に乗り移った舞台『No.9〜不滅の旋律〜』の再演や、2006年、大竹しのぶ、段田安則、ともさかりえと演じた4人芝居『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』と同じキャストの『LIFE LIFE LIFE〜人生の3つのヴァージョン』も大好評だった。

 俳優・稲垣吾郎が世間に広く認められるようになったのは、映画『十三人の刺客』や、ドラマ『流れ星』(フジテレビ系)で、救いようのない悪役やダメ男を演じてからだろう。どちらも2010年のことだ。

 役柄だけではない。どちらも稲垣の主演作ではなかったことにも世間がザワついた。「主役でなければならない」人たちが集まった唯一無二のグループに居ながら脇役で新たな一面を見せたことと、その演技力に高い評価が集まったのである。

◇稲垣の魅力が凝縮された舞台はキュンキュン確実

 SMAP時代は、年齢から「中間管理職」を自称していた稲垣だが、「新しい地図」では長兄的存在。世間で広く知られているように、香取と草彅は「しんつよ」とペアで呼ばれる機会が多く、公私にわたって仲良しという印象が強い。「新しい地図」の3人はグループではないものの、その2人に稲垣が加わったことで、いい意味での刺激が与えられたり、広がりが出たことは、草彅や香取のファンも認めるところだと思う。

 プライベートでは、ワイン好きであることが有名だが、女性誌で映画評論の連載をもっていたり、番組終了時、多くの小説家が心から嘆いた『ゴロウ・デラックス』(TBS系)では読書家の一面が披露された。小説家との対談の仕事も増えているが、作家を心地よくさせるだけでなく、刺激を与えて帰す立派な書評家でもあるのだ。

「新しい地図」のスタートと共に開始したSNSでは、「ブロガー吾郎」として、美意識の高いプライベートをAmebaブログにて公開している。始めるにあたり、色々な人のブログをチェックした結果、稲垣がもっとも感銘を受けたのが、なんとフランス在住の中村江里子のブログだったというから、そのオシャレ度の角度の高さがわかろうというものだ。

 自宅に絶やさない豪華なフラワーアレンジメントや、センスあふれるインテリアや小物、ベランダに出るときに履くエルメスのサンダルなどなど素敵な吾郎ちゃんワールドが垣間見えるブログは、更新頻度は低いが、読み物としては超ハイクラスだ。

 おそらく、稲垣ファンの多くは彼と同年代。そういえば稲垣は、『恋と音楽』初演の際、「僕のファンは美魔女が多い」とマネジャーに自慢していたと聞く。

 子育てに一息ついたり、自分の時間ができたりして、若い頃から培ってきた見聞を自分のものにしながら、身の回りを稲垣ほどではないにせよ、好きなもので囲めるだけの美意識をもったファンたちは、吾郎ちゃんワールドに、しっかり「ついて行ける」大人の女性たちと言えよう。

 そんなファンのハートを終始キュンキュンさせてくれるのが『君の輝く夜に〜』と言って間違いない。
 
 稲垣吾郎は、昼も夜も、そして朝も輝く。東京公演は8月30日〜9月23日、日本青年館で行われる。