「えなりくんの事務所は誰も電話に出ず、ピン子さんサイドも対応をTBSに一任。この騒動がどう終結するのか、ドラマ以上に興味があります」(ドラマ関係者)。突如として湧いて出た“親子”共演NG。その裏では“母”同士の激しい闘いがあった。

「長年続いている番組に対してあの記事は失礼ですよ! 記事が出た後にえなりとも話しましたが、本当にびっくりしていました。口数の少ない子ですけど、『なんなんでしょうね…』と驚いていました。降って湧いたような話です。橋田先生とは(騒動について)お話ししていません。まぁ、ちょっといろいろな形で来年のことはお話ししましたけど」

 国民的ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の石井ふく子プロデューサー(93才)がそう話すのは、『週刊文春』(10月10日号)が報じた泉ピン子(72才)とえなりかずき(34才)の「共演NG問題」についてだ。

『渡鬼』といえば中華料理店「幸楽」を舞台にして、ピン子演じる小島五月と、えなり演じる長男・眞(しん)による母子のかけ合いが見どころの1つ。だがドラマの脚本を務める橋田壽賀子氏(94才)が『週刊文春』の直撃取材を受け、

《うーん、まぁ、(えなりとピン子を)一緒にしちゃいけない。一緒に出るとえなり君がおかしくなるんですって。発疹が出たり》

 と語ったのだ。

 1990年の放送開始から、レギュラー出演している2人。ドラマは2011年にシリーズ放送を終え、その後はスペシャル番組として年に1回のペースで続いていた。しかし2015年の回を最後に、2人が同じ場面に出ることはなかった。

 文春の記事に石井氏は怒り心頭だが、番組関係者からは「納得」との声が寄せられる。

「ついに報じられたかという感じです。お互いに積もり積もった感情が爆発したのでしょう」(TBS関係者)

『渡鬼』の共演者の1人は「これはえなりくんとピン子さんの問題だけではありません」と指摘する。

「本当にバトルをしているのは、えなりくんのお母さんとピン子さんです。えなりくんは2人の“母親”の間で揺れていたんです」

 超人気ドラマの舞台裏で何が起きているのか──。

 元ミュージシャンの父と元歌手の母の間に生まれたえなりは、幼稚園に行く代わりに劇団と音楽教室に通った。

 5才にして『渡鬼』デビューすると、父が社長で母がマネジャー、所属タレントはえなりと弟・江成正元(30才)のみという個人事務所で芸能活動を続けてきた。

「一家で芸能界を渡り歩いているだけに結束は固い。デビュー当時は10坪の2DKのマンションで暮らしていましたが、今から16年前に住居兼事務所としてビルを買ったんです。その都心に建つビルは地上3階建てで400平方メートル近い豪邸。中古物件ですが少なくとも3億円を超えるはずで、そのほとんどをキャッシュで払ったと噂されていました。ドラマで頑張ったえなりくんの功績から、近所では“子役ビル”と呼ばれています」(前出・TBS関係者)

 芸能界を生き抜く一家の中心となったのが、えなりの母だった。

「お母さんは小柄で優しい感じの人ですが、息子のこととなるとステージママに化けます。視聴者にとって“理想の息子”というイメージを維持するため、子役時代からシャツをズボンの中に入れるファッションを徹底させ、20才になっても携帯電話を持たせなかった」(前出・TBS関係者)

 えなりにとって母親は絶対的な存在であり、芸能界での先導役でもあった。

「現場でのえなりくんはなんでもそつなくこなす優等生。いつもそばにいる母親の方を見ていた印象でした。母親はメインキャストや橋田先生、石井先生への気遣いはとにかくすごかった。ただ、ほかの子役には鋭い視線を向けていましたね。

 えなりくんは“あの子に近づくな”と母親に言われれば距離を置くし、あの人に挨拶しなさいと言われればそうする。母親が公私ともに支えているといえば聞こえはいいが、実際の彼は母親の操り人形みたいで、なんだか気の毒でした」(前出・共演者)

 一方のピン子もえなりにとっては大きな存在だ。子宝に恵まれなかったピン子は、5才から共演するえなりをわが子のように接してきた。

「一時期、“えなりの母です”と周囲に言っていたこともありました。それだけに子育てのつもりで『アンタ、芝居になってないのよ』と厳しく演技指導をすることもありました。あまりの剣幕に幼いえなりくんが怯えてしまい、本番中に頭が真っ白になってせりふが飛んだこともあった。ピン子さんはえなりくんの私生活にも口を出し、『アンタの結婚相手は私が認めないとダメよ』と、冗談とも本気ともつかないことを言っていましたね」(前出・共演者)

◆あんたは母親から自立した方がいいわ

 当初、“2人の母”はえなりを交え、食事にも行く仲だった。しかし、風向きが変わったのは、えなりが成人する前後の時期だった。

「ピン子さんは芸に細かく、撮影中も遠慮なくえなりさんを叱っていました。大人になったえなりさんは、だんだんプライドが傷つけられる思いをするようになったようです。その姿を見ていたお母さんが“そこまで言われる必要があるのか”と周囲にグチをこぼすようになったんです。

 当時はタレントとしても各方面に売り出し、お母さんが台本やキャスティングに口を出すことも増えていた時期でした。それだけに何かと指図するピン子さんに対し、“もうあなたの小言は結構です”との気持ちもあったのでしょう」(制作会社関係者)

 一方のピン子はそんな母親の態度が鼻についた。

「ピン子さんとしては、『よかれ』と思って助言しているつもりなのに母親が反抗的な態度を取るようになり、カチンときたみたいです。『これまで目をかけて育ててきたのに、誰のおかげで成長したの』という思いを募らせ始めたそうです」(前出・共演者)

 ある時、“母親同士”の関係が決定的に悪化する出来事があった。

「えなりくんのお母さんが仲のいいスタッフにピン子さんの陰口を言ったことがバレたんです。ピン子さんは激怒して、『あんたは私の悪口は言ってないよね』とえなりくんに迫り、『あんたは母親から自立した方がいいわ』と言い切った。それを伝え聞いたお母さんは、『母親気取りもいい加減にして』とキレたといいます」(前出・TBS関係者)

 2人の母の間で揺れ動いたのはえなりだ。深まる一方の母親とピン子との確執に悩んでいた――そして、ある決意をしたという。

「ドラマ上で結婚して嫁姑問題の描写が多くなりそうな2016年頃から、『もう限界です。渡鬼を降板させてください』と関係者に頭を下げ続けていたようです。芸能界を生きていく上で、それがどれだけ重い一言かわかった上で、えなりくんはそう言うしかなかった。その思いが今回、表沙汰になったのでしょう」(前出・共演者)

 えなり母子とピン子のバトルは『渡鬼』始まって以来のピンチといえそうだが、「みんな大騒ぎしすぎです」と訴えるのは前出の石井氏である。

「来年の『渡鬼』は、えなり夫妻とピン子さんの嫁姑問題がストーリーの軸になります。今起こっているのは、ドラマのための前哨戦ですよ。まぁ、来年の放送を見てください」(石井氏)

 幸楽で五月と眞が肩を寄せ合う日は再び訪れるだろうか。

※女性セブン2019年10月24日号