お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建(47)が、『週刊文春』で報じられたスキャンダルのため芸能活動を自粛することを発表した。これを受けて相方の児嶋一哉(47)には各方面からエールが寄せられるとともに、芸人としての実力をあらためて評価する声が数多くあがっている。

 もともとアンジャッシュは児嶋がスタートさせたコンビだった。彼は1992年に都内で初めてとなるお笑い専門学校「スクールJCA」に入学、翌年にピン芸人としてデビューを飾る。ほどなく相方を探し始め、高校の同級生で当時神奈川大学経済学部に在籍していた渡部に声をかけ、1993年にアンジャッシュを結成する。

 当初は児嶋がすべてのネタ作りをしていたものの、徐々に渡部がリーダーシップを発揮するようになっていった。その後、代名詞とも言うべき“すれ違いコント”を武器に、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)や『エンタの神様』(日本テレビ系)といったお笑い番組に出演。瞬く間に人気を博していった。

 しかし次第にコンビとしての活動は減り、それぞれ個人で活躍の場を広げていくようになる。とりわけ渡部はMCやグルメリポーターとして多数のテレビ番組に出演し、私生活では2017年に女優でモデルの佐々木希と結婚。2019年からは自身のYouTubeチャンネルも開設するなど、仕事もプライベートも華々しい成功を収めているようだった。

 そんな順風満帆の生活を送っているように見えた渡部に関して、6月12日に放送されたJ-WAVEのラジオ番組『GOLD RUSH』に相方の代役として出演し涙ながらに謝罪の言葉を述べた児嶋は「ぶっちゃけ、アンジャッシュは仲良しコンビではない」と、次のように本音を吐露している。

「僕なんかより全然売れてるのもあって、なかなかアイツを叱るのが立場的にしづらくて。アイツに何かを言うってことは10年ぐらいなかったかもしれないですね。やっぱり立場的には僕のほうが弱かったですよ」

 コンビ間に格差があり、もともとはリーダーであったはずの児嶋が渡部よりも下の立場に置かれていたのだという。だがしかし、児嶋は彼独自のフィールドを開拓し、相方には真似できないような活躍をしてきている。

 俳優として黒沢清監督の『トウキョウソナタ』や園子温監督の『恋の罪』といった映画、さらにNHK大河ドラマ『龍馬伝』をはじめとした数多くのテレビドラマに出演。またプロ雀士の資格も有しており、麻雀を解説するウェブサイト「こじまーじゃん」を運営している。渡部にはない才能をいくつも発揮してきたのだ。

 児嶋の実力はアンジャッシュというコンビ内でも発揮されてきた。お笑い評論家のラリー遠田氏は「アンジャッシュは何よりもネタの面白さに定評があるコンビで、児嶋さんがそこで一定の役割を果たしていたのは間違いない」と解説する。

「アンジャッシュの2人を比較すると、渡部さんのほうが知的でしっかりしているイメージがあるため、ネタ作りも渡部さんが担当していると思われがちです。しかし、本人たちの話によると、実際には2人で協力してネタ作りをしているそうです。児嶋さんは過去にソロライブを開いたり、ピン芸人の大会『R-1ぐらんぷり』に挑戦したりして、ピン芸を披露していたこともありました。そのときのネタは自分で作っていたと考えられます」(ラリー遠田氏)

 さらにピン芸人としてバラエティ番組などで活躍する姿についても、ラリー遠田氏は「彼の右に出る者はいない」とその実力を高く評価している。

「児嶋さんは『イジられキャラ』としても貴重な存在です。芸人たちにきつくイジられても、声を張って力強いツッコミで返すのが面白い。先輩にイジられるタイプの芸人はたくさんいますが、児嶋さんの場合、後輩でも思わずイジりたくなるような魅力があります。イジられキャラの芸人はほかにもいますが『後輩にもイジられる』という分野では彼の右に出る者はいないでしょう」(ラリー遠田氏)

「大嶋さん」と呼ばれ「児嶋だよ!」と返すギャグは、あまりにも有名だ。後輩芸人はもちろん、若手タレントからもことあるごとに「大嶋さん」とイジられるようになったのは、そうした彼の魅力的なキャラによるのだろう。

 もちろん近年は“イジり芸”それ自体の問題点が指摘されることもあるものの、一旦その是非を脇に置くとして、児嶋がピン芸人として得がたい存在であることには変わりない。たとえ渡部の芸能活動への復帰が難しくなったとしても、芸人・俳優・プロ雀士として多方面で実力を発揮する児嶋は活躍し続けることができそうだ。

●取材・文/細田成嗣(HEW)