テレビ局ではニュースからバラエティまで多くの女子アナが活躍しているが、最近、局アナの中でも活躍が目立つのがテレビ朝日だ。テレ朝女子アナの活躍ぶりと、同局の戦略についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 かつて女子アナと言えば、1980年代から人気アナウンサーが次々に現れ「女子アナ王国」と呼ばれたフジテレビや、「好きな女性アナウンサーランキング」殿堂入りの水卜麻美アナを中心とした日本テレビのイメージがありましたが、現在最も勢いがあるのはテレビ朝日。

 昨春に『報道ステーション』の小川彩佳アナ、『羽鳥慎一モーニングショー』の宇賀なつみアナが相次いで退社し、昨秋にも局内屈指の人気を誇った竹内由恵アナが退社するなど、人材難を指摘する記事もありましたが、わずか1年弱でV字回復を果たしているのです。

 テレビ朝日の女子アナは、なぜ巻き返すどころか、黄金期を迎えようとしているのでしょうか。その理由を掘り下げていくと、中心となる若き3トップの存在と、彼女たちを生かす戦略が浮かび上がってきました。

◆バラエティ、YouTube、元アイドル

 テレビ朝日の若き女子アナ3トップは、バラエティ女王の弘中綾香アナ(29歳)、ネット動画でバズりまくる三谷紬アナ(26歳)、元アイドルで朝の顔となった斎藤ちはるアナ(23歳)。

 弘中アナは『激レアさんを連れてきた。』での自由奔放な進行で人気に火がつき、昨年8月には局の垣根を越えて『弘中綾香のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)、今年1月にも『新春TV放談』(NHK)に出演。毎年12月に発表される「好きな女性アナウンサーランキング」でテレビ朝日初の1位に輝き、人気絶頂のフリーアナ・田中みな実さんとタッグを組んだ『あざとくて何が悪いの?』が昨年9月、今年4月、さらに第3弾の放送が決定しています。公式YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』ではコスプレや美容企画に挑むなど、その勢いはとどまるところを知りません。

 三谷アナは「今年最もネット上で話題を集める女子アナ」に急浮上。公式YouTubeチャンネル内のコーナー「三谷紬アナが本気で10kgダイエットしたら!?」の第1話がいきなり150万回再生を突破して話題をあつめました。動画で見せる飾らない素顔も好評で男女を問わず支持を集めるなど、テレビ以外のメディア出演も急増中。地上波の番組以外から誕生した新時代のスター女子アナとなりつつあります。

 2年前まで乃木坂46のアイドルだった斎藤アナは、昨春の入社早々『羽鳥慎一モーニングショー』の2代目アシスタントに大抜てき。「宇賀なつみアナの後任」というプレッシャーがありながらも、清楚な佇まいと落ち着いた進行で、早くも視聴者の信頼を得ています。さらに、公式YouTubeチャンネル内のコーナー「斎藤ちはるの今でしょフィットネス!」でステイホームの浸透に貢献したほか、乃木坂46の『シンクロニシティ』を踊った動画が100万回再生を突破しました。

◆「生放送の経験が豊富」という強み

 3人の足取りを振り返ると、弘中アナは入社後から一貫して『ミュージックステーション』『激レアさんを連れてきた。』『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』などバラエティの万能選手として活躍。三谷アナは『やべっちFC』やサッカー日本代表戦などのスポーツ番組とABEMAのニュース番組で力をつけてきました。斎藤アナは入社直後から帯番組の『羽鳥慎一モーニングショー』に出演しているほか、今春から『林修の今でしょ!講座』で進行役に就任するなど、着実に活躍の幅を広げています。

 三者三様の足取りで人気を得ているところが黄金期の到来を感じさせますし、「入社まもない段階から能力や適性を踏まえて積極的に起用していく」という方針が貫かれているのでしょう。さらに、他局よりYouTubeチャンネルやABEMAなどのネットコンテンツに力を注いでいることも、若手女子アナたちの活躍を後押しする要因となっています。

 3人の共通点は、ネットを最大限に活用していることと、弘中アナが『ミュージックステーション』、三谷アナが『やべっちFC』、斎藤アナが『羽鳥慎一モーニングショー』と生放送番組の進行を担当していること。「基本的に原稿を読むだけ」のニュース番組では得られない生放送の臨場感や難しさを経験していることは強みであり、だからYouTubeの企画にも自然体で向き合えるのかもしれません。

 その他では、『大下容子ワイド!スクランブル』の大下容子アナ、『スーパーJチャンネル』の林美沙希アナという昼と夜の顔も健在。ただその一方で、朝の『グッド!モーニング』は新井恵理那アナ、夜の『報道ステーション』は徳永有美アナ、土曜の『サタデーステーション』は高島彩アナ、日曜の『サンデーステーション』は長野智子アナとフリーを起用しています。これらの番組が自局のアナウンサーで埋まるようになれば、黄金期が本格化していくのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。