放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。コロナ禍の国難に、クリエイティブな熱情を応援したい気持ちと、映画について湧き上がるあれこれについてお送りする。

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 本当に久しぶりに映画館へ行った。逆に言えば映画館ほど安心できるスペースはない。座席はとばしとばしだし、上映中はマスクで喋る人も勿論いない。換気も万全だ。“ポレポレ東中野”はいつも素晴しい作品を提供してくれる。「ヤクザと憲法」も「人生フルーツ」もここで教わった。

 今回は「なぜ君は総理大臣になれないのか」。大島渚の息子さんでもある大島新のドキュメンタリー監督作品。息苦しいほどの誠実さ、右も左も関係なく、与党も野党も関係ない。ただひたすら日本を良くしたい。愚直すぎる政治家の17年を追いつづけた監督もまたすごい。そしてこのコロナ禍で……。

「破壊の日」が公開されたばかりの豊田利晃監督に会った。私の作った「日本列島やり直し音頭」をリメイクして、この度「二〇二〇」バージョンで向井秀徳やら小泉今日子らに声を掛け、皆で歌ってくれた。それをプロデュースしてくれたのもこの監督。「破壊の日」も最初は東京五輪にぶつけて作っていたものが、このコロナで撮影もストップ。また撮り直し、内容も変容していき疫病と闘う話へ。「よく分からなかった」など言う奴もいようが、この国難の中でも作らずにいられないというクリエイティブな熱情を応援したい。そもそも芸術・芸能なんて不要不急だなぞぬかしてるバカも多いのだろう。心が貧しすぎるんだな。

 私は出版社の息子として生まれ(父は主に日本の近代史の本を沢山出版していた。図書館へ行くとズラリ揃っていたりする)、親戚もみんな出版社をやっていて、その内の一人、おじさんに当たるのが『映画評論』の発行人だった高田俊郎。昭和30〜40年代、映画青年達はみんな読んでいた。若き日の大島渚特集などよくやっていた。若きライターだったのが長部日出雄、小林信彦ら。

 そのライバル誌だったのが『キネマ旬報』。こちらはまだ発行されつづけている。本屋をのぞくと七月下旬号で嬉しい特集。「2000年代(2000〜2009年)日本映画ベスト・テン」。アンケートで、もの凄い数の本数がとりあげられているのだが、貴方は何本挙げられますか。私が勝手に選んだ(というか見た)ベスト10。敬愛するすべての映画人へ。

【1】「顔」藤山直美の名人芸
【2】「パッチギ!」
【3】「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」
【4】「GO」「ピンポン」
【6】「血と骨」
【7】「赤目四十八瀧心中未遂」
【8】「雨あがる」
【9】「ヨコハマメリー」
【10】「花と蛇」

……どんなラインナップ?

※週刊ポスト2020年8月14・21日号