お笑いコンビ・とんねるずの石橋貴明による公式YouTubeチャンネル『貴ちゃんねるず』が、登録者数100万人を突破して話題を呼んでいる。芸能界デビュー40周年を迎えた“大御所”の実力は、若手芸人が群雄割拠するインターネットの世界でも大いに発揮されているようだ。

 昨年6月19日、それまでSNS未経験だったという石橋は突如として自身のInstagramアカウントを開設。翌7月に放送されたAbemaTV(現・ABEMA)の特別番組『石橋貴明プレミアム第3弾』の企画向けだったものの、わずか1日でフォロワー数が3万人を突破するなど大きな注目を集めることになった。

 次にインターネット上で動きを見せたのはちょうど1年後の今年6月のことだった。18日に自身のTwitterアカウントを開設し「よくわからないけど、マッコイにTwitterやれって言われ開設しました。すぐ飽きちゃうかも」とツイートしたのである。またもや反響を呼び、早くも数日後にはフォロワー数が20万人を超えている。

 さらに翌19日にはYouTubeチャンネル『貴ちゃんねるず』を開設。「『とんねるずのみなさんのおかげでした』のディレクター・マッコイ斉藤に、YouTubeやりましょうって言われ、何も知らないけどノリではじめちゃいます」とキャプションを添えて最初の動画を投稿した。やはり瞬く間に登録者数が増加していき、約1か月後の7月26日には100万人を突破することとなった。

 YouTubeに参戦するお笑い芸人や、YouTuberから芸能界に進出したタレントは今や珍しくないものの、テレビ界で確固たる地位を築いた大物芸能人がSNSをスタートさせて成功した例となると限られてくる。なぜ石橋は成功することができたのだろうか。お笑い評論家のラリー遠田氏はその理由を次のように解説する。

「石橋さんがYouTubeで成功した理由は、もともとファンが多かったことと、内容が面白かったことでしょう。言うまでもなく、とんねるずはテレビの歴史に名を残すカリスマ芸人であり、多くの熱心なファンに支えられてきました。今はテレビでもとんねるずとしてのレギュラー番組がなく、石橋さんのファンは彼の新たな活動を待ち望んでいたのだと思います」

 さらに、石橋がアカウントを開設する際に名前を挙げていた、ディレクター・マッコイ斉藤氏の存在も重要だとラリー遠田氏は指摘する。他のYouTubeチャンネルとは異なり、『貴ちゃんねるず』ではまるでテレビのような高クオリティの企画を実現することができたのである。

「『とんねるずのみなさんのおかげでした』の演出を務めていたマッコイ斉藤さんが制作しているだけあって、テレビのバラエティ番組にも見劣りしないほど動画のクオリティが高いというのも強みです。石橋さんが阿佐ヶ谷姉妹の家に押しかけたり、清原和博さんと男気ジャンケンで支払いを決めたり、『おかげでした』を彷彿させる企画も行われていました」(同前)

 さらに、40年の芸歴を通して培った幅広い人脈と豊富な知識を活かした企画を実施していることも、『貴ちゃんねるず』の魅力のようだ。なかでもプロ野球の解説動画は非常に優れており、「ここまで人気が出たのは当然」とラリー遠田氏は高く評価する。

「石橋さんがプロ野球について解説する企画も人気です。石橋さんはプライベートでメジャーリーグ観戦のために現地に行くほどの大の野球マニアです。野球やスポーツ全般に関して豊富な知識があり、多くのアスリートとの人脈もあり、面白く話をするトーク力もある。野球解説系YouTuberとしても別格の存在なのです。ここまで人気が出たのは当然のことですし、登録者数はこれからもっと増えると思います」

 かつてインターネットの世界は“オルタナティブ・メディア”と呼ばれ、テレビをはじめとした既存のマスメディアとは異なる可能性に期待が寄せられていた。しかし現在ではむしろテレビのクオリティをいかに再現できるかが重視されているようだ。

 とはいえ、テレビでは不可能な企画を楽しみに待つファンも多いことだろう。“大御所”である石橋がそうした試みに踏み出したら、インターネットの世界の流れも変わっていくのかもしれない。

●取材・文/細田成嗣(HEW)