テレビで見ない日はないほどに、大人気のピン芸人・フワちゃん(26才)。その特徴ともいうべきものが“タメ口”だ。そして、フワちゃん以前にも、”タメ口”を操り、テレビで人気を得たタレントもいたのだ。フワちゃん人気の裏側と、テレビ界の”タメ口”タレントの歴史について、放送作家の山田美保子さんが分析します。

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黒柳徹子サンにもタメ口。「たけし」「さんま」と呼び捨て

 自称「コロナの申し子」フワちゃんのブレークが止まりません。ちなみに「〜申し子」の理由は、春先、新型コロナウイルス感染拡大のため、収録やロケなどのスケジュールが軒並みストップしてしまったテレビ界にあって、フワちゃんだけは仕事が減らなかったからなのだとか。

 大手芸能プロダクションをクビになってから完全なるフリーランス。現在はスタイリストさんが付いたといいますが、スポーツブラ、タンクトップにミニスカートやホットパンツというコスチュームは当初、自前で、スマホと自撮り棒片手に単独行動しているフワちゃんには、局側も声をかけやすかったのだと思います。

 もちろん、登録者数73.9万人(10月12日時点)を誇るユーチューバーとしても“先行”していたフワちゃんですから、発信力があってトレンドにも敏感。もともとコンビで芸人さんをしていたので頭の回転の速さや確かなリアクションにも定評があり、しかも瞬発力があって、出てきた途端にスタジオを温めることができるのです。番組の企画会議で「フワちゃん」の名前が挙がるのは当然と言えましょう。

 そんなフワちゃんは篠原ともえサン(41才)に憧れていて、幼少の頃から“シノラー”だったといいます。9月5日には、篠原サンがパーソナリティーを務めるラジオ番組『東京プラネタリー☆カフェ』(TOKYO FM)での初対談が叶いました。

 そのときの様子というのが、「おはぴよー! フワちゃんで〜す。来たよ〜」「篠原さんから呼んでくれるなんて、マジヤバイ」「だって私、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)でも(シノラー時代の)写真を出したんだから」と長年憧れていた篠原サンに対し、タメ口!

 そういえば黒柳徹子サン(87才)に対してもそうだったし、CMで共演した小池百合子東京都知事(68才)にもタメ口でしたっけ。ビートたけしサン(73才)にも明石家さんまサン(65才)にも「たけし」「さんま」と呼び捨てです。

 そういえば、前事務所をクビになった原因も、オーディションに行ったTBS内でダウンタウンの松本人志サン(57才)の楽屋を見つけ、挨拶に行こうとしたのをスタッフに止められていた際、所属事務所の重役さんに悪態をついたからだといわれています。とにかく大物を前にしても動じず、奔放な言動のままで徹底してタメ口。それでも憎まれず、視聴者にも共演者にも大物にも失礼だと思われないのは“お人柄”だと思います。

 何度か共演させていただいていますし、テレビ局ですれ違うことがしょっちゅうあるのですが、いちばんに感じることは、彼女の頭のよさ。私が担当している番組や出演している番組のことをちゃんと認識してくれていて、「来週、(番組に)行くよ〜」「よろしくね〜」などと声をかけてくれるのです。

 そうかと思えば、「○○(←某大物)にアッタマ来ちゃったからテンション下がっちゃった。ごめんね〜」などと、けっこうキチンとしてもいます。タメ口と人柄のギャップから、そう見えているだけかもしれませんが(苦笑)。

ぼくを“欽ちゃん”って呼んでくれるのは宏美チャンだけなの

 思えば、芸能界にはフワちゃんの大先輩ともいうべき“憎まれないタメ口オンナ”がいらっしゃいました。実は彼女たちには共通点がいくつかあって、まずは「お嬢さま」という点です。特に昔の芸能界には幼少時から私学に通っているようなお嬢さまはとても少なかったのですが、浅田美代子サン(64才)や岩崎宏美サン(61才)、松本伊代サン(55才)らはその代表格でした。

 タメ口オンナという印象がないですか? はい、フワちゃんほどのタメ口ではありませんが、インタビューをさせていただくと、会話の中に、ちょいちょい(!)タメ口が。そして大物をニックネームや“ちゃんづけ”で呼ぶ共通点もありました。

 宏美サンは萩本欽一サン(79才)時代の『スター誕生!』(日本テレビ系)出身者ですが、「ぼくのことを“欽ちゃん”って呼んでくれるのは宏美チャンだけなの」と萩本サンはたびたびおっしゃり、それを喜んでおられたのです。

 美代子サンは『時間ですよ』(TBS系)が女優デビュー作ですが、堺正章サン(74才)を「マチャアキ」と。大人になってからも中村玉緒サン(81才)を「お母さん」、樹木希林さん(享年75)を「ばあば」と呼んでいらっしゃいました。呼ばれた皆さんが美代子サンのことを妹や娘のようにかわいがっていらっしゃることは言うまでもありません。

 伊代サンも昔から、悪びれることなく(!)タメ口ですし、ニックネームや“ちゃんづけ”“くんづけ”を連発なさいます。ご友人に、そういう「お嬢さま」が多かったことと、デビュー時の“環境”に恵まれていたからでしょうね。萩本サンのように、後輩から親しみをもって呼ばれることを「うれしい」と思ってくださるかたも、伸び伸びと育ってきた少女たちをそのまま大人にさせてくれたのでしょう。

 近年では、神田うのサン(45才)と森泉サン(37才)が浮かびます。おふたりもまた「お嬢さま」として有名で、セレブな大人にずっと囲まれているという印象がありますし、スタイル含め、抜群の美貌の持ち主でもありますよね。

 そういう美人がタメ口を連発するとイヤミに聞こえてしまいそうですが、視聴者の皆さんはともかく、仕事仲間である“芸能部”で嫌われないのは、彼女たちが実はとっても礼儀正しいからなのです。うのサンは、かなり大人数で食事をしていて(注・コロナ禍の話ではありません)、翌日の仕事が早いために先に帰ることになったとき、黙って全員分のお会計を済ませるような女性。年上の大人たちがたびたび驚いていました。

 泉サンのタメ口とフレンドリーでありながら、とても正直でハッキリした人柄は、共演者からとっても好かれているのです。『おしゃれイズム』(日本テレビ系)の司会は今年で15年。どんなゲストにもタメ口ですが、怒らせたり不機嫌にさせたりというエピソードは聞こえてきません。

 こうして芸能界のタメ口オンナをひもといていくと、誰もがすぐに真似できることでもないように思います。彼女たちはみな、もともと、おっとりした面があるのだけれど、ボーっとはしていなくて、目配りや気遣いがちゃんとできている。しかも、その道のプロとして長年、芸能界で活躍していらっしゃいます。

 実はフワちゃんは帰国子女。お父さまは輸入雑貨店を経営されていて、以前、実家ロケをした際、「豪邸だし室内がキレイすぎる」と評判になったので、きっと「お嬢さま」なのでしょう。タメ口の大先輩たちのように、フワちゃんが息の長い芸能生活を送れるよう、ファンとして祈っています。

■構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ〜テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2020年10月29日号