『愛の不時着』や『梨泰院クラス』をはじめとする韓国ドラマが爆発的なブームとなっている昨今。その裏で、ジワジワと人気を拡大させているのが中国ドラマだ。

 4000年という壮大な歴史にドラマの素材は事欠かず、バブル期が続く中国経済の潤沢な制作資金も相まってクオリティーの高い作品があふれている。中国ドラマを中心としたアジアドラマに精通しているライターの小酒真由子さんはこう言う。

「資金面の話でいうと、ドラマ制作もほぼすべてが映画規模で、企業の投資で作られるので制作費の桁が違います。ハリウッドと同じレベルかむしろそれ以上! 現代劇ではドラマの中でヒロインがわざとらしく化粧品を使ったり、ジュースを飲んだり、あからさまなタイアップみたいなものもたくさんあって、企業の宣伝効果が高いことも投資理由の1つです」

 とはいえ中国には検閲の制度があり、作品本来のおもしろみが軽減してしまうのではないかという懸念があるが、小酒さんは「それを上回る制作側の努力があるので、意外とそれ込みで楽しめる」と笑い飛ばす。

「以前、現代を生きるヒロインが古代の宮廷にタイムスリップするという設定のドラマが大ヒットしたときに、当局が『歴史を歪曲するため、今後はタイムスリップもの禁止』というお触れを出したのです。禁止と言われて、ドラマ業界がどうしたかというと『これはタイムスリップではなく、魂がちょっと入り込んでしまっただけ』と説明。そうこうするうちに類似ドラマがたくさん作られるようになっていました。

 日本人が思うほど、検閲に明確な基準がないんです。出してみたら通るかもしれないし、だめかもしれない。そこは、制作側も慣れているのでいろんな回避方法を考えるんです」

 検閲は基本的に脚本段階と完成後にそれぞれ行われ、そのすべてをクリアしないと放送や配信はできない。

「とにかく作られる本数が多いので、常に検閲待ちで渋滞している感じです。今年は新型コロナウイルスの影響で、中国でも一時期撮影を休んでいましたが、検閲待ち、放送待ちの作品が多いので、放送や配信にはほとんど影響がありませんでした」

50話超えは当たり前! 最近は30〜40話モノも

 検閲問題のほかに、中国ドラマ未経験者が身構えてしまうのが話数の多さだ。中国ドラマも放送しているデジタル放送局『BS12 トゥエルビ』編成部の新井南菜子さんは「時代劇、現代劇を問わず、50話超えも珍しくなかったものが、最近は30〜40話の作品も増えている」と言う。

「最近中国ではドラマの話数は40話まで、という新ルールが設けられたのですが、30話を超えるような超大作を見る場合、“飛ばし見”をする中国人も多いんです。ムック本も増えているので、登場人物の相関図などを見ながらドラマを見れば、わかりやすいですよ」(小酒さん)

人気の中国ドラマ2作品

◇『GO! GO! シンデレラは片思い』

DVD-SET1〜3/各1万6500円/発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント/全41話

「硬派でやんちゃ系イケメンのリー・シエンが主演を務め"国民の彼氏"に急上昇。恋愛に奥手な女子大生のトン・ニエン(ヤン・ズー)の恋が実るまでのドキドキストーリー。壁ドンや頭ポンポン、車の窓越しのキスなど少女マンガのような胸キュンシーンが満載です」(小酒さん)

◇『招揺(ショウヨウ)』

「『瓔珞』でブレークしたシュー・カイが、本作でも圧倒的な美貌と存在感で宿命を背負った魔王の息子を熱演。映像美にアクション、ロマンス、復讐などを詰め込んだ、ファンタジーラブ史劇です」(森さん)。時代劇だが、イケメンが復活していく姿は『梨泰院クラス』でパク・ソジュンが演じたセロイに通じるかも。

取材・文/田名部知子

※女性セブン2020年10月29日