ドラえもん50周年記念イヤーである今年、『STAND BY ME ドラえもん 2』の公開が11月20日からスタートした。同映画は、2014年に公開され、興行収入83.8億円を記録した『STAND BY ME ドラえもん』に引き続き、3DCGアニメーションによってドラえもんの世界観を描き出した作品だ。最新作の見どころの一つとして話題になっているのが、豪華俳優陣による名演である。

 物語のベースとなるのは、原作の中でも名エピソードとして名高い「おばあちゃんのおもいで」だ。のび太のおばあちゃん役を演じるのは、ベテラン女優の宮本信子。2013年に公開された映画『かぐや姫の物語』での声優初挑戦に続き約7年ぶりのアニメ映画出演だが、今回も“声の演技”が話題となっている。

 Twitter上では、「おばあちゃん役がハマっている」「宮本信子の演技に引き込まれた」「宮本信子さんがしゃべるだけで泣ける」といった称賛の声が相次いでおり、大人のび太役を演じた俳優の妻夫木聡も「おばあちゃんの声が素晴らしすぎて何度も“ドラ泣き”しまくりでした」と絶賛している。

 そう語る妻夫木の熱演ぶりも目を引く。前作から大人のび太役を続投し、今回は、「自分は愛する人のために何ができるのか」という葛藤を時にコミカルに、時にシリアスに演じてみせた。エンドロールを見て「のび太の声は妻夫木が担当していたのか!」と初めて知って驚いた観客もいたのではないだろうか。

 バカリズムや羽鳥慎一アナウンサーたちもゲスト出演する中、意外な好演だったのが、『にほんごであそぼ』(NHK Eテレ)でおなじみの子役の川原瑛都だ。2017年に放送されたドラマ『カンナさーん!』(TBS系)に出演した際、「天才子役」と話題になっただけあって、本作でも幼少期ののび太役を自然に演じている。

 映画ライターの磯部正和氏は、本作で採用された“プレスコ”という収録の手法が、役者たちの演技を生かしていると指摘する。

「映像に声を当てる“アフレコ”とは逆に、プレスコとは、先に音声を収録し、その声に合わせて映像や絵を作る方法です。俳優さんは絵に合わせて声を入れるのではなく、自由にお芝居をすることができ、より演技力が作品に反映されます。

 宮本信子さんと言えば、夫である伊丹十三監督の作品で、緩急自在な芝居を見せ、非常に高い演技力をお持ちの女優さんです。『STAND BY ME ドラえもん 2』では、短いセリフの中で、気弱なのび太くんを大きな心で包み込む優しさと、しっかりと見守る強さという二つの違うベクトルを非常に上手く表現されています。大人のび太を演じた妻夫木さんも『宮本さんの声を聞いただけで涙が出てくる』と話していましたが、声質の温かさを含め、プレスコという技法により、宮本さんの演技力が際立っているように感じます。

 また妻夫木さんも、前作に引き続き2度目の大人のび太ということもありますが、前作はスケジュールの関係でほぼアフレコだったのが、今回はしっかりとプレスコで行ったということです。『頼りないけれど純粋な心を持っているのび太くんが、大人になった姿』という人物像がより想像できる芝居を見せてくれています。

 同じのび太役を演じる、子役の川原瑛都くん、レギュラー声優の大原めぐみさん、妻夫木さんの3人の声のトーンも一貫性があり、違和感がなかったのも、感情移入しやすかったです」

 キャストたちの名演と、それを最大限に生かすための収録方法が、過去、現在、未来をつなぐ絆の物語を生み出したようだ。

●取材・文/原田イチボ(HEW)