ラブストーリーから、時代劇、ホームドラマまでさまざまな冬ドラマが放送され始めたが、そんな中でドラマのカギをにぎる役に、あるキャラクターが増えているという。コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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 最近のドラマに欠かせないキャラクターといえば、「こじらせお坊ちゃま」である。

『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の主人公・鈴木奈未(上白石萌音)は、就活を頑張り、なんとかファッション誌編集部に配属されたものの、鬼編集長の宝来麗子(菜々緒)の雑用に振り回され、いつも転びそうになっている毎日。

 その奈未がある日、カメラマンの潤之介(玉森裕太)に「見合いを断るため」と偽装彼女になることを頼まれる。彼の母(高橋ひとみ)は、実業家で大金持ち。息子が早く身を固め、自分の後継者になることを願っているのだ。はじめは偽装彼女だったはずが、だんだん二人は急接近!? うーん、あるある…と思っていたが、なんと潤之介は麗子の弟! 高橋ひとみににらまれるだけでも大変なのに、菜々緒の目も光っているとは。萌音は命がいくつあっても足りないのである。

 一方、現代にタイムスリップした江戸吉原の花魁仙夏(岡田結実)が騒動を巻き起こす『江戸モアゼル』には、蔵地俊輔(葉山奨之)がいる。俊輔は、マスコミからも注目される新進企業の社長である父とは三年も連絡をとらず、ぼんやりした叔(ココリコ田中直樹)の家に居候中なのだ。叔父もその娘も豪華な着物姿の花魁がタイムスリップしてきて、同居することになってもたいして驚いていないところは笑えるが、俊輔だけは嫌な顔。

 しかも俊輔には、高校時代から片思いの春日(吉谷彩子)がいるのに、仙夏も気になっている様子なのだ。おまけに春日が勤めるウェブ広告会社の社長(前田公輝)が仙夏が吉原時代に熱烈に恋した「直さん」にそっくりで、三角なのか四角なのかわからない恋模様になっていく。

 思えば、昨年の『おカネの切れ目が恋の始まり』でヒロイン玲子(松岡茉優)と出会う困った浪費男子の慶太(三浦春馬)もおもちゃメーカーの御曹司だった。

 偶然出会った男が、実は「家業を継がず、ちょっとこじらせてるお坊ちゃま」。無欲でキラキラな王子様との遭遇。これは今も昔もラブコメの王道といえる。息苦しい時代、明るく笑えるドラマがいい。だとしたら、やっぱり王子様は欠かせないのである。

 江戸から来た仙夏は言う。「あんたらがうらやましいよ。自由に逢引きできて。それだけでも幸せじゃないか」遊郭に生きる彼女は、恋人とのデートはおろか、吉原から外に出ることもできない立場だった。こじらせ小僧に彼女の言葉がどう響くかもみものだ。

 すっかりラブストーリー寄りになっていたが、今期はもうひとり「家業を継いでないお坊ちゃま」が出てくるのを忘れてはいけない。宮藤官九郎脚本の『俺の家の話』の観山寿一(長瀬智也)は、バツイチのプロレスラーだが、実家は「能楽」の宗家で、父の寿三郎(西田敏行)は人間国宝という血筋なのだ。4歳で舞台にあがったときは神童と言われながら、17歳で家出したらしい寿一。レスラー辞めて能楽師になるって。こじれた自分と家族に王子様の微笑みではなく、力技を連発してスカッとさせる作戦か!? ニュータイプのマッチョお坊ちゃまからも目が離せない。お坊ちゃまに見えるかは別として。